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ゼノサーガ エピソード II [ 善悪の彼岸 ] 8-539~555 539 ゼノサーガEP2 ◆l1l6Ur354A sage04/07/0816 18ID JwCOceFwメインキャラの簡単な紹介 シオン・ウヅキ:女 一応メインの主人公?コスモスの主任開発者。今作では印象薄し ジン・ウヅキ:男 シオンの兄。元連邦の兵士。剣の達人で、かつてヘルマーの部下だった。 コスモス:女 ヴェクターによって作られた対グノーシス人型掃討兵器。色々秘密あり ケイオス:男 謎の少年。グノーシスを一瞬で消したり、瞬間移動したり、宇宙空間に 生身で出たり、年をとらなかったりする。重要キャラのはずだが印象薄し。 カナン:男 ヴェクターによって調整された特殊なレアリエン。 モモ:女 百式レアリエンプロトタイプ。サクラ・ミズラヒの外見を模して作られている 固有データベース内に、Y資料という貴重なデータを保持している ジギー:男 サイボーグ。モモが懐いている。100年前テロによって妻子を失い、その後に 自殺した警官。しかし、当時施行されていたライフリサイクル法によってサイボーグとして 復活させられ(てしまっ)た。前作では死を望んでいたが… Jr(ルベド):男 URTV-No666。26歳だが、肉体の成長を止めているために、外見は12歳。赤髪。 正式名ガイナンJr。クーカイ・ファウンデーションの理事の1人。 アルベド:男 URTV-No667。白髪。肉体が破壊されても(例え頭部であろうと)瞬時に再生する特殊能力を有する。 14年前のミルチア紛争時にウ・ドゥと連結(リンク)した。再び連結することを望み、そのために様々な陣営に協力している。 ガイナン(ニグレド):男 URTV-No669。黒髪。クーカイ・ファウンデーション代表理事。 ユリ・ミズラヒ:女 脳学者。モモとは微妙な関係。 ヨアキム・ミズラヒ:男(故人) U-TIC機関創設者。ゾハルの研究をしていた。12機あるゾハルエミュレーターを建造したのも彼。 14年前に引き起こした惨劇から狂人と呼ばれているが… サクラ・ミズラヒ:女(故人) ヨアキムとユリの一人娘。生れつきの特殊な病気で、現実世界では言葉を話すことができなかった。 ヘルマー:男 元軍人。現在は第2ミルチア政府の代表理事。クーカイ・ファウンデーションの後ろ盾。 教皇:男 移民船団を率いる長。爺。 マーグリス:男 U-TIC機関の司令官。ジンの宿敵。かつて、ジンと共にジンの祖父に師事していたらしい。 ペレグリー:女 マーグリスの副官。 ヴィルヘルム:男 大企業ヴェクターのCEO。恐らく、この世界で一番謎を知っている人。 テスタメント達を従える。 テスタメント ヴィルヘルム直属の、マントを着てマスクを被った男たち。元人間だが、最早3次元生物を超越した存在。 現在、赤マント、青マント(バージル)、黒マントの3人がいる。 540 ゼノサーガEP2 ◆l1l6Ur354A sage04/07/0816 26ID JwCOceFw 必要最低限の用語 ゾハル 21世紀に地球で発掘された事象変異機関。これによって領域シフトが起こり、人類は 地球を捨てざるを得なかった。(地球は現在、ロストエルサレムと呼ばれている) 無限にエネルギーを生み出せる存在で、各勢力が自らの目的のために欲している。 UMN 人類は、UMN(ウーヌス・ムンドゥス・ネットワーク)と呼ばれるネットワークによって宇宙中を結んでいる。 ゲートジャンプ(ワープ)もその一環。ハイパースペースという超空間へ出入りすることで、目標地点へと 短時間で移動することができる。しかしこのハイパースペースへの出入りは、宇宙の各地に点在する UMN転移コラムの有効範囲内でしか行えないため、コラムがない・機能していない場所へ(場所から) ジャンプすることはできない(ただし、非実体化状態のグノーシスはコラムなど関係なく 自在にゲートジャンプ可能)。 ミルチア 14年前の紛争の舞台となった惑星。ヨアキムによってミルチアへのUMN転移コラムが 封印されてしまったため、現在は誰も行くことができない状態にある。オリジナルゾハルが存在する。 Y資料 ヨアキムの残したゾハルの研究資料をまとめた貴重なデータ。 その中には、封印されたミルチアのUMN転移コラムの解除コードも含まれている。 URTV 故ディミトリ・ユーリエフ博士によって、彼の遺伝子から作られたウ・ドゥの反存在。U-レトロヴァイラス。 全部で669体が製造された。No1~665までは、能力も波動も自我も薄い標準体。 666~669までの4体は、固有の特殊能力とハッキリした自我を持つ変異体。 ES ゾハルと同時期(21世紀)に、地球で発掘された脊髄状の物体を『アニマの器』と呼ぶ。 このアニマの器に外装をつけてロボットにしたものを、ESシリーズという。 グノーシス ミルチア紛争の直後から宇宙に出現した存在。生物のような外見をしているが、 簡単に言うと幽霊のような存在。実体化させるには、百式レアリエンかコスモスに 搭載されたヒルベルトエフェクトによって物質世界へ固着させるしかない。 ゾハルと何らかの関係あり。 541 ゼノサーガEP2 ◆l1l6Ur354A sage04/07/0816 31ID JwCOceFw 『14年前 ミルチア紛争』 ヘルマー中将から受けたURTVの保護命令を受け、カナンとケイオスはESアシェルによって ミルチアへ降下する。空中で無人機を撃破した後、着陸。突如、巨大な光の柱が上る。 ケイオス「これは――ネピリムの歌声だ。U-TIC機関も、これの危険性は承知しているはずなのに」 突如、連邦の機体が集団で襲い掛かってくる。ケイオス達は非常用の認識コードを送るが、反応なし。 無線からは、気が狂ったような兵士たちの声が聞こえてくる。被弾して左腕を破壊され、うずくまるアシェル。 そして、カナンが頭を押さえて苦しみ始める。 ケイオス「駄目だよカナン!その歌声に耳を傾けちゃ」 妖しげなオーラを発し始めるESアシェル。背後から迫る2体の連邦機。 突如、その連邦機たちが切断される。爆煙の中から現れる、刀を装備した緑色の機体。 カナンは、その爆音で我に返った。認識コードを受信したと言うその機体に、まだまともな奴が残っていたと 安心した2人は、その機体と協力して連邦機を全て撃破。 放電し、膝をつく緑色の機体の中からパイロットが出てくる。と、まだ残存していた1機が、背後からそのパイロットに 掴みかかろうとする。しかし、刹那の後、その機体は両断されて崩れ落ちた。 AMWSを両断した人間に驚くカナンとケイオス。緑色の機体のパイロットは、ジン・ウヅキと名乗った。 彼にURTV部隊が展開している場所まで案内してもらうことに。 ジンの任務は、この紛争の裏にある真実を暴くこと。この紛争は、Y資料と呼ばれるデータを 完璧にするために何物かが仕組んだものらしい。彼はある男から盗んだ断片的なデータを見せ、 これを証拠能力を持った完璧なものにするために、U-TIC機関のマザーフレームに侵入しなければならない のだと言う。突如、崩れ落ちる石像。粉塵の中からマーグリスが現れる。 マーグリス「まさか戻ってくるとはな。貴様にはコソ泥の才能もあったのかと感心していたのだが、 そうではなかったらしい。言っておくが、あの程度のデータでは我々は微塵も揺るがんぞ」 ジン「だからこそ、私はこの先に用がある」 マーグリス「ならば。言わずともわかっているな」 戦い始めるジンとマーグリス。激しい攻防の後、両者ともに大技を放ち、大爆発が起こる。 閃光が収まった後、崩れ落ちるジン。顔面に裂傷を負うものの、勝ち誇るマーグリス。 マーグリス「これで、力も技も私の方が勝っているとわかっただろう!それをあの老いぼれは!」 しかし、突如彼の足元が崩壊し、マーグリスは叫びながら闇の中へ落ちていった。 傷ついたジンは、自らが持っていたデータを「形としてあるより、この方が安全です」と カナンの記憶領域にコピーした。彼は、これから贖罪のために行かなければならない所が あると言い、2人とわかれる。 その直後、突如として闇が迫ってきて、画面がブラックアウトする。 542 ゼノサーガEP2 ◆l1l6Ur354A sage04/07/0816 36ID JwCOceFw 『14年後。現代。第2ミルチア市庁舎』 調整を受けていたカナンは目を覚ます。彼は、あの時脳にコピーされたデータが元で、度々フリーズしてしまう という持病持ちになってしまっていた。が、14年経った今でも、あのデータは解析できていない。 今はミルチアの代表理事となったヘルマーに呼ばれ、百式プロトタイプ・モモの迎えに行く命令を下される。 前作のEDの続き。シオン達を乗せたエルザ(宇宙船)が第2ミルチアへ降下。 シオン・コスモス・アレンはコスモスを引き渡すためにヴェクター第2局へ。 Jr、モモ、ジギー、ケイオスは第2ミルチア市庁舎へと、それぞれ別行動となる。 ユリに、現状を報告するジギー。モモが会うのを楽しみにしていますと言うジギーに対し、 しばしの沈黙の後に「あなたがたの到着を歓迎します」としか言えないユリ。 『移民船団 教皇の間』 教皇へ、立体映像のマーグリスが報告をしている。 教皇「Y資料を記録した百式レアリエン、クーカイ・ファウンデーションの手に落ちたそうだな。 それに対しての釈明はあるか」 マーグリス「かのURTVアルベドによれば、Y資料には強固なプロテクトがかけられており、 解除には第2ミルチアにあるUMN管理センターでの解析が不可欠とのこと。 既に次の手は打っております」 教皇「先の連邦艦隊による第2ミルチアへの進行。ハインライン枢機卿による連邦上層部の操作と聞くが、 これについては?」 マーグリス「その件につきましては私は何も。恐らく、組織の思惑を慮っての卿独自のご判断かと」 教皇「その言葉、信用に足ると見てよいのだろうな」 マーグリス「私は猊下に忠誠を誓った身。古の教義に振り回されるつもりはございません」 教皇「ま、よいだろう。私を失望だけはさせるなよ」 『U-TIC機関の戦艦内』 マーグリス「フン、歳をとると疑り深くなるようだな。弱い犬ほどよく吠える」 ペレグリーとの通信を開く マーグリス「百式レアリエンを奪取しろ。これは我々異端審問官独自の任務だ。 よって、ESイサカルの使用を許可する」 ペレグリー「ES…遥か数千年も昔のものだと聞いているけど、本当に役にたつの?」 マーグリス「ESにはアニマの器が搭載されている。アニマの器はゾハルと時を同じくして発掘されたもの。 その戦闘力は、一星系の軍隊にも匹敵する。くれぐれも扱いには注意しろ」 ペレグリー「了解」 『ハイウェイ』 Jr達は、車でハイウェイを通り市庁舎へ行くことにするが、走行中、突如謎の機体 (リヒャルトの乗るパイラムとヘルマンの乗るスキュータム)に襲撃される。 その猛攻を防ぎながら逃走するJr達だったが、車が壊れ、徒歩で逃げることに。 Jrは、ガイナンへ応援を要請するが、いつもと違いすぐに応答がない。 その頃、ガイナンはJrの声で目を覚ましていた。テーブルの上で、マグカップが倒れている。 「俺は…何をしていた?」すぐに応援を了承し、ヘルマーへ連絡。 迎えに出ていたカナンを、すぐにJrが指定した合流ポイントへ向かわせる事になる。 スキュータムとパイラムに追い詰められるJr達。そこへ、ペレグリーが乗るESイサカルが出現。 リヒャルトとヘルマンを下がらせ、クレスケンスハンド(フィンファンネルのようなもの)のビームによってJr達を牽制し、 モモを渡すように呼びかける。その時、クレスケンスハンドが銃撃によって爆発。ESアシェルが登場する。 Jr「あの機体、カナンか?」 戦闘を始めるアシェルとイサカル。接近戦の後、アシェルはイサカルに腕を捕らえられてしまう。 勝ち誇るペレグリー。しかしその瞬間、両者の機体が共鳴現象を起こし、制御が利かなくなった。 不測の事態に、仕方なく撤退するペレグリー達。 『14年前の回想 ミルチア紛争』 瀕死の重症を負ったニグレドを抱えたルベドは、ESアシェルに乗ったカナンと ケイオスによって助け出された。Jrと2人とはその時からの知り合いであった。 543 ゼノサーガEP2 ◆l1l6Ur354A sage04/07/0816 43ID JwCOceFw 『第2ミルチア市庁舎』 ガイナンはヘルマーに頼まれ、念話でアルベドと話す アルベド「ニグレドか!」 ガイナン「やあ。相変わらず無駄に元気そうじゃないか」 アルベド「何か用かぁ。寂しくでもなったのか。ミソッカス」 ガイナン「何、情報収集だ。和平交渉の余地は残してある」 アルベド「俺はお前の正体を知ってるんだぜ。『処刑人』」 ガイナン「その役割は、とうに捨てた」 アルベド「どうだかな。今もルベドに張り付いて、密かに職務遂行のチャンスを伺ってるんじゃないのか? 諦めな。ルベドは俺が借りる。お前だけがカヤの外さ。せいぜいお前の活躍を期待してるぜ」 ガイナン「待て、それはどういう…」 ガイナンの目が光を放ち、アルベドの右腕が吹き飛ぶ。再生する腕をなでながら アルベド「おお~怖い怖い。お前は昔からそういう奴だよなぁ。穏やかな顔をしながら、 死の牙を研いでいる。アーヒャヒャヒャ!」 念話が途切れる ガイナン「やはり、どうあってもウ・ドゥと連結(リンク)するつもりか。そして、Jrをどうするつもりなんだ」 『ヴェクター第2局』 シオンと職員の会話。コスモス用の、第3種兵装が映し出される。 シオン「こんなものが本当に必要なんですか?」 職員「コスモス第3種兵装。最悪の事態を未然に防ぐ目的で建造されたものです」 シオン「最悪の事態って?」 職員「現在、全宇宙からグノーシスを一掃する目的で推進されているプロジェクト・ゾハル。 そのためには、現在もミルチアに眠るオリジナルゾハルのサルベージが不可欠です。 ゾハルは、半世紀以上も前からこの次元宇宙最高のエネルギー機関として研究されてきた ものですからね。しかし、その制御のためのコアブロックは諸刃の剣なんです」 シオン「諸刃の剣?」 職員「これです。ウ・ドゥと呼ばれる現象。コアブロックの暴走の初期事象ということ以外詳細は不明。 これにより、ミルチアは現在のような状態になってしまった。何より重要なのは、グノーシスは この現象に呼応する形でこの世界に現れたということです」 シオンは渋々、コスモスを第2局へと引き渡す。 『U-TIC機関』 マーグリス「まもなく、アルベドによって旧ミルチアへの封印が解かれる。それに乗じて、 教皇派の艦隊がオリジナルゾハル確保のために侵攻する手はずとなっている」 ペレグリー「私のその露払いをしろと?」 マーグリス「いや、お前には独自に動いてもらう。総帥もそれをお望みだ。 ヘルマンとリヒャルトにも伝えておけ。前回のような失態、2度と見せるな」 ペレグリー「了解」 『UMN管理センター』 モモの中にあるY資料を解析するために到着。ユリが待っていた。 モモに「これが終わったら一緒に暮らせるといいですね」とやさしい言葉をかけるユリ。 驚くJr。喜ぶモモ。 ユリとJrの会話。 モモに急にやさしい言葉をかけるなんてどうしたんだと言うJrに対し、 解析が上手くいくように感情を刺激したえだけだと嘯くユリ。 Jr「冷たい人の振りをして、後で傷つくのはユリさんなんだぜ」 ユリ「あのレアリエンを作ったのはヨアキム。私にはそれが怖いの」 Jr「俺はサクラと約束したんだ。だから、モモを年相応の女の子として扱うつもりだ」 ユリ「サクラと…。どんな約束をしたの?」 Jr「ママと、妹を見守っていて欲しいと。なあユリさん。昔みたいに笑ってくれよ。 サクラもきっとそれを望んでるはずだぜ」 544 ゼノサーガEP2 ◆l1l6Ur354A sage04/07/0816 50ID JwCOceFw ジギーとユリの会話。 ジギー「貴方はモモが苦手のようだが、何故です」 ユリ「娘の形をした娘ではないものを愛せる?」 ジギー「それは…難しい質問だ」 ユリ「形だけ似せても、魂は戻らない。星団中に散らばった百式達―― あの姿は、常に私に娘の死をつきつける。あなた、お子さんは?」 ジギー「息子が1人いた。元気で利発な子だったが、事故で亡くした」 ユリ「ご、ごめんなさい…でも、それがあなたが自殺した原因?… 私もサクラが死んだ時、そうすればよかったのかもしれない」 ジギー「あなたには娘が2人いたのだと思うことはできないだろうか。 1人は亡くなって、もう1人はまだ生きている、と」 ユリ「それはずいぶんと難しい課題ね…考えておくわ」 モモの解析が始まる。 突如、モモが呟く「こ…れ…は…ワ…ナ…!」 迸るエラーメッセージ。 百式レアリエン達が次々と倒れていく。UMNを介してモモの中に次々にデータが流れ込み、 新たなホログラフィックネットワークを形成していく。 ユリ「システムを一つ一つ解析してもわからなかったはずだわ。 それぞれは解像度の低いデータにすぎない。 全てが同時に展開することで、はじめて全体像を結ぶ。ヨアキムがしかけた壮大な騙し絵」 防衛ロジックが崩壊を始める。このままではデータが外部に流出してしまう ユリ「自己展開するトラップがしかけられていた?これはヨアキムの意図ではない。 もっと新しい――恐らく、歌声の塔での侵入時にしかけられた…」 ガイナン「アルベドのしかけた罠か!」 Y資料が敵対勢力に渡ることを防ぐために、モモのデータを破棄しようとするユリ。 それを行えばモモは…。しかし、ユリは実行のスイッチを押す決断ができない。 その時、展開していたY資料のデータが、突然消失し始めた。 ユリ「私はまだ何も…。 ! モモが…自ら神経ネットワークを遮断している!? ヨアキムから託されたものを守るために、精神を自爆させるつもりだわ!」 システム機能の完全停止に陥るモモ。必死に蘇生しようとするユリ。 モニター一面ににアルベドが映る。 アルベド「よお、贈り物は気に入ってもらえたかい。ヨアキムの遺産は、ペシェが体を張って守り抜いた ようだな。健気なもんだ。どんなに愛らしくしていても、所詮は木偶人形にすぎないというものを。 ヨアキムの戯言に惑わされ、人になる奇跡を願っている」 ジギー「木偶人形だと!」 アルベド「アーヒャヒャヒャヒャ!」 モモは一命を取りとめたが、神経ネットワークが寸断された状態。 モモの精神とY資料の復元のために、モモの精神世界へエンセフェロンダイブする事に。 ジギー「その前に、一つ教えてくれ。ウ・ドゥとは何なのだ」 Jr「ウーヌス・ムンドゥス・ドライブオペレーション・システム。名前だけ聞けばUMNの制御AIのような響きだが、 あれはそんなものじゃない」 シオン「そう…AIなんかじゃない…そんな単純なものに、あんな局所事象変異が起こせるはずがないわ」 Jr「初めは俺達もそう信じ込まされていた。UMNに潜在する、危険な波動を帯びた人工意識体だってな。 けど、それは嘘っぱちさ。俺達の親父、ディミトリ・ユーリエフは初めから全部知ってやがったんだ」 545 ゼノサーガEP2 ◆l1l6Ur354A sage04/07/0816 55ID JwCOceFw 『14年前の回想 ミルチア』 URTV部隊が、精神リンクによってウ・ドゥを封じ込めようとしている。 アルベド「怖いよ、ルベド」 ルベド「訓練通りにやれば問題ない!」 下方から何度も波動が襲い掛かるが、URTVの防壁によって阻まれる。 と、ルベドの脳裏にある映像が浮かぶ。 ルベド「まさか――そんな――せ、精神リンクを閉鎖しろ!」 驚くURTV達 ニグレド「リンクはもう完成している。今更止められないよ!」 ルベド「精神波動とはいえ、反存在衝突の一種だったんだ。俺達とウ・ドゥとの衝突は… 熱量に変換される。親父め、知ってやがったな!」 アルベド「嫌だよルベド!離さないでぇ!」 ルベド「駄目だ。閉鎖だ!」 精神リンクの閉鎖により防壁を失い、ウ・ドゥの波動に汚染されていくURTV達。アルベドも… ジギー「その正体は――」 Jr「反存在である俺達にも正確な正体は知らされていない。人間が御することなど不可能な、 上位領域のエネルギー。そういった存在だ」 『モモの精神世界』 ここでは、ルベド達URTVとサクラ・ミズラヒの回想シーンが流れる。 サクラの病気治療とデータ収集のために、サクラの脳内へダイブしていた14年前の ルベド、ニグレド、アルベドと、サクラの触れ合い。ユリにサクラの言葉を伝え、親しくなっていくルベド。 ユーリエフ・インスティテュートと呼ばれる実験施設でのJr達の生活。 UMNの波動異常に起因するサクラの病気治療のために、サクラの精神世界へダイブするURTV達。 しかし、そこに球体状の波動が存在した。ルベドに襲い掛かった波動を、ニグレドが身を盾にして 庇うがなんともない。しかし、波動を受けた標準体のURTV達は汚染され、怪物化していく。 アルベド「そんな!ウ・ドゥ・シミュレーター内でもないのに、汚染されてる!」 『ユーリエフ・インスティテュート』 ルベドをバカにしたと標準体URTVを殴り続けたアルベド。 後日、「何を考えてたんだ!No623は重症だぞ!」と咎められる。 しかしアルベドは「なんだ、そんなこと。再生すればいいんだよ。こんな風に」と、 突如、拳銃で自分の頭を吹っ飛ばす。驚愕して言葉もないルベドとガイナン。 すると、光と共に、完全に再生するアルベドの頭部。「ね?」 アルベドを殴り飛ばすルベド「ばかやろう!死んだら――死んだら終わりなんだぞ!」 「まさか、ルベド達は再生しないの?」「当たり前だ!」「それは君だけに与えられた特殊能力なんだよ」 「そんな――二人ともいつか自分だけを残して死ぬの!?嫌だ!一人ぼっちは嫌だ!」 泣き叫ぶアルベド。 「ばかやろう。俺まで悲しくなってきたじゃないか」と、もらい泣きするルベド。 546 ゼノサーガEP2 ◆l1l6Ur354A sage04/07/0817 01ID JwCOceFw 地面の土を掘りつづける子供アルベドの映像を見るシオン達。 シオン「彼、何をしているの?」 Jr「わからない――あの時、自分は死ねないとわかったその時から、アルベドはどことなく 変わっていったんだ。俺にはわからなかった。死ねない体を持つということが」 ジギー「肉体は魂の牢獄――そう言ったのは誰だったかな。肉体が滅びず、精神が負う 恐怖だけが増大していくのだとしたら、世界は、もはや永遠の監獄でしかない」 Jr「俺とアルベドは、元は一つだったんだ」 シオン「元となる遺伝子が同じだったってこと?」 Jr「いや、文字通り受精後28週までくっついてたのさ。ここらへん(背中の右胸)にあいつの 心臓があってさ。細胞の成長を促進させたり抑制させたり。俺とアイツの能力は 同じものに根ざしている。引き剥がされたことで、その能力は両極端へ行ったがな」 シオン「ねぇ、Jr君。あの人と、再び歩み寄れないのかな?」 Jr「どうだかな。俺もあいつも捻くれ者だからな」 『モモの精神世界 雪山』 過去の風景を見るシオン達。ルベドの影が怪物のようになる アルベド「何だ、やっぱりルベドもボクと同じ化け物なんじゃないか。元は1人だったんだもんね。 ボクが怪物ならルベドも怪物で当たり前じゃないか。嬉しいよルベド」 と挑発するアルベドに対し、赤いオーラを発するルベド。 「ルベド、怒らないで。落ち着いて」と制止するサクラ。 アルベド「今も感じるかルベド…右胸にあった俺の心臓の鼓動を」 子供アルベド声が、段々現在のアルベドのものへとシフトしていく。 それに呼応するかのように、現在のJrの体も赤いオーラを発し始める。 現実世界にいるアレンからの通信 アレン「主任。エンセフェロンフィールドが、急速に崩壊を始めています!」 シオン「やっぱりまだトラップはあったのね。エンセフェロンダイブする事まで 見越していたんだわ」 ジギー「アルベド…と言ったか。あの男もサクラ・ミズラヒの知己だったのなら、 ここへJrが送られることも予想通りだったのかもしれないな」 アレン「エンセフェロンフィールドへのバイパスが生成されている!?」 モモの精神世界へ、本物のアルベドが出現し、Jrを羽交い締めにする。 Jr「アールーベードー!」 シオン「落ち着いてJr君! 兄弟とこじれたままなのは悲しいんでしょ!」 アルベド「こじれる?俺とルベドはこれでも仲がいいんだぜ」 互いにオーラをぶつけ合うJrとアルベド。 シオン「やめて、Jr君。戦って辛い思いをするのは君の方!」 アルベド「ああ、誉めてやれよ。こいつは十分感情を抑制している。 しかし、体が戦いを欲しているのさ。俺達は兵器だからな」 その様子を見ていたモモが意識を取り戻し、叫ぶ。すると、突如、モモから光の柱が昇った。 アルベド「かかったな――ペシェ!お前は本当に純粋で扱いやすいよ。ヨアキムも酔狂な男だ。 人間に似せた感情など持たせないほうが、よっぽど安全だったろうに!」 Y資料は流出した。 『宇宙空間』 ESシメオンのコクピットで目覚めるアルベド。その体が光に包まれる。 アルベド「これだ。信念の鍵。ミルチアを呼び覚ます福音の音だ。見ているか、ルベド。 さあ、俺達の新世界をわかちあおう」 アルベドはESシメオンごと消滅した。 『UMN管理センター』 右胸を押さえ、うずくまるJr Jr「この痛み、アルベドの!? まさか、アイツ――」 DISK1 終了 547 ゼノサーガEP2 ◆l1l6Ur354A sage04/07/0817 07ID JwCOceFw Y資料を手にしたアルベドによって、ミルチア宙域へのUMN転移コラムの封印が解除され、 ミルチアへの回廊が出現した。そして、各勢力がこぞってミルチアへ侵攻する事となる。 目的は、ミルチアに存在するオリジナルゾハル。 しかし、これを予想していた移民船団と浮き足立った連邦では勝負にならず、 進行を阻止しようとした連邦艦隊は移民船団に蹴散らされた。 ヘルマーは、エルザにミルチアへの降下を依頼。 ユリとモモの会話 ユリ「危険な任務になるわ。どうしてかしら。私はあなたを行かせたくない。 彼――ジグラットの言うとおりね。あなたはサクラとは違う。 ルベドから聞いていたサクラは意外とお転婆だったし。あなたはよく気が利くしっかり者。 だからこそ、もっとあなたのことが知りたいの。だから、必ず戻ってきて」 Jr、ケイオス、モモ、ジギー、そして新たに加わったカナン、ジンを加えて、一行はミルチアへ出発した。 『曙光 シオンの自室』 フェブロニアの幻影を見るシオン。妹たちを解放して欲しいとまた言われる(前作でも言われた)。 通信室で、ネピリムも出現。フェブの妹たちがミルチアにいるとわかる。ミルチアへ行く事を決意する。 しかし、この混乱した状況のため、ミルチアへのゲートジャンプは制限されており、許可がないと行けない。 そこで、シオンは思い出す。かつてケビンが開発していた、UMN転移コラムを介さずにゲートジャンプが 可能な航宙機を。アレンと管理区域に忍び込み、その航宙機を奪ってミルチアへ飛び立つシオンとアレン。 それを眺めるヴィルヘルムと赤マント。 「宜しいのですか?」「彼女は適合者だからね。役者は揃った。あとは騎士の登場を待つだけだ」 「その役目、本当にあの者でよろしいので?」「障害は大きいほど盛り上がる」 『宇宙』 一旦ゲートアウトしたシオン。ミルチアへは残り半分。その時、突如謎の部隊が出現し、襲い掛かってくる。 集中放火を浴び、回避するシオン達。その中の一機、ドーム状の形をした明らかに特殊な機体は、 人間が乗っているとは思えない機動を見せる。さらに、眼前まで迫り、人型へ変形するその機体。 悲鳴を上げるシオン。 『第2ミルチア』 シオンの悲鳴に反応するかのように、コスモスが目覚める。 「リアクターは積んでないのに何で動いている!」とビビる職員たち。 「シオンが呼んでいます」と呟き、バイクに乗って飛んでいくコスモス。 『宇宙』 謎の部隊に追い詰められ、観念するシオン達。が、突如飛来したビームによって、 敵機が次々に爆発していく。コスモス到着。飛行ユニットを切り離した航宙機とドッキングする コスモスのバイク。航宙機の各部が変形し、翼を持った白いロボットへと変形した。 先ほど切り離した飛行ユニットと合体し、巨大なビームを放って敵を全滅させる (敵の特殊機体は、食らう直前に転移して回避した) そこへ現れるエルザ。シオンは乗っていた仲間たちと合流。 ロボに変形した航宙機は、ESの一体であると判明(ESディナ)。 548 ゼノサーガEP2 ◆l1l6Ur354A sage04/07/0817 11ID JwCOceFw 『宇宙』 ミルチアへ急ぐため、一行は2重ブラックホール「アビス」の間を抜ける作戦に出る。 しかし、そこには移民船団の艦隊と巨大要塞が隠れていた。猛攻を受けるエルザ。窮地を脱するために、 巨大要塞に潜入して内部から破壊する事に。 ヘルマンとリヒャルト、そしてオルゲイアを退け、コアを破壊して脱出しようとする一行。 しかしあと少しの所で、ペレグリーの乗るESイサカルが立ち塞がる。 戦闘の後、「このままアビスに飲まれてしまいなさい」と言い残し去るペレグリー。 なんとかエルザに辿りついた一行だったが、エンジンが直っておらず、また飛びつことが出来ない。 絶体絶命かと思われたその時、牽引ビームによってエルザは引き上げられる。 それは駆けつけたデュランダル(クーカイファウンデーションの巨大戦艦)によるものであった。 デュランダルはすぐさま脱出。移民船団の艦隊と要塞を飲みこんだ後、アビスは消滅した。 ガイナンはどこだと尋ねるJrに対し、大事な用があるといって本星 (フィフス・エルサレム)へ出かけたと答えるメリィ。 その頃。暗い部屋で頭を抱え、悶え苦しむガイナン。 『回想:ユーリエフ・インスティテュート』 シトリン(URTV-No668の女の子)とニグレド(ガイナン)の会話 シトリン「あなたも、私達と同じなのよ」 ニグレド「同じ?」 シトリン「コードネーム・レッドドラゴン。有益だけど、暴走の危険を孕んだ、危険な生き物。 私達の任務はね、そのレッドドラゴンの暴走を抑えること。ねぇ、あなた、不思議に思わない? どうして自分はウ・ドゥ・シミュレーターに反応しないのか」 ニグレド「それ――まさか」 シトリン「そう。レッドドラゴン…赤くて…大切なものよ」 『回想:ユーリエフ・インスティテュート』 ディミトリ「さあ、来なさい、ニグレド」 ディミトリへ銃を構えるニグレド。 ニグレド「嫌だ!ボクは任務を放棄する!あなたの命令には従わない!」 銃声。 ガイナンが立ちあがり、うめき声をあげて倒れる。 倒れたガイナンの髪の毛が、黒から金へと変質し、声も変わっていく。 『デュランダル』 エルザを修理し、再びミルチアへ向けて出発する一行。 『暗い部屋』 金髪になったガイナンと、どこかの職員が端末で通話している。 職員「お目覚めを歓迎いたします。ディミトリ様」 金ガイナン(ディミトリ)「うむ。現在の状況は?」 職員「酷く混乱しております。14年の間に連邦は老い、多数の泡沫勢力が争っておりますので」 ディミトリ「まさか、目覚めるまでに14年もかかるとはな。ウ・ドゥは?」 職員「14年前、URTVの1人が一時的に連結を果たしました。ところで、お体の方はよろしいので? 何でも、以前の体は破棄なさったとか」 ディミトリ「ああ。延命処理にも限界があるからな。息子の体はひどく快適だ…ふふっ。 私を殺した息子だがな」 549 ゼノサーガEP2 ◆l1l6Ur354A sage04/07/0817 18ID JwCOceFw 『ミルチア』 ついにミルチアへ降下した一行。U-TIC機関の施設でカナンの脳内にあるデータのプロテクトを解除し、 14年前の紛争の真相を明かすジン。 U-TIC機関は、ヨアキム・ミズラヒが中心となって、ゾハルを研究するために連邦の出資によって 作られたもの。しかし、U-TIC機関は、連邦へも極秘で軍備を整えて軍事組織へと変わっていった。 そのために必要な莫大な資金は、背後にいる企業から出されていた。ハイアムズ重工。 その代表は移民船団の枢機卿ハインライン。U-TIC機関と移民船団の繋がりに、驚く一行。 ジン「モモさん――あなたのお父さんはね、決して狂人なんかじゃなかった。 ヨアキム博士は、あの状況下、ある決断をした。このミルチアを、ゾハルとウ・ドゥごと 外界から切り離すことで、最悪の事態を防いだんです。そして、最も信頼するあなたの中に、 そのデータを託した。確かに、彼のせいで大勢の人間が命を落としたのは事実です。 だからこそ、彼は自らを断罪したのでしょう」 ジンは、ヘルマーの元へそのデータを送る。 『ゾハルの格納エリア直前』 立ちはだかるマーグリス。 ジン「14年前、データを破棄しなかったのは失敗でしたね。 星団連邦に、もはやあなた方の戻る場所はない! それとも、あの時はそんな余裕はなかったという事ですか」 マーグリス「まともに死ねると思うなよ。ウヅキィィィ!!」 再びジンと剣を交えるマーグリス。そして、 「決着をつけたくば、生き延びることだ!」と言い残し、迎えに来たスキュータムに乗って逃走。 『オリジナルゾハルの間』 ゾハルの前に、二つのカプセルがある。覗き込んで絶句する一行。 四肢を切断され、機械に繋がれた少女が二人。フェブロニアの妹であるセシリーとキャスであった。 シオン「誰がこんな酷いことを」 「生体のままでは何かと不都合だったのでな。 意識と、それを包む外界とを隔絶する必要があったのだ」 上空に、人間の立体映像が現れる。移民船団の教皇。 Jr「てめぇ、よくもこんなことを」 教皇「何か問題でも?そのために生み出された道具だろうが。 それに元々、ゾハルは我々オルムスのものだ」 ジン「オルムス…それがあなた方の本当の名か」 教皇「そうだ。オルムスは遥か昔、救世主が磔に処せられる以前から世界の闇に存在していた。 人類は、いや、宇宙の全存在は、ゾハルと我々オルムスによって導かれなければならない。 そしてさらなる高みへと至る。それこそ我々が神より与えられた使命」 Jr「ふざけやがって」 教皇「では見せてやろう。我々が神より受け継ぎし力を!」 ゾハルの背後にあった巨大なロボットが、ゾハルを腹部に収容する。 ジン「これはまさか、プロトオメガ!? 完成していたのか!」 教皇「ほう、これの存在を知っているとは、貴様ただのネズミではないな? これによってグノーシスを一掃し、我々の支配する新たな時代を築くのだ。」 響き渡る不吉な声。 Jr「これは…ウ・ドゥの声。い、今すぐシステムを止めろ!さもないと奴が再び目覚めるぞ!」 コスモスのマシンガンによって、破壊されるセシリーとキャスのカプセル。 教皇「ふん、無駄な事を。今更何をしようが、もはやこの力を止めることなどできんわ!」 起動し始めるプロトオメガ。ここはやばいと脱出する一行。一目散にエルザで飛び立つ。 その背後で、ミルチアの大地をぶち破り、中から巨大な何かが姿を現し始めた。 ミルチア上空で戦闘を行っていた連邦艦隊と移民船団は、眼下から出現した巨大な物体と、 ミルチアから噴出する爆炎とマグマによって次々に壊滅していった。 それを背に、間一髪安全圏への脱出に成功したエルザ。 卵から孵るようにミルチアを内側から破り、惑星サイズの巨大な蝶のような姿をした オメガシステムがその全容を現す。 Jr「野郎…惑星を吹き飛ばしやがった…!」 550 ゼノサーガEP2 ◆l1l6Ur354A sage04/07/0817 24ID JwCOceFw オルムスと繋がりのある連邦議会議員が、ペレグリーと通信している。 議員「そうか。オメガが目覚めたか。総帥もお喜びになるだろう。ぐあっ」 突然倒れる議員。 ペレグリー「どうした!…お前は、14年前に死んだはずでは!」 ディミトリ「すでに議会は掌握し、連邦艦隊の増援部隊を送った。貴様らの好きにはさせんよ。 総帥とやらに伝えておくがいい。私は死なん…永遠にな」 『デュランダル』 通信が入る ディミトリ「久しぶりだな、我が息子よ」 Jr「お前…」 シオン「息子って…まさか、ディミトリ・ユーリエフ博士?」 Jr「てめぇ…対消滅を起こせば、ミルチア一つくらい軽く消し飛ぶこと知ってやがったろう!」 ディミトリ「惑星一つで星団全てが救えるのならば、安い代償だったろうに。 再びウ・ドゥ覚醒の危機に瀕した今、不確定要素はなるべく取り除かなければならない。 我々は、ウ・ドゥと再接触しようとする存在を察知した」 Jr「再接触…アルベドか?」 ディミトリ「そうだ。汚染された脱落者だ」 Jr「あいつは止める。しかし殺すためじゃない。奴にバカをやめさせるためだ!」 ディミトリ「期待しているよ」 通信を終えたディミトリが苦しみ始め、再びガイナンの姿へ戻る。 ガイナン「Jr…俺の言葉を信じるな…」 『オメガシステム中枢 ゾハルの間』 教皇と、マーグリスの立体映像の会話 教皇「連邦め、まだ増援を送ってくる気か。マグリス、艦隊を率いて殲滅しろ」 マーグリス「ふっふっふっ……」 教皇「どうしたマーグリス。私の言葉が聞こえないのか?」 マーグリス「猊下御自ら行かれるが宜しいかと」バカにしたような口調のマーグリス 教皇「何だと?誰に向かって口を聞いている?貴様の仕える者は誰だ」 マーグリス「何か勘違いをなさっているようで。我々審問官が仕えるはただ一人。 それは猊下も御存知のはず。我々の思惑通り事は運んだ。あとは、 貴方に殉教者となって頂くのみ」 教皇「貴様――。 !! まさかハインラインか!!」 マーグリス「では、教皇陛下」 消えるマーグリスのホログラフ。1人残される教皇。 551 ゼノサーガEP2 ◆l1l6Ur354A sage04/07/0817 29ID JwCOceFw 『オメガシステム』 オメガシステムへと潜入した一行。プロトオメガとゾハルのある教皇の間へと辿りつく。 シオン「貴方、自分が何をしているのかわかってるの!」 「俺も同感だぜ。その力は俺のものだ。貴様にその資格はない」 光とともに、アルベドが姿を現す。 Jr「アルベド!」 アルベド「どうした、ルベド。そんなに嬉しそうな声を出して」 Jr「だ、誰が嬉しいもんか」 教皇「もう遅いわ。URTV…歪んだ時代が生んだ出来損ないの兵器め。 最早貴様の存在意義などないわ!」 アルベド「うるっせぇジジイだな。どうするルベド。このジジイをブチのめすのを手伝おうか」 立ったまま、そして空中から光線を発するアルベド。 だが、全てプロトオメガに防がれる。逆に、プロトオメガの放った光線を浴びて吹っ飛ばされる。 Jr「アルベド!」 アルベド「いいねぇ、お前ら。最高だよ。俺を破壊するのか」 光に包まれ、分解されていくアルベド Jr「アルッ…」 アルベド「完全なる破壊ってのもいいよなぁ。なあ、ルベド。 分子になっても、俺という質量がこの宇宙から消えてなくなるわけじゃないんだぜ。 俺を構成していた分子を、存分に呼吸してくれよな。ルベド。ハハハハ…」 消滅するアルベド Jr「てめぇ、よくもアルベドを!」 教皇「どうした?不倶戴天の敵ではなかったのか?んがーはっはっはっは!」 Jr「あいつをブチのめしていいのは…俺だけだ!」 ラストバトル VS教皇 プロトオメガ 教皇「わしには理解できん。貴様は何故そうまでしてわしの前に立ちはだかるのだ。 貴様に何の益がある」 Jr「知るかよ。てめえが俺の道の上に勝手に立ってるだけだろうが!」 教皇「くだらん問答に付き合うつもりはない。これを見れば 貴様のその無駄口も開いたままになるだろう」 光を蓄え始めるプロトオメガ 教皇「UMN相転移砲。この宇宙のどこからでも対象を射抜ける兵器だ。 安心しろ。すぐに会わせてやるよ。あの世でヘルマーに伝えておけ!」 突然停止するプロトオメガ 教皇「どうした。何故止まる! 動け!」 「ゾハルは、お前のために用意されたものではない」 広間の上部から、転移して現れる3つの機体。青マント、赤マント、黒マント (1人だけ素顔を晒してる。坊主頭のおっさん)がそれぞれの機体の上に乗っている。 黒マントのは、ミルチアへ来る途中、シオン達の乗ったディナを襲った機体。 教皇「ま、まさか! テスタメントか!」 552 ゼノサーガEP2 ◆l1l6Ur354A sage04/07/0817 32ID JwCOceFw 青マント「退場しろ!お前の舞台は終わったんだ」光を放つ 教皇「そ、そんなバカなことがぁ…!」 光に包まれ、消滅する教皇とプロトオメガ。後にはゾハルだけが残る。 黒マント「……」 青マント「どうした。知り合いでもいるのか?」 黒マントを見ていたジギーの顔が、次第に怒りの表情へと変わっていく ジギー「貴様…貴様はぁぁぁ! ヴォイジャァァァァァァァ!!」 ミサイルを連射するジギー。しかし、黒マントの手前で全て消滅。 それはジギーの背後へ出現し、自ら放ったミサイルの直撃を受けたジギーは倒れる。 赤マント「始めるぞ」 ジギーの方を見ていたシオンだが、赤マントの声を聞き、はっと赤マントの方を振り向く。 光を放ち始めるテスタメント。その光によって、ゾハルの前にアルベドが再構築されていく。 Jr「や、やめろ!お前はそんな事のために生まれてきたんじゃない!」 アルベド「いやぁ?俺はこの時を待っていたんだ!来いよルベド。俺の世界に」 ピンク色のオーラを放ち始めるアルベド Jr「ウ、ウ・ドゥ…」 第三種兵装を呼び出し、ウ・ドゥの波動を防ぐコスモス。 ジギー渾身のパンチによって隔壁を破壊し、一行は近くまで迎えに来たエルザに乗って脱出する。 アルベドの起こした局所事象変異によって飲みこまれ、分解され、消えていくオメガシステム。 後には、巨大な球状の局所事象変異だけが残っている。 今はその拡大は収まっているが、このままでは近い内にこの宙域全てを飲み込む事になってしまう。 状況を打破するには、直接乗りこんで元凶…アルベドを倒すしかない。 Jrはモモに必ず帰ると約束し、単身、局所事象変異へ乗りこんでいく。 『局所事象変異』 様々な幻覚がJrの前に現れる。 ユーリエフ・インスティテュートで土を掘り続ける子供アルベド アルベド「お墓を作ってるんだ。お墓と言っても真似事だけどね。 ルベドとニグレドが死んでも悲しくないように練習してるんだ」 アルベド「そうだ。ウ・ドゥとまた連結したら、ルベドがボクを殺してくれるかな」 Jr「俺はお前を殺したりしない!」 アルベド「大丈夫だよ。ルベドはそういう風に作られてるもん。ウ・ドゥの反存在として。 連結がどんなのだかわかる?悪魔との契約並にいかすぜぇ」 子供アルベドがサクラを殴っている アルベド「この女!ルベドに色目を使いやがって!ルベドが困ってるじゃないか!」 Jr「何をしている!やめろ!」 アルベド「ああ?なんで止めるんだよ」 また殴りはじめるアルベド。アルベドを殴って止めるJr。いつのまにか、サクラはモモになっていた。 アルベド「こんな代わりの人形で満足して…ルベドも哀れな男だよなぁ! こいつは汚されたんだ。僕の手でね。こいつの中、気持ちよかったぜ。 ルベドも味わってみなよ。きっと君になら喜んで…」 Jr「黙れ!」 殴りかかるが、消える子供アルベド 鏡の中からJrが語り掛けてくる 鏡Jr「あんな奴殺しちゃいなよ。壊しちゃえ。昔から足手まといだったんだろ」 Jr「やめろ!」 その姿が子供アルベドへ変わる アルベド「早く僕を殺しておくれよ!」 鏡を撃ち破るJr。体が赤いオーラを発しはじめる。 Jr「こ、こんな時に! 赤い竜(レッド・ドラゴンモード)――破壊的な対ウ・ドゥシフト!くそ…!」 サクラの幻影が現れ、Jrの暴走は収まる。 553 ゼノサーガEP2 ◆l1l6Ur354A sage04/07/0817 37ID JwCOceFw ついに、礼拝堂のような場所、アルベドの元へ辿りつくJr。 アルベド「俺はついに欠片を埋めた。肉体こそ失ったが、爽快な気分だぜ」 Jr「今すぐ事象変異を止めろ」 アルベド「『悔い改めよ』か。嫌なこった。俺は不死者の務めとして、人類に 全く新たしい視点を用意してやったんだぜ。かつてウ・ドゥと一部的にリンクした俺は見た。 人類が営々と築き上げてきた、文明という名の斜塔をな。いや、塔ですらない。 乏しい知識と貧しい手立てで組んだ、腐り木の足場。だが…親切な人間なら こう言ってやるべきじゃないのか?もしもーし!間違ってますよー!とさ」 Jr「このままこの宙域をどうするつもりなんだ!」 アルベド「さあな。領域シフトでも起こして、この次元ごと高次領域へ突っ込むかぁ? 神を乞うんじゃない。俺たち低次元の生き物が、大挙して高次元へ押しかけるのさ! それこそ永遠の連鎖だ。欠片の充足だ!人と、人を観測者たるよう位置付けた 世界そのものの進化だ。祝えよ。休日に俺の名前がつくぞ。あっち側に 安息日の概念があればの話だがな」 Jr「やめないないのなら…俺はお前と殺り合うぜ!」 アルベド「来いよ。俺の陽電子。お前は対ウ・ドゥ兵器。兵器が闘争への欲情を恥じることはない。 そもそも、人間そのものが、世界が望んだ兵器なのかもしれないぜ!」 Jr「確かにな。俺の中の兵器の部分が、高揚している。対存在と衝突したいってな。 多分、生まれた時からお前と戦いたかったんだ」 アルベド「気があうなルベド。俺もそんな気分だ。今すぐお前をなぶり殺しにしたいってなぁ!」 赤いオーラを発し、銃を構えるJr Jr「さあ来いや。お前をそこから引っぺがして、デュランダルへ連れ帰るぜ!」 ファイナルバトル VSアルベド 楽しかっただろ?と問い掛けるアルベドに答えるJr。 Jr「ああ、楽しかった。所詮俺達URTVは、戦うための兵器さ」 アルベド「違うな。俺達が愚かなのは兵器だからじゃない。男だからさ」 自らの手を眺めるアルベド。その手は透き通ってきている。 アルベド「完全なる消滅。これもある意味で解放と言えるな。少なくとも、 もう誰の死にも怯える必要はない」 Jr「アルベド、お前最初から!」 アルベド「何て顔してんだルベド。まるで恋人と死に別れたみたいな面だな。 俺は…お前もニグレドも大嫌いなんだ」 アルベド「ニグレドの影に気をつけろ。何故奴だけがウ・ドゥに反応しないのかをよく考えるんだな」 天使の羽を生やしたキルシュヴァッサー達が降りてきて、アルベドの手をとる。 Jr「待て、アルベド、行くな!」 天使キルシュ達に連れられて、光の中へ昇天していくアルベド Jr「俺を1人にしないでくれぇー!」 アルベド「あぁ…ルベド…俺は自由だ…」 暗闇の中、泣きじゃくるJrに話しかけるサクラ。「どうしたの? ルベド」 「聞こえないんだ。右胸のもう一つの鼓動が、聞こえなくなった。 俺は自分の半身を引き剥がしたんだ。ここにいる俺は、もう俺じゃない」 だが、モモを守るというサクラとの約束を思い出し、立ち直るJr。 倒れるその体をケイオスが受けとめる。 ネピリム「これで終わりじゃない――これからが始まり」 局所事象変異は消滅し、真っ暗な宇宙空間にゾハルだけが残される 554 ゼノサーガEP2 ◆l1l6Ur354A sage04/07/0817 45ID JwCOceFw デュランダルへ帰還したJrとケイオス。「またこいつに助けられたよ」 百式「座標を確認。93%の確率で、ミルチアにあったオリジナルゾハルと思われます」 デュランダルはゾハルを確保しようとするが、警告音が鳴り響く 百式「オリジナルの周辺に、大規模な空間歪曲を感知!大質量体が、ゲートアウトしてきます! 質量予測値増大。算出不能!」 メリィ「まさかグノーシス? そんな、こんな巨大なグノーシスがおるんかいな!?」 『曙光・社長室』 ヴィルヘルム「来るよ…アベルの方舟だ」 『デュランダル』 百式「衝撃波、来ます!」 宇宙空間を揺さぶり、中心に地球のような球体、背部に巨大なブラックホールを内包した、 船とも生物とも形容しがたい超巨大な物体「アベルの方舟」が出現する。 真空を漂っていたオリジナルゾハルは、そのブラックホールに飲みこまれ消えていく。 そして、目的を果たしたかのように、光とともに消滅するアベルの方舟 宇宙空間の中、デュランダルの上に立ったケイオスに、曙光の中のヴィルヘルムが語り掛ける。 ヴィルヘルム「久しぶりだね。『イェオーシュア』でも。干渉しないんじゃなかったのかい」 ケイオス「決めたよ。僕はもう迷わない」 ヴィルヘルム「嬉しいよ。君がようやく舞台に立ってくれて…」 『エンディング』 デュランダル内で、Jrがメリィを呼び、犬を飼っていいかと尋ねる。 Jr「アビーてんだ。アルビノだから、アビー」 メリィ「不適な面構えしとるな」 Jr「誰かと似て、あまり言うことはきかないな」 空港で待つ、ユリとモモの元へくるジギー Jrの計らいでモモの保護が最優先任務とされ、一緒にいられることになったと言うジギー。 喜ぶモモ。 モモのために、脳の延命処置を受けてもらえないかと頼むユリ。 私も、あなたから学びたいことがある、と。 ジギー「考えてみよう」 シオンとアレンは、エルザで旅立つジンを見送りに来ている ジン「一連の事件が、これで終わりとは思えないのです。それに、 教皇が言い残したオルムスという組織のことも気になりますからね」 シオン「兄さん…気をつけてね」 発進するエルザ 『スタッフロール終了後』 暗闇の中、各自の専用機の上に立ったヴィルヘルムとテスタメント達が会話をしている ヴィルヘルム「これが件のY資料…しかし、欠損が多いね」 青マント「あのレアリエンの主データベースは、アイツとU-TIC機関が洗いざらい調べたはずだぜ」 赤マント「彼が触れたのは深層意識までだ」 ヴィルヘルム「深層意識の更に下、無意識領域の最下層、ウーヌス・ムンドゥスに その答えがあると言うのかい?」 赤マント「恐らくは」 ヴィルヘルム「ふぅん…ま、そういうことにしておこう。ロストエルサレムへの扉が開かれる時、 コスモスは…目覚める」 青マント「で、アイツはどうするんだ?」 ヴィルヘルム「『惜しい』…って言っただろ?」 ヴィルヘルムの背後にスポットライトが当たり、純白の機体が降下してくる。 青マント「だとさ。よかったなぁ、相棒」 その機体の上には、白いテスタメントが立っている。 白マントのマスクがアップになる。 ヴィルヘルム「ようこそ。永遠の連鎖(ツァラトゥストラ)を、紡ぐ者よ」 To Be Continued 555 ゼノサーガEP2 ◆l1l6Ur354A sage04/07/0817 57ID JwCOceFw 一気に書いたのでこれで終了です。 ToBeContinuedは 2の「時間をおいてまた今度」ではなく 次回作へ続くってことです(念のために)
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トップページ 最強ゼノ3音楽 ■プレイ感想 プレイ感想 今回の戦闘 ザコ戦 ボス戦 各キャラ強さ 各キャラ投票 おすすめキャラ シオン モモ ジギー ■ストーリー 物語攻略まとめ ■GeMix関連 まとめ 名人 達人 ■ストーリー関連 神殿 フェデラルリポート アップデートファイル ブロック破壊 フットスイッチ ■その他 質問と答え 必殺技レベル マスタースキル SP稼ぐ方法 入り江のBの扉 お金の稼ぎ方 ミルチアのアイス ■その他2 セグメント デコーダ状況 クーポン番号 セブンムーンズ ブーストゲージ セフィロトの枝 ■アイテム アイテム関連 ■敵攻略 敵攻略まとめ ■終盤の戦い方 長期戦 キャラ戦 E.S戦 ■ネタバレ ネタバレ クリア特典 小ネタ バグ報告 ■おすすめ 最高ゼノサーガ3 更新履歴 取得中です。 - 今日 - 昨日 -
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登録日:2011/06/27(月) 12 25 37 更新日:2024/04/04 Thu 11 17 37NEW! 所要時間:約 7 分で読めます ▽タグ一覧 E.S. Xenosaga アニマの器 ゼノサーガ ロボット ワンオフ機 専用機 戦略機動兵器 ゲーム「ゼノサーガシリーズ」に登場するアニマの器が搭載された機動兵器の総称(E.S.とはEin Sofエイン ソフ“神なるモノ”の略)。 アニマの器をインターフェースとする事でゾハルから上位領域のエネルギー供給を受ている為、無限の稼動時間を有するが、パイロットにアニマの器をゾハルとリンケージさせる適性(テスタメント因子)が必要で適性がないと動きもしない。 人をえり好みする面倒な奴ら。 コクピットは単座型と複座型の二種類があり、基本的にヴェクター製はパイロットとコ・パイロットを分けて火器管制をする必要があるため複座型、オルムス製は機能特化されているため、単座型となっている。 ゲームでは「Ⅱ・Ⅲ」で使用出来るが「Ⅱ」は単調でもっさり、ロードの長さもあってストレスの原因なる。 爽快感を求める方は「Ⅲ」を。 ~味方側~ ◆【ディナ】 シオンが会社から横領したE.S.。 元々、KOS-MOSの追加兵装としてケビンによって建造された機体でシオンの搭乗機でもある。 機体特徴としてはU.M.Nを介さないゲートジャンプによる航宙クルーザー並の長距離航行能力と、高速高機動戦闘能力が挙げられる。 武装も充実しており、得にKOS-MOS搭乗時に使用可能になるXバスターは強力である。 複座型ではあるが、KOS-MOS非搭乗時は、機体制御から火器管制までシオンが全て一人で行っている。 「Ⅲ」でデザインが変更され、ウイング部分が蝶の羽を模したものになり、肩部に新たなビーム砲が付くなど攻撃的かつ更に美しいものに変わった。 ◆【ゼブルン】 パンチラ娘、モモ(+ジギー)の搭乗機。 ヴェクターからクーカイ・ファウンデーションに貸し出された機体でモモ用にカスタマイズされ、多数のエアッド(ビット、ファンネルみたいなもん)を装備している。 過剰なまでに装備されたエアッドは、複座型とはいえ通常の人間やレアリエンには制御は不可能で、百式観測器のモモだからこそ運用できる兵装である。 「Ⅱ」では右手にエーテル弓、左手に小型エアッドのプラットフォームを装備してしいたが、「Ⅲ」では外され代わりに大型エアッドが二機、肩部に追加されより女性的なシルエットとなった。 余談だがこの変更は「Ⅱ」の開発スタッフから『動かしづらい』と苦情が出たからだとか、デザイナー曰く『遊び過ぎた』とのこと。 ◆【アシェル】 ケイオス、Jr.の搭乗機。 「Ⅱ」の序盤ではカナンが主パイロットだったが、後にJr.用にカスタマイズされる(上記のテスタメント因子を持たないカナンで起動出来たのはサブパイロットのケイオスの存在、もしくはヴィルヘルムお墨付きの『特殊』レアリエンだからだと思われる)。 地上戦主体だが、オプションパーツで大気圏内の空戦も可能。2門砲口のマシンガンにスピア付きのシールドを基本武装として、ほぼ全ての局面に対応できる様々な専用武装が存在する。 またエルデカイザーのジェネレーターを補器として装備しておりアニマの器が未搭載でも全ての兵装をフルスペックで運用可能。 因みに、このジェネレーターには機密保持の為か自爆装置がある。 ハカセェ… これをアシェルに積んでなければ、ラストシーンで人類は終了していたかもしれない ◆【ルベン】 ジンの搭乗機。味方側では唯一の単座式。 「ミッシングイヤー」に搭乗したプロトルベンに運用データをフィードバックしジン用にカスタマイズされたヴェクター製の機体。 接近戦に特化、高次元機動戦闘を重視した結果、紙装甲の機体になってしまったが、装備された二振りの実体剣による攻防一体の戦闘スタイルでそれを補っている。 遠距離武装は弓矢のみだが、剣から発せられる衝撃波(月牙〇衝?)による遠距離攻撃が可能である。 ~敵側~ ◆【レビ】 マーグリスの搭乗機であり、主人公側のE.S.とは異なる曲線主体のフォルムをしたオルムス(ハイアムズ)製で機体の全長を越える巨大な実体剣を主兵装にしている。 本来は遠近両方の戦闘が出来る万能機として設計されたが、 近接戦闘を好むマーグリスの意向で遠距離兵装が外され、飛び道具は威嚇用のクナイと手榴弾を装備のみとなっている(威嚇用となってるがマーグリスの操る機体から繰り出されると、単なる威嚇攻撃では済まない)。 腰部にサイドバインダーは展開式の大型ロジカルドライブであり機体の機動力を高める他に格闘専用のクローとしても使用可能。 ゲーム中で序盤と終盤に戦う事になり、終盤では最強・最後のE.S.として立ち塞がる。 マーグリスのキャラクターと中田ボイスが相まってか、かなり格好良い機体で、最終戦はテンション上がりまくりだが、最期が………竜頭蛇尾。 ◆【イサカル】 ペレグリーの搭乗機。 レビと同じくオルムスのE.S.であり、「Ⅱ」から続けての登場となる。 近接用のスピアと人の右手の様なフレキシブルシールドを装備していて、シールドの指にあたる部分がエアッドなっており、これによる全方位攻撃を得意とする。 「Ⅱ」ではオルムス機動要塞で、「Ⅲ」はミクタムにて戦う事になが、最期は主人公達に撃破され、ペレグリーと共に爆炎の中に消える。 ◆【ガド/ヨセフ】 マーグリスの部下であるリヒャルト/ヘルマンの搭乗機。 この二機は「Ⅱ」に登場したA.M.W.S パイラムとスキュータムのE.S.版で、後継機でもある。 ガドは大火力の戦艦主砲『ナグルファル』による砲撃戦。 ヨセフは装甲の薄いガドの防御に補助と巨大な棍を使った近接戦を行う。 二機同時運用の戦闘スタイルも同じであり、外観も帽子をかぶせただけで、大きな変更点はない。 両機とは、ミクタムにて初めて戦う事になるのだが、それ以前にレストランでのニュースやミクタムに降下するエルザに友軍の戦艦をぶち当てる所など細かい場所で登場しているが、パイロットの方は一切、顔が写らない… 一応「Ⅱ」からのレギュラーでドラマCDにも出演しているのに、どうしても顔が見たい方はDS版を。 ◆【ダン】 黒のテスタメント、禿げ頭のヴォイジャー搭乗機。 器の回収係 その1 本体は中央のひょろい棒人間だが、機体の大部分を構成する 可変式の大型シールドを装備、絶対的な防御性能と搭載された様々な火器による高い攻撃力を併せ持ち、更にシールドをたたむ事で黒いUFOに変形、シメオンに匹敵する機動力をも獲得するチート機体。 劇中では「Ⅱ」に初登場し、「Ⅲ」のミクタム大聖堂で戦う。 戦闘では前述の通り高い防御・攻撃力と毎ターン弱点と無効属性が変化する『ファントムアーマー』を持つ難敵。 ◆【ユダ】 ロリペドマザコンのケビンの搭乗機。 器の回収係 その2 高機動近接戦闘を主眼に置いた機体で二本のナイフを腕に装備している。 このナイフかなりの切れ味で事実上防御不可能の一家に一つは欲しい逸品。 これはU.M.N.の物理事象面の構造体に直接アクセス、実数領域に影響を及ぼしている為、 唯一の対抗策は、同様にU.M.N.の構造体にアクセス、虚数領域から防ぐしかない。 「Ⅱ」から出てるのに戦闘なし、ムービーでの活躍もない作中最大の不遇E.S. ◆【ナフタリ】 『ダァーイ』じゃないバージルの搭乗機。 砲撃戦に特化されており、機体の様々な箇所に火器を搭載している歩く武器庫。 機動力は他のE.S.より若干劣るものの、巡航形態への可変機構を持っている。 「Ⅰ〜Ⅲ」の皆勤賞受賞者だが「Ⅲ」の序盤でシオン達に倒され、あっさり退場。 フタナリじゃない。 ◆【シメオン】 アルベドの搭乗機。 ロジカルドライブの機能を持った長大なテイルスタビライザーを装備し、高機動戦闘を得意とする。 「Ⅰ」での光の翼を展開してA.G.W.S.やグノーシス共を一掃しながら宙を駆ける姿はめっさカッコイイ。 反響粒子砲にエアッドなど遠距離、近接を問わず様々な戦局に対応できるオールマイティーな機体だったが、「Ⅲ」では弥次郎兵衛に… デザインが変わったのは、「Ⅱ」でアルベドと共に消滅後、器のみ再利用され機体は新造された為である。 登場しても右手を挙げるだけで、戦闘も一切なし。 器の回収係 その3 旧ミルチアのラビュリントス地下工廠でレビと共に建造され完成した後に、U-TIC機関に身を置いていたアルベドに譲渡された事が、彼の発言からうかがえる。 追記・修正はE.S.を起動させてからお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] シメオンのデザインが変わったのは、文字通り別物だから。アルベドと共に消滅後、器のみ再利用され機体は新造された。 -- 名無しさん (2013-08-17 00 06 15) ↑Ⅲのシメオンのデザインがゼノギアスのギアハマーに似てる -- 名無しさん (2014-08-04 09 11 29) スパロボに参戦してほしい -- 名無しさん (2014-08-04 09 12 21) ルベンとアシェルには標準装備でミサイルも装備されてなかったっけ? -- 名無しさん (2015-02-07 12 53 39) 会社から横領したESてw 改めて言われるとひどいなw -- 名無しさん (2015-07-19 03 05 51) ディナに続いて、せめて主人公側は全部立体化してほしかったなぁ アシェルとかやりやすそうなんだけど -- 名無しさん (2016-01-29 08 00 08) なおゼノギアスにおけるシタン先生のギア・バーラー「El.フェンリル」のアニマの器がアシェル。EP3エンディングを見ると納得… -- 名無しさん (2019-11-09 11 36 28) EP3のラスボスはE.S.を組み合わせた合体ロボだけど、王道の合体ロボであるエルデカイザーとは逆に「引きちぎったE.S.のパーツをフランケンシュタインの怪物のごとく継ぎ接ぎした人型スクラップ」という感じだった -- 名無しさん (2024-04-04 11 17 37) 名前 コメント
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ゼノサーガ エピソードI 力への意志 ・要約版(ゼノサーガシリーズ全体の要約):要約スレpart3-23,112,114~118 ・詳細版:part12-594~610, 14-32~41 23 :ゲーム好き名無しさん:2008/12/26(金) 19 41 05 ID j1iAV0OwO ゼノサーガシリーズ 人々の拒絶し合う精神や、ウ・ドゥと呼ばれる高次元の波動とかの影響で 宇宙は一般人の知らないところで徐々に崩壊しており そのうち滅亡を迎えるのがほぼ確実になっていた。 有史以前から生きてる超人ヴィルヘルムは、宇宙の滅亡は不可避だと結論し アンドロイドKOS-MOSを造って古代に居た「マリア」という能力者を復活再現しようとする マリアの能力を利用すれば滅びかけた宇宙を原初までリセットすることができるのだ。 リセットしても記憶を失った人類は同じ歴史を辿ってまた滅亡に向かうのだが 滅びそうになるたびに再びリセットする「永劫回帰」という無限ループにすることで 未来が無いかわりに宇宙を延命できるのだという。 あるいは既にこの宇宙も、 何回も、ひょっとすると何千回以上もループした後の宇宙なのかも知れなかった。 冒険の中でKOS-MOSは覚醒を果たすが、今までのループとわずかに違い、 単なるマリアのよりしろでもプログラムに縛られた機械でもなく、 自分の意思を持ったKOS-MOSという一存在として成長する。 KOS-MOSはヴィルヘルムの意図に反し、閉じたループではなく、 仲間達と共に未来に進み崩壊を避ける道を模索することを選ぶ。 KOS-MOSが離反したことで暴走した強制リセット装置(ラスボス)を叩いて止めて 崩壊の中心を宇宙の僻地に隔離封印する事で滅亡までの時間を引き延ばすことに。 ワープ封印には成功するがKOS-MOSは大破し、いつか仲間と再開することを信じて ワープ先で長い長いスリープモードに…。 生還した仲間達はそれぞれのやり方で崩壊を阻止するために行動を開始。 幾人かはKOS-MOSのワープ先の星… かつて「地球」と呼ばれた星を探す果てしない航海に旅立つのだった。 …KOS-MOS関係とラストバトル周り「だけ」でこれだよ 各キャラ各勢力各設定とかちゃんと説明したらどうなるんだ… 112 :ゲーム好き名無しさん:2009/02/24(火) 17 15 47 ID j2QXEqlJ0 23のゼノサーガを書いた者なんだが、これ一応、事の真相ではあるんだけど これが明らかになるのがEP3の終盤なんで「あらすじ」っていうのとは違う気がしてきた。 EP1の前半だけ見てからこれを読むと 「この展開からどうやってこんなのに繋がるんだ・・・」って気分になるかもしれないと思った。 一応ゲーム展開のあらすじという方向でも纏めてみたんだが、要ります? できるかぎり要約した割にかなり長くなってしまったんだけど 114 :ゲーム好き名無しさん:2009/02/24(火) 21 55 07 ID j2QXEqlJ0 んじゃ行きます ゼノサーガ パイドパイパー (携帯アプリ) 人類が、とある災厄に見舞われて地球を脱出して数千年(本編の約百年前) 情報送信だけでなく物質の転送や仮想空間の構築、超光速航法も可能にした超空間ネット 「ウーヌス・ムンドゥス・ネットワーク(略称U.M.N.)」の恩恵を受け人類は暮らしていた。 だがアブラクサスという惑星で、U.M.N.仮想空間内で人が連続して殺される怪事件が発生。 星団連邦警察の対テロ隊長ジャンは「ヴォイジャー」を名乗るテロリストの犯行と見て調査を進める。 ついにヴォイジャーの正体を突き止めるがそれはジャンの身近な人物だった。 ヴォイジャーは様々な超常現象を起こす無限エネルギー物体「ゾハル」を使うために ゾハルにアクセスできる因子を持った人間の脳内情報を集めていたのだ。 目論見それ自体は失敗するが、ヴィルヘルムに資質を見出され 物理的に死なない不滅の存在テスタメントの一体に変貌するヴォイジャー。 逃げ場も勝ち目も失い家族も殺されたジャンに、ヴォイジャーは自分の仲間になるか、 それとも戦って死んで今までの被害者のように精神をコレクションされるか、という選択を迫る。 だがジャンは第3の選択として、自棄でも逃避でもなく、 自分の意思と人間としての尊厳を守るために自らの命を絶つのだった。 しかし後に、優秀な能力を持つジャンの遺体は サイボーグ体「ジグラット8(通称ジギー)」として意に沿わぬ形で目覚める・・・ 本編に続く。 本編中でのジギーは、大切なものを守れぬまま死も許されず存在し続ける苦痛に、意識をも機械化することを望むが 新たな仲間達との触れ合いにより人としての意思の在り様を再び見つけ出す。 そして犠牲を払いながらもついにヴォイジャーとの決着をつけ、 今度こそ大切なものを守り続けて生きていく事を誓うのだった。 115 :ゲーム好き名無しさん:2009/02/24(火) 21 56 13 ID j2QXEqlJ0 ゼノサーガ EP1 ヴィルヘルムがCEOを務める大企業ヴェクター、化粧品から戦艦まで扱う世界規模の一大コングロマリット・・・ そこに所属する若き女技術者シオンは、今は亡き恋人の天才科学者ケビンの研究を引き継ぎ、 人類を襲う謎の敵「グノーシス」に対抗するアンドロイドKOS-MOSを開発していた。 しかし乗っていた宇宙船が襲われ、グノーシスに接触され死にかけるシオン。 だが起動命令も出していないのに何故かひとりでに目覚めたKOS-MOSによって助けられる。 船を脱出したシオン達は、成り行きで(・・・に見えるが実は運命に仕組まれて) モモというレアリエン(労働用人造人間、アンドロイドと違いナマの生物で、明確な感情がある)達と出会い、 そのモモの脳内に封印された、ゾハルや超技術について記された「Y資料」というデータを狙う宗教結社オルムス (の一部であるU-TIC機関)や狂気の不死人アルベドとの戦いに巻き込まれていく。 感情を見せず、時に残酷な振る舞いをしたり、稀に仕様書には無い奇跡のような謎の力を発揮するKOS-MOS。 それらの行動や、KOS-MOSデータ内面世界に不可思議な領域があるのを垣間見て、KOS-MOSへの不安を抱くシオン。 だがKOS-MOSに幾度と無く助けられたこと、創り手としての愛情、亡きケビンとの絆を確認したい、との思いなどから、 シオンはKOS-MOSのことをもっと知りたい、共に生きたいという思いを強くするのだった。 116 :ゲーム好き名無しさん:2009/02/24(火) 21 57 00 ID j2QXEqlJ0 ゼノサーガ EP2 グノーシスを打破するため、U-TIC機関にゾハルを渡さず確保するためにも、モモ内部のY資料を解析しようとする。 だがアルベドによって仕掛けられた論理トラップによってY資料は流出してしまう。 ゾハルが封印された惑星ミルチアへのルートが明らかになり、各陣営は一斉に動き、 ミルチア宙域では熾烈な戦闘が展開されるが、 最終的にゾハルはオルムスの教皇セルギウスの手に落ちる。 神の遺物と呼ばれる超技術で造られた、破壊兵器プロトオメガをゾハルの力で起動させ、 圧倒的な力を振るうセルギウス。だがセルギウスには高邁な理想は無く、矮小な我欲しかなかった。 その意思の小ささに、ヴィルヘルムはテスタメント達を遣わしセルギウスを処分する。 そこを横からかっさらうようにアルベドがゾハルを手に入れる。 シオン達の仲間の一人、ルベド(通称Jr.)はかつて、 特殊能力を持った兵器という役割で遺伝子操作されアルベドと共に産まれた。 兵器として死ぬことから逃れようとしたJr.は結果的に兄弟達を見捨てることになってしまったことを悔やみ続け、 アルベドとJr.は互いに愛憎入り混じる複雑な感情を抱いていた。 Jr.はゾハルの力で変容したアルベドの元に単身乗り込み、因縁の戦いに終止符を打つ。 実はアルベドの望みはJr.の手で死ぬことだった。今際の際に和解する二人。 だがゾハルは何処かへと消えた。ヴィルヘルムが笑みを漏らす・・・ 117 :ゲーム好き名無しさん:2009/02/24(火) 21 58 01 ID j2QXEqlJ0 ゼノサーガ ミッシングイヤー 今までとは違うパターンのグノーシス被害が出始める。 本来なら群れても統率はされていないはずのグノーシスが秩序だった動きを見せ、 都市部に被害が集中し、そして短時間急襲した後にはすぐ消えてしまうのだ。 グノーシス・テロと呼ばれる一連の現象の裏にはグリモアという数千年前に死んだはずの男の存在があった。 グリモアはまだ人類がロスト・エルサレム(地球)に居た頃に人間を使ってゾハルを操る実験をしていた研究者であり、 その実験で娘を消滅させてしまっていた。 実験で使われたゾハル制御プログラム「レメゲトン」を復元すれば娘を復活させられると信じたグリモアは、 精神データとなってヴェクターの最重要データ区画に潜み、数千年の時を経て行動を開始したのだ。 レメゲトンが発する波動「ネピリムの歌声」に引き寄せられるグノーシス達を誘導し、 断片化してU.M.N.内に四散してしまったレメゲトンを集めていたグリモア。 だが世界をグノーシスの危機に陥れかねないその暴挙はシオン達によって止められる。 しかしシオンは自分の所属するヴェクターの上層部がグリモアを援助していたこと、 この事件の一因となった14年前の非道な人体実験に自分の父が関っていたこと等を知ってしまい、 やがて不信と苦悩からヴェクターを退社して独自の調査を始める事になる。 118 :ゲーム好き名無しさん:2009/02/24(火) 21 58 49 ID j2QXEqlJ0 ゼノサーガ EP3 自覚はなかったが、シオンは無意識の内にゾハルにアクセスする強い能力を持っていた。 テスタメント達は過去の惨劇を目の前で再現する精神攻撃を仕掛け、無理矢理シオンの能力を引き出す。 シオンの悲鳴に誘われ、ゾハルが姿を現す。 グノーシス、オルムス、Jr.達の親のユーリエフ・・・ゾハルを求める各勢力が集結し終末的な争いを繰り広げる。 戦いの中で一人ひとり過去を清算し、因縁に決着をつける仲間達。 だがそれらは全てヴィルヘルムの手の上の出来事だった。 ゾハルの稼動で加速度的に被害を増すグノーシス現象。 グノーシスの正体はゾハルの波動を受け、恐怖から他者や世界を拒絶した生命の成れの果てだという。 拒絶し合う意識はグノーシスとなって人類を殺すだけではなく、やがて宇宙の構造そのものを散逸・崩壊させる。 そうなる前に全てを始まりに戻す「永劫回帰」に必要な因子を、ヴィルヘルムは漁夫の利で集めていた。 シオンの能力は「マリアの巫女」と呼ばれた女性の再来であり、マリアの力を引き出す触媒だった。 シオンがKOS-MOSの開発を引き継いだのは、KOS-MOSをマリアとして目覚めさせるために全て仕組まれたことだったのだ。 目の前で両親や親友が惨殺される光景を再び見せられたり、能力の副作用で死ぬと宣告されたり 宇宙の崩壊の一因は自分にあると突きつけられたり、死んだはずの元恋人ケビンがテスタメントになって敵側に居たり、と 精神的にボロボロになったシオンは誘導されるがままKOS-MOSを目覚めさせ、ヴィルヘルムやケビンに操られかける。 果たして宇宙はどうなるのか。人々の魂すら失われる完全な崩壊を迎えるのか、 それとも同じ歴史・同じ日々を延々と繰り返す世界になるのか・・・ あとは 23に続く 594 名無しさん@お腹いっぱい。 sage05/02/2802 46 14ID cMIoi3AX すいません、いっぺんにのせてくれるとありがたい。 と意見がありましたが、凶悪的なほど長文になる恐れになってきまして、 分けて載せていくことにします。ご期待に沿えず申し訳ございません。 できるだけ短くしよう、短くしようと頑張っているのですが、 ゼノサーガは物語の伏線が多すぎて、最初を詳しくしないとさっぱり意味がわからないのです。 ですので、最初は詳しく、後半は簡潔に行こうと思います。 ゼノサーガ特有の意味がわからない用語は出来るだけ省き、わかりやすい用語に差し替えました。 何度も出てくる難しい用語はそのままにしてあります。長文になることをご了承ください。 595 Xenosaga Episode1 sage 05/02/28 02 47 35 ID cMIoi3AX Xenosaga Episode 1 ~Der Wille Zur Macht~ 時にAD20××年。 ケニア北部、トゥカルナ湖で古代遺跡の発掘が行われていた。 発掘員隊長、マスダは、現代の全ての事象の根源であるゾハルを発掘した。 ゾハルは光を放ち、その光は雲を貫き、空へと向かっていった。 全てはここから始まる。 596 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 02 48 57 ID cMIoi3AX 1 ~4000年後~ ゾハルの発掘のあと、大規模な人の消失事件が発生した。 生き残った人々は移民船に乗り、宇宙へ旅に出た。 移民先を見出す数百年かかり、最初の移民惑星を「セカンド・イェルサレム」と名付けた。 だがしかし、人はそこで戦争を繰り広げ、過ちを犯し続け、いくつかの主星を失い続けた。 現在の主星はフィフス・イェルサレム。この星に、ようやくひとつの国家的統合を達成する。 星団連邦政府所属、巡洋艦ヴォークリンデ。館内のKOS-MOS研究室では、研究員たちが慌しく働いていた。 KOS-MOS(以下、コスモスと呼ぶ)・・対グノーシスヒト型掃討兵器である彼女・・・。 その彼女を開発している部署の主任であるシオン=ウヅキは起動実験を始めた。 シオンは技術開発者としてのプライドと、主任としての立場。 そして、コスモスが兵器として使われることへ悲しさを持っていた。 「これより起動実験を開始します。インターコネクション、始めてください」 シオンは起動実験をするための装置に座った。 その起動実験とは、仮想空間にシオンを送りこみ、そこでコスモスのデータを取るというものだった。 「ゲージパーテイションを解放します。解放まであと60秒。59,58,57・・・。」 「各モニタリング正常。」 「パーテイション解放。コスモス、素体形態に入ります。」 597 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 02 50 24 ID cMIoi3AX シオンが仮想世界に入った。ただ少々視界が悪い。 「アレン君、視覚の接続状態が悪いみたいなんだけど・・・。」 「あぁ、すいません。ちょっと待ってください。今、補正します。どうです?主任。」 コスモス開発局副主任であるアレンが答えた。 アレンはシオンに淡い恋心を抱いていて、毎回のこの実験ではソワソワしている。 なぜかというと、この実験中に事故がおこると、シオンが仮想世界から帰ってこれなくなってしまうからだ。 世界が一瞬光に包まれ、コスモスが仮想世界に降り立った。 「おはよう、コスモス。調子はどう?」 「おはようございます、シオン。すべて非常に順調です。」 機械的な、無感情な返事が響く。 「せっかく起きてもらって悪いんだけど、今回も起動実験なの。一連のチェックを終了したら、 あなたにはまた眠ってもらうことになるわ。」 「そうですか」 「悲しいとか・・・感じる?」 その機械的な対応に少し寂しさを感じたのか、シオンは親しみを込めて話しかけた。 「私の寛恕言うプログラムは、創造主である人間が使いやすいように作られています。 今回の場合は、あなた・・・。すなわち、ヴェクター第一開発局、コスモス開発計画担当主幹技師、シオン=ウヅキとの 関係を円滑に保つために、「悲しい」という感情を表現する必要がある。と私のプログラムが判断した場合に限り、 そのように振舞います。ですが、現在、その必要はない。と判断します。」 「ははは・・・そうよね、それは私が一番知っていることなのよね。」 複雑な表情を浮かべた。 「ご理解いただけて幸いです。」 コスモスの機械的な言葉が仮想空間に響く。 シオンは、再度複雑な表情を浮かべた。 598 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 02 52 42 ID cMIoi3AX 今回の実験は、仮想世界におかれた仮想の敵を倒し、コスモスの戦闘データを取るというものだった。 「ねぇ、アレン君。今回は手順400を初めてみないかしら?」 「よ、400って、主任、先月のことを忘れたわけではないでしょう? あと10秒対応が遅れてたらそこから戻ってこれないような状態じゃなかったですか。」 シオンのことを心配するアレンは、声を荒げた。 「大丈夫、いざとなったら自力で脱出するから、それに、あなただって試したいでしょう? この実験のために、徹夜でいろいろ取り組んでたじゃない。」 「それはそうですが・・。」 「じゃ、決まり。始めて。」 シオンに興奮の色が隠せない。これから起こることに何かを期待しているかのように。 「知りませんよ?万が一の時にはこっちで強制的に切りますからね。」 「了解、了解。」 「あと、メニューにないことするのなしですよ?」 「わかってるってば。」 「んったく、気軽にいってくれちゃて。そのたびに寿命をちじめられるこっちの身にもなってほしいよ」 アレンは頭をかきむしりながら、シオンに聞こえないように、ぼやいた。 「副主任、ウヅキ主任のことになると、特に気を使われますからね。もう余命幾ばくもないんじゃないですか?」 研究員がアレンをからかった。皆、アレンの恋心に気づいているようだ。 「う、うるさい、余計なこといってないで、用意できてるのか?少しでも異常があったら、即刻強制終了するからな。」 手順400が始まった。状況は順調で、研究員たちも安堵の表情をうかべた。 「特に変わったことは見わたりません。状況、安定しています。こりゃあ行けますよ。先月の汚名、返上だ」 「だといいがな・・。」 不安げに、アレンがつぶやいた。 「コスモス、クリアポイントに到着。ターゲットモンスター、G型へ変換。表示、始めます。」 コスモスの前に、巨大なモンスターが現れた。コスモスが戦闘態勢に入る。 599 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 02 54 30 ID cMIoi3AX そのとき、プログラムに異常が発生した。コスモスの戦闘能力が過剰に上昇し、暴走しかけているのだ。 だが、シオンはそのような状況をものともしなかった。 「アレン君、これからターゲットとの戦闘態勢に入ります。データ取りよろしく。」 「そんな!?主任、こんな不安定な状況で戦闘なんて危険すぎます!」 アレンは声を荒げた。 「大丈夫、まだいけるわ。ヒルベルトを試します。」 「しゅ、主任、メニューに無い行為はしないって・・・!!」 シオンはその言葉を無視するかのように、コスモスに話しかけた。 「コスモス、ヒルベルト発動。」 「了解しました。ヒルベルトエフェクト発動します。」 プログラムが暴走し、シオンの脳が危険な状態になってきた。 アレンはプログラムを強制停止させ、シオンを引き戻そうとした。 だがしかし、シオンがそれを拒絶し、プログラムが作動しなかった。 「限界です!崩壊まであと10秒・・・。」 「クソったれ!」 アレンは悲痛ともとれる叫び声をあげた。 「主任・・・。・・・そうだ・・・。」 仮想空間にいるシオン。 彼女の前に、光が集まってきた。その光はやがて少女のような人影へと変わっていった。 少女はゆっくりと顔をあげ、シオンと視線を交わした。 そのとき、仮想空間へダイブしたアレンがシオンの手を掴み、仮想世界から引き戻した。 仮想空間は光に包まれていく・・・。 600 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 02 56 17 ID cMIoi3AX 「主任はっ!?」 目覚めたアレンは、シオンの元へ急いで駆けつけた。 「えぇ、ありがとう、少し、粘り過ぎちゃった・・かな?」 あの仮想空間で見た少女は何だったのか。シオンは夢見心地だった。 ・・・あの少女とは・・どこかで・・。 「??何かあったんですか?」 「ううん・・・何でもないの。さぁ、急いでデータ解析を始めましょう。そろそろ上から催促がくる頃だわ。」 「本艦は3分後にゲートアウトします。非常時に備えてください。」 突然、艦内アナウンスが鳴り響いた。 601 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 02 58 04 ID cMIoi3AX 2 「全艦、ゲートアウト完了。」 「次のゲートジャンプができるまで7時間36分。それまでジャンプは不可能になります。」 「次で最後か・・・。」 艦長と思える人物が虚空を目上げた。目に落ち着きが無い。 「はい。次のゲートジャンプとなります。あと少しの辛抱です。」 艦長の横に立っている男が言った。 見た目は普通のマジメそうな30後半の男だ。その鋭い眼光を除いて。 「大丈夫ですよ。ここまでくれば接触率低いですし。それに小惑星も多いですから、”ヤツラ”から 身を隠すには都合が良いものです。」 「ふん、気楽なものだな。小惑星なぞ、気休め程度にしかならんぞ。」 男は、声を沈めオペレーターを睨んだ。 「厳しいな、アンドリュー中佐。何かあったのか?」 「いえ・・・別に・・・。」 アンドリューという名の男は下にうつむきいた。 「例の物体を回収してから緊張の連続でしたからね。中佐のお気持ち、わかります。」 その”例の物体”に疑問点を持っていたのか、一人のオペレーターが質問した。 「艦長、差し支えない範囲で結構なので教えていただけないでしょうか? 当初の作戦の目的は、惑星消滅事件の調和および調査隊の護衛であったはずです。 それが、”あの物体”を回収してから様相がいっぺんしたように感じられます。 いったいなんなのですか?あれは。」 「さて、調査隊からは何の報告は受け取らんよ。ただ、先日伝えた”ヤツら”もあの物体を狙っているらしい。 という情報だけはえている。もちろん非公式だがね。」 艦長は、私もよくわかっていない。という表情をしている。 「回収のさい、何名かの犠牲者が出たという噂がありますが。」 「それが事実だとしても、われわれに知る権利がない。もともと調査隊も我々とは別の命令系統で動いているし、 我々に与えられた命令書にも『当該宙域にて何らかの”回収物”が存在した場合、全ての事象よりもその確保を最優先す』 と書かれているだけだ。」 「全ての事象・・・といいますと?」 「我々の命よりも。というわけだ。」 アンドリューが言い捨てた。 「そう脅すな。まぁ、星団連邦政府にしても今回の任務はそれだけ重要な作戦ということだろう。 気を引き締めて頼むぞ。」 艦長が微笑みながら皆に言った。 「そうですね。本艦には”有事の際の切り札”も配備されていることですし。」 「おぉ、そうだ。切り札のことなんだが、すまんが中尉、ウヅキ主任に報告データが整い次第、 ブリッジに来るように伝えてくれ。それと、これまでのデータも提出するように・・と。」 「了解しました。」 602 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 03 00 04 ID cMIoi3AX 3 コスモス研究室に電話がかかってきた。 「・・・・了解しました。30分後にそちらに出頭します。」 「早速きましたね。出頭命令」 「でしょ?私の勘って、結構当たるんだから。」 シオンが得意気に答える。 「では、これは提出するデータです。」 「ありがとう。これだけでいいわ。」 最近入ったばかりの新人研究員がシオンに声をかけた。 「主任・・あの・・・よろしいですか?」 「なに?」 「軍はコスモスの実働データを求めています。いいのですか?いつまでもシミュレートデータだけで。」 「うーん、、それ言われると痛いんだけどね、、。でも、出来ることならコスモスには いつまでも素敵な夢を見ていてほしいんだ。」 シオンは困ったような表情をしている。目も下にうつむいている。 「シミュレートではあれほど無茶をされるのに、なぜ実働となるとあれほど慎重になるのですか? 自分はコスモスが稼動している姿が見たいのです。現状で十分いけるはずです。」 シオンの困った表情を見て、アレンが口を挟んだ。 シオンは、2年前の事故があってから、実働には慎重になっているのだ。 アレンはそのことを知っているし、何より、彼女の困った顔を見たくなかった。 「現状でわざわざお姫様を起こさす必要はないよ。はいこれ、コスモスの装備要項。 連中を納得させる一助にはなるでしょ? 「サンキュー。気が利くね。」 アレンの助け舟にありがたく思ったのか、シオンはアレンに微笑んだ。 「じゃ、いってきまーす。」 笑顔で研究室を出て行くシオン、それを見るアレンの顔は、どこから見てもほころんでいる。 「世話女房ぶりも板についてきたんじゃないですか?副主任。」 同僚のトガシがにやつきながら研究所の後片付けをしている。 「な、何にやついてるんだよ、トガシ。」 顔を赤らめながら、アレンはシオンのデスクの片付けを始めた。 そこには肝心のデータフォルダが忘れられておいてあった。 「はぁ、、またか・・しかたないな・・。」 だが、アレンは少し喜んだ。二人きりになる口実が出来たからだ。 その感情が顔に出たのか、トガシがからかう。 「よかったですね。二人きりになれる口実ができて。ついでに食事でも誘って見ちゃどうです? こっちは僕らでやっときますから。」 「行くとき行かなきゃ、ダメですよ、副主任。」 「そ、そんなつもりじゃないって言ってるだろう!じ、じゃ、ちょっと渡してくるよ。」 舌をかみながら、アレンは言った。 「がんばってー。」 同僚たち一同の声が聞こえる。アレンはその声を聞きながら研究室を出た。 彼は奥手だ。シオンのことは愛しているはずなのに、言うことができない。 そんな彼はぼやく。 「僕だって・・行けるもんなら、行きたいさ・・。」と。 603 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 03 01 52 ID cMIoi3AX 4 シオンはブリッジへの道を歩いていた。その途中にある格納庫。そこにはゾハルがあった。 彼女は格納庫を通りながら、考えていた。やはり、みんな稼動してるコスモスを見たいのか。 2年前の、彼もそういっていた・・・。 2年前のコスモス開発局 シオンは残って残業をしていた。あしたまでにまとめておくデータがあったからだ。 パソコンに向かう彼女の後ろに、男性の姿があった。 「まだ残っていたのかい?無理して体壊しちゃ、何にもならないぞ?」 微笑みながらシオンに話しかけた。手には手包みをぶらさげている。 「あ、お疲れ様です。明日までにどうしてもまとめておくデータがあったものですから。 ゲビン先輩こそ、こんな時間までどうなされたんですか?」 「はい、差し入れ。」 ケビンは彼女の横に手包みを置いた。そして、コスモスの眠っている特殊な装置のほうへ歩いていった。 シオンもその後に続く。何も警戒しないということは、彼女は彼に心を許しているということだろう。 ケビンはその装置を見ながら、つぶやいた。 「実は、ある悩み事があってね、寝付けないんだ。」 「悩み事?」 「明日、いよいよ彼女は目覚める。その姿を見るのはとても楽しみなんだけど。目覚めた彼女になんと声をかけたらいいのか それで悩んでいたんだ。おかしいだろう?」 「おはよう・・・でいいんじゃないですか?」 シオンは微笑んだ。そしてコスモスの眠っている装置を触った。 「おはようかい?」 「朝起きたら、やっぱりおはよう、ですよ。」 「そうか・・・これでぐっする眠れそうだよ。ありがとう。」 ケビンは彼女の肩に手を乗せ、微笑んだ。 ・・・・そうだよね。みんなも早く見たいよね・・・。 シオンは彼との会話を思い出ながら、ゾハルを見上げた。 その瞬間、鈴のような音が鳴り響くと同時に、シオン以外の周りすべてが動きを止めた。 静寂・・・その静寂の中に、再び鈴の音のような金属音が響く。 その音が鳴り響いている源に、彼女は仮想空間で見た少女を見つけ出した。 少女はシオンに何かを伝えようとしているようだが、彼女にはその言葉は届かない。 少女は話し終えると、ゾハルの中に吸い込まれていく。シオンはその後を追い、ゾハルに触れた。 するとゾハルの表面に、水面のように波紋が広がった。 シオンは気がついたら、ゾハルの前に倒れこんでいた。 シオンは手を眺める。ゾハルに触れたことは、幻だったのだろうか・・。 604 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 03 03 24 ID cMIoi3AX 5 さっきのことは何だったのだろうか?彼女は考え込んでいた。 後ろから声が聞こえる。聞いたような声だ。誰だろう。彼女は振り向いた。 「アレン君!?」 「アレン君、じゃないですよ主任。肝心のデータ忘れていったでしょ? 危ないですよ、ぼーっとしながら歩いてると。」 「うん、ごめんね、ちょっと考え事してたから。」 そのとき、再び鈴の音がした。彼女はあたりを見渡す。だが、少女の姿はない。 「どうかしましたか?主任。」 「ん?うん・・気のせいよね。きっと。」 シオンは気に留めず格納庫を後にした。 しかし、彼女の後ろには二人を見つめる少女の姿があった。 アレンに先ほどのコスモスの件について感謝を言っていると、彼女に突然呼び出しがなった。 レアリエンの調整の呼び出しだ。 レアリエン・・合成人間といわれる彼らは、人間が過酷な環境を克服し、人間のリスクを削減するために 人によって作られた亜人間。彼らは使い捨て可能な労働力として社会に浸透し、 人間によって消費されていた。すなわち、奴隷である。 奴隷としての立場は14年前のミルチア戦争まで続き、その後社会的な権利を有する存在となった。 だが、レアリエンは工業製品であるというのには変わりが無い。彼らは生産されるのである。消費されるために。 そのレアリエンも調整(ケア)される必要がある。自身の自意識が芽生えたり、精神が不安定になることがある。 それをケアするのが、シオンは好きだった。なぜかというと、不安定なままのレアリエンは、廃棄されるからだ。 605 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 03 05 15 ID cMIoi3AX 6 シオンはレアリエン調整室へと向かった。 「どうも、シオンです。」 「あぁ、どうもウヅキさん、すみません、いつもいつも。」 人のよさそうで、髪をオールバックにしたカスパーゼが話しかけてきた。 目には疲れの色が浮かんでいる。人員不足だろう。 「いいんですよ、カスパーゼ大尉。みんな(レアリエン)にはいつも元気でいてほしいから・・。」 カスパーゼはシオンに今回のトラブルを話した。シオンは着々とトラブルを解決していく。 「一応調整しておきましたけど、また何かありましたらヴェクター本社までご連絡ください。 そちらで本格的なケアをされたほうが良いと思いますから」 「わかりました。ありがとうございます。 しかし、すごいですね。コスモスの開発だけでなく、レアリエンたちのメンタルケアまでこなすとは・・・。」 「そんな、全部上司の受け売りです。それに、私は最初、この部署が志望だったんです。 実は、今の仕事が終わったらこっちに転属願いを出そうかと思っているんですよ。」 シオンは眠っているレアリエンを見つめた。その表情は、眠っている我が子を見る表情に似ている。 「第一開発局は、エリート中のエリートが配属されるところでしょう?それなのに転属願いなのですか?」 「ええ、家族からもよく言われるんですよ。何かの書類ミスに違いない。ってよく言われますし。 私もそう思います。それに、、彼らのこと、もっと知りたいんですよ。」 「そんな連中のことを知る必要もなかろう!?」 声の方向に振り返ると、眼光の鋭い金髪の男がいた。 背が高く、物腰が明らかに軍人と思わせる。彼の顔右頬の皮膚は、色が変わり、硬くなっている。やけどのように・・。 「バージル中尉!?」 カスパーゼが、この突然の来訪客に驚いたようだ。声の調子からも、あまり好ましい客ではないらしい。 「匂いだ・・この匂い。なぁ、あんたも感じないか、この匂い。吐き気を催す匂いだ・・。」 バージルはまるで汚い物を見るかのように、あたりを見回した。 シオンは絶句している。言葉も出ない。 606 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 03 06 21 ID cMIoi3AX バージルは毎回来ては、何かとレアリエンを罵っているのだろう。 カスパーゼは、声を荒げ、バージルに食って掛かった。 「いい加減にしないか!少佐から事前に指示はあったろう?今回の作戦はA.G.W.Sと 新型レアリエンとの相互支援も目的としているんじゃなかったのか?それをお前は・・・。」 「相互支援だ!?はん!ヤツら相手に、実戦で使える保障なんてない、 ”戦闘用レアリエン”との相互支援なんざ、俺は願い下げだぜ!」 「お言葉ですけど・・・彼ら戦闘用レアリエンは優秀な兵士・・・。」 正気を取り戻したシオンも、バージルへ反論した。 「彼らぁ?たかが備品を人間扱いかい。」 シオンの抗議も、バージルは聞く耳をもたない。 「あ、それ問題発言ですよ。彼らは私たちと同様、知性も感情も備わっているし、 それにレアリエンの基本的人権は4763年に制定されたミルチア懸賞で謳われているはずです。」 「お為ごかしか。反吐が出るぜ。表面上いくら人道主義とっても、お前たちヴェクターの人間にとっちゃ 備品は備品だろうに。否、”商品”か」 バージルは小バカにするようにシオンを見つめた。 「私たちは彼らを備品扱いも、商品扱いもしてません!」 「ならなぜ、”戦闘用レアリエン”なんて、分類ワケがされているんだ? それこそ商品扱いしてる証だろう?何をいったところで所詮は戦の道具。それに知っているぜ。 お前たちヴェクターの人間たちは、”商品管理用の緊急制御コード”があるってな。」 シオンは絶句した。確かに・・ある・・。だが、それは・・・。 そのとき、レアリエンの一人が立ち上がり、バージルを見つめた。 「な、何だよ?」 バージルも突然のレアリエンの行動に驚いたのか、たじろいだ。 「中尉のおっしゃるとおり、確かに我々は”商品”として製造され、そのための教育を施されました。 ですが、私は今のこの”仕事に”誇りを持っています。 それは誰にも強制されない”私自信の意志”なのです」 607 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 03 09 20 ID cMIoi3AX 以下、余談 すいません、余談です、読み飛ばしていただいても結構です。 このゲームの副題が、力への意思。知ってる人は知ってると思いますが、これはニーチェの本です。 ドイツの哲学者である、フリードリヒ・ニーチェ。 彼は自分自身でたっている人間こそがもっとも美しく、すばらしい人間と考え、 キリスト教を弱者の宗教と言い、「神は死んだ。」という、有名な言葉も残っています。 たぶんこのゲームの作者はレアリエンという人ではない生物をポイントとして、ニーチェ哲学を語ってみたかったのではないでしょうか。 このレアリエンのセリフでもある”私自身の意思”という言葉。人間は弱い存在で、その弱い存在を認めた上で、 自分は過去にも、未来にも存在してはいない。現在にも自分と同じ人は一人もいないし、これからもいない。 「何か。」を成すためにこの世に連れてこられたと、考えた・・はずです。 だからニーチェは、自分の意思で、その目標への苦難の旅へと向かっている人の、なんて美しいことか!とも言っています。 これが俺自身へのニーチェの全体的な感想です。といっても、ニーチェの著者では、私は若き人々への言葉、力への意思しか読んでませんし、 まったくのど素人の解釈ですから、鵜呑みにすると困ります。たぶん解釈も間違ってる気もしますし・・・。 余談が長引きました。本編の続きを書きます。失礼しました。 608 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 03 14 52 ID cMIoi3AX 「ふん、自由意志ってわけか・・。まあいい、今のうちに享受しておけ。 そのうちわかるときがくるさ。この俺のようにな・・・。」 そう言い捨て、バージルは調整室を出て行った。 「すみませんでした、ウヅキさん。昔はあんな奴じゃなかったのですが、あることがきっかけで・・・ね。」 カスパーゼは申し訳なさそうな顔をして、頭を下げた。 「いえ・・彼とは、お知り合い・・何ですか?」 「あいつとは士官学校の同期でね。腐れ縁ってやつです。・・・ミルチアです。」 「そうですか、それで・・・。あ、いけない。ブリッジに出頭しなければならないのです。 それでは失礼します。レアリエンたちはまた後で見ますから。」 「いや、どうもありがとうございます。すいません、嫌な思いを・・。」 そう言い、再びカスパーゼは頭を下げた。 7 「すいません、遅れてしまって。」 「10分の遅刻ですね。通りで開発も遅れるわけだ。」 アンドリューが、シオンをにらみながら言った。そして、それからアンドリューのシオンに対しての説教が始まった。 コスモスの稼動データがないこと、ここが軍艦であるということに自覚がないシオンに苛立ったのであろう。 途中で、アンドリューに呼び出しがあった。顔が緊張した表情に変わり、そそくさと退室していった。 「ご期待にそえなくて申し訳ありません。」 シオンは艦長に謝った。 「なに、謝ることはないよ。今日は自室に戻って休みなさい。」 609 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 03 17 49 ID cMIoi3AX 8 アンドリューは、焦っていた。まさか、いきなり呼び出しがあるとは思ってもいなかったからだ。 急ぎ足で通信室に行き、通信をつなげた。画面に、顔が映った。司令の顔だ。 右目の上から下にかけての切り傷、冷たい目。 「失態だな・・・。アンドリュー。回収には細心の注意を払えと前もって忠告してあった筈だ。」 「はい、”機関員”に犠牲者が出たことは弁解の余地がありません。ですが、我々も・・・。」 アンドリューは苦い顔をした。機関員に犠牲者が出たのは明らかな失態で、弁解の余地がないからだ。 このことを攻められると思い、下をうつむいた。 「些末な事象など、どうでもよい。問題なのはゾハルに人が接触し、人が”消えた”ということ。 そしてその後、”通常空間に晒した状態”で移送していることだ。そして・・・。 貴様の艦隊にヤツラが接触する推定予測時間は5時間と22分後だ。」 「まさか!?やつらが!?」 驚きを通り越して絶句した。奴らがきたとしたら、このような艦隊では耐えられるわけがないのだからだ。 「だから失態といった。1時間前に増設艦隊を差し向けた。それまでの間、なんとしても保たせろ。」 「ま、間に合うのですか?」 「保たせろ。といっている。幸いにして、貴様の艦には”例の兵器”が搭載されているだろう。」 「お、お言葉ですが、あれはまだ実働試験にさえ写ってないのです!危険すぎます!」 「あれの力は、”貴様が一番良く知っている”だろう?多少不安定でもかまわん。急がせろ。」 「で、ですが・・・。」 「以上だ。」 通信が切れる。 「お待ちください、司令!マーグリス司令!」 610 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 03 19 20 ID cMIoi3AX 9 自室に戻り、休んだシオンは夢を見た。 遺跡のような場所にたつシオン。あたりには霧が立ち込めている。 鈴の音が静寂を破る。音のした方を見ると、そこにはあの少女の姿が・・・。 二人は視線を交わすが、少女はふと別の方向に目を向ける。 少女の視線の先には、少年のような人影があった。 「う、、うん・・・。」 夢にうなされるシオン。そのシオンの枕元に立つ少女。 そして少女は何かに気づいたかのように、船の外に目を向ける。 32 名無しさん@お腹いっぱい。 sage2005/03/24(木)01 24 31ID 9P5lIrk+ ゼノサーガep1、行きます。 文章構成上、ストーリー展開が前後したり、 結構話に絡んでるのに文中に出てこないキャラ(アレン、キルシュバ等)が いたりしますが、ご容赦下さい。 33 ゼノサーガep1 sage 2005/03/24(木) 01 25 18 ID 9P5lIrk+ 星団連邦に所属する惑星アリアドネが、突如として謎の消失を遂げた。 その調査に赴いた巡洋艦ヴォークリンデは、本来の目的である調査もそこそこに、 当該宙域に浮遊していた謎の物体ゾハルエミュレーターを収容し、帰還することになった。 その収容作業中、ゾハルに触れた作業員が消滅すると言う事故が起こっていた。 この巡洋艦ヴォークリンデには、14年前より突如として現れ人類の脅威となった、 グノーシスと言う怪物群に対抗する為のヒト型アンドロイド、コスモスが配備されていた。 しかしながらそのコスモスは、未だ実働試験すら行われておらず、 仮想空間(エンセフェロン)におけるテストをしている段階であった。 ヴェクターインダストリー1局所属のシオン・ウヅキは、そのコスモスの開発主任だ。 彼女は、コスモスに対して、母親や姉のような感情を持っていたが、一方で恐れてもいた。 数年前の実験中、コスモスが暴走し、同僚や愛する人を殺されてしまったからだ。 そのせいか、シオンは実働試験に対して二の足を踏んでいる状態だった。 対グノーシスの切り札として配備されたコスモスが、起き上がる事すら出来ない。 調査に同行した軍関係者からは、その事を毎日のように責められていた。 この日も、試験を終えたシオンは、ブリッヂから呼び出しを受け、開発室を出た。 ブリッヂへ向かう途上、ゾハル格納庫を通った彼女は、そこで少女の幻影を見た。 少女は、何か言いたげな、哀しみを裡に秘めた表情でシオンを見つめていた。 シオンが歩み寄ると少女の幻影は消え、そこには金色に光るゾハルがあるだけだった。 不思議な感覚に囚われながらも、彼女はレアリエン調整室へ向かった。 レアリエン。それは、様々な用途に応じて造られた人造人間のことだ。 シオンは、このレアリエンとの交流を好み、エリート中のエリートが集まる1局から、 レアリエンを扱う3局に転属願いを出しているほどだった。 彼女がレアリエンの調整を手伝っていると、バージルと言う中尉が現れた。 彼はレアリエンを極度に嫌っており、この時も居丈高に見下し、罵った。 現在、レアリエンには人権が認められていると反論するシオンだったが、 それを商品としている事を指摘されると、彼女は言葉を詰まらせた。 「お為ごかしは反吐が出る」そう吐き捨て、中尉は立ち去った。 いい加減寄り道が過ぎたので、かなり遅刻してブリッヂに着いたシオン。 アンドリュー中佐は、それも含めて毎度の如くネチネチと小言を繰り返すが、 緊急呼び出しの通信が入ったため途中で切り上げ、ブリッジを出て行った。 運良く開放されたシオンは、艦長に労われ、自室で休む事にした。 アンドリュー中佐は、画面の向こうのマーグリスに叱責されていた。 U-TIC機関。ゾハル研究の為に創設された政府直属の機関であったが、14年前の ミルチア紛争を機に、反政府武装集団の色を強め、各方面に工作員を潜入させていた。 マーグリスはそのU-TIC機関の司令であり、アンドリューは工作員の一人だった。 惑星アリアドネの消失も、この組織がゾハルの起動実験をその地で行った結果であり、 調査隊が事件の調査もそこそこに帰還したのも、連邦軍に潜入していたアンドリュー達 の目的が、ゾハルの回収であったからなのだ。 ゾハル。それは、局所事象変異を引き起こし、グノーシスを呼び寄せる。 その危険性から、それを確保して封印しようとする者と、兵力として利用しようとする 者との間で激しい争奪戦が繰り広げられていた。 この非常に危険な物体の取り扱いには、細心にも細心を重ねた注意が必要だった。 しかし、アンドリューたちはその扱いを間違った。 ヴォークリンデには、すでにグノーシスが迫ろうとしていたのだ。 コスモスを使え。その命令に狼狽する中佐を無視し、マーグリスは通信を切った。 34 ゼノサーガep1 sage 2005/03/24(木) 01 26 16 ID 9P5lIrk+ ブリッヂに警報が鳴り響いた。艦隊前方にグノーシスが出現したのだ。 母船タイプのグノーシスから射出された怪物たちが、次々と艦内に侵入してくる。 対グノーシス用兵器エイグスが出撃するが、通常兵器の効果は無く、撃破されてゆく。 グノーシスに掴まれた人間は白化し、砕け散った。 有効な対抗手段も無いまま、ついにヴォークリンデのブリッヂが沈黙した。 アンドリュー中佐は、宇宙服を着込み、ゾハル格納庫へ向かっていた。 格納庫ごとパージし、ワープさせる。無謀な作戦だったが、中佐にとっては、 コスモスを起動させるよりも遥かにマシな作戦だった。 なぜならば、中佐も、コスモスの暴走事故に立ち会っており、その恐ろしさを 身をもって知っていたからだ。 そもそも、実験中のコスモスを起動させたのも、彼らだった。 コスモスの強奪を目論み、内通者から起動用ギアを受け取ってラボを襲撃した彼らは、 しかしコスモスの暴走により惨殺され、唯一アンドリューだけが生き残った。 今、中佐は死を覚悟しながら、格納庫に向かっていた。 その中佐の覚悟も、無駄となりそうだった。コスモスが自律モードで起動を始めたのだ。 開発室のメンバーが恐怖で凍りつく中、ゆっくりと身を起したコスモスは、シオンを 保護するために動き出した。 その頃シオンは、グノーシスに追われた所をエイグスに乗ったバージルに助けられていた。 しかし彼の攻撃は効果が無く、逆に反撃を受け仲間を失ってしまった。 なにか手段が無いものかと考えた彼は、シオンの携帯端末を奪い、レアリエンを 自爆させる緊急制御コードを起動させた。 爆風が晴れると、彼は歯噛みした。仕留め切れなかったのだ。 反撃を受け、倒れこむバージル。そして、グノーシスはシオンに襲い掛かった。 足元から白化してゆくシオン。彼女が死を覚悟した時、閃光がグノーシスを貫いた。 コスモスの攻撃だった。グノーシスを実数空間に固着するヒルベルトエフェクトを展開 した彼女は、その圧倒的な戦闘能力でグノーシスを掃討した。 ゾハルの格納庫では、アンドリュー中佐が必死で乱れたシステムと格闘していた。 そこへ、脱出艇に乗るためにシオンたちが駆け込んできた。 グノーシスは途切れなく襲い掛かり、抗戦を続けるシオンたち。その中で、 コスモスがバージルごと敵を撃った。バージル、「フェブ…」とうわ言を言いながら即死。 シオンは、コスモスの非道な行動に怒りを露わにしたが、コスモスのプログラムでは、 ヴェクター関係者の保護>敵勢力の殲滅>>>>>それ以外の人間の保護であったため、 コスモスはそのプログラム通り、確実な方法を選択しただけなのだ。 「私は人間ではありません。ただの兵器です」 その言葉にショックを受けるシオンは、鬱然として脱出艇に乗り込んだ。 シオンたちと中佐の乗った脱出艇を見送ったコスモスは、もう一つの目的である ゾハルの確保の為、周辺に群がるグノーシスを除去しようとした。 しかし、いかにも多勢に無勢であり、結局はゾハルを持ち去られてしまう。 彼女はゾハルが収容されたグノーシス母船にマーキングを施し、その事を本社に報告、 次の司令を受け、第二ミルチアへ向かう事とした。 ヴェクターCEOのヴィルヘルムは、赤の外套者からその報告を受けていた。 「全ての事象は、この 秩序の羅針盤 の示すとおりに動く……」 そう、彼はつぶやき、デスクの上の構造物に目をやった。 35 ゼノサーガep1 sage 2005/03/24(木) 01 27 52 ID 9P5lIrk+ クーカイ・ファウンデーション所属の不定期貨客船エルザが、ヴォークリンデの 遭難現場に向かっていた。だが、目的は救助ではない。艦の残骸を回収し、 それを売って船長の借金返済の足しにするためだ。 そんなエルザに、コスモスが襲い掛かった。キャノピーにパンチでヒビを入れられ、 第二ミルチアまで乗せてけと脅迫された船長はしぶしぶ承諾した。 ブリッヂにコスモスが入ってくると、脱出艇で漂流していたシオンから通信が入った。 エルザに収容しろと言うシオン。そのまま漂流していれば助けが来ると言うコスモス。 二人が押し問答していると、エルザの乗組員ケイオスが仲裁に入った。 彼は船長の信頼も篤く、その彼の取り成しでシオンたちもエルザに収容され、 第二ミルチアへ向かう事になった。 収容された後、ブリッヂへと挨拶に訪れたシオンたち。そこへ、グノーシスが現れた。 アンドリューが掴まれ、白化して行く。慌てふためくシオンたち。だが、ケイオスが グノーシスに手をかざすと、グノーシスは霧のように消えてしまった。 これが、ケイオスが船長に信頼されている理由だった。 騒ぎが落ち着いた頃、そのケイオスが、ヴォークリンデでの戦闘で不具合が出たため エルザの設備で調整をしていたコスモスに近づいていった。 機能を停止して眠っているコスモスに、彼はそっと呟いた。 「やっと会えたね……本当の君はどこに眠っているんだい……?」 プロジェクト・ゾハル。ゾハルの研究を進める事により、全ての事象を論理的に解明し、 また、人類の悲願であるロスト・エルサレム(地球)への帰還を目的とした研究である。 そのプロジェクトを推進する接触小委員会の会議が、連邦主星フィフス・エルサレムの 衛星軌道上のコロニーで開かれていた。 オリジナル・ゾハルが眠る、閉ざされた旧ミルチアへの道。その道を開くための鍵となる Y資料がU-TIC機関に奪われた。 U-TIC機関の責任者であり、彼以外にゾハルを解明する事は不可能とさえ言われた 天才ヨアキム・ミズラヒ。彼が遺したY資料なくしてもまた、ゾハルの研究は進まない。 その奪還の為、U-TIC機関の拠点への潜入を命令されたのは、ジグラット8と言う 型式番号のついたサイボーグだった。彼が見せられたのは一人の少女の写真。 百式観測用レアリエン。ヨアキムの最後の発明であり、対グノーシス用の索敵能力と ヒルベルトエフェクト展開能力を付与されたレアリエンだ。 百式は、彼と、その元妻であり現接触小委員会委員であるユリ・ミズラヒの亡児サクラを モデルとして創られ、そのプロトタイプであるモモには、Y資料が封印されていた。 成功の報酬として、ジグラット8は、自らの生体脳を人工部品に換装する事を望んだ。 彼は生前、ある男に妻子を殺され、それを苦に自殺を遂げていた。 サイボーグとして蘇ってからも、その記憶が彼を苦しめ続けていたのだ。 小惑星プレロマ。古代宗教の聖堂だったこの場所に、U-TIC機関は拠点を構えていた。 そこへ潜入し、モモを見つけ出したジグラット8は、モモに「ジギー」などと愛称を つけられたり、マーグリスと一戦交えたりしながら脱出。作戦を成功させた。 追っ手を撒いた後、モモは早速フィフス・エルサレムへ船を向けようとした。 だがユリの指令では移送先は第二ミルチアとなっていた。その事をジギーから告げられ ると、モモは寂しそうな顔をした。彼女は「ママ」に会うのを楽しみにしていたのだ。 その頃エルザではシオン特製のカレーが振舞われ、皆、ひと時の休息を取っていた。 そんな中、アンドリュー中佐は、未だ機能を停止したままのコスモスに見入っていた。 彼女に銃を向けるが、恐怖で手が震え撃つ事ができなかった。 36 ゼノサーガep1 sage 2005/03/24(木) 01 28 44 ID 9P5lIrk+ シオンは、本社への連絡の中で、局長に対して声を張り上げた。 第二ミルチア到着後、コスモスを2局に引き渡すと言われたのだ。 シオンは、コスモスが何の命令も無く独自に稼動しており、実戦配備は時期尚早と説明、 コスモスの監察を続ける事を局長に認めさせた。 エルザが第二ミルチアへ向けてハイパースペース内を航行していた時、同じくジギー達も その中にいた。しかも、U-TICの無人兵器に張り付かれている状態だった。 ジギー達からエルザに向けて救難信号が発せられた。 初めは日和見を決め込んでいた船長だったが、エルザが被害を受けるや一変、 ジギーたちを援護して敵勢力を掃討、彼らを船内に収容した。 落ち着いた所で話を聞くと、ジギー達も第二ミルチアに行くというので相乗りする事に。 だが、先の戦闘でダメージを受けた船を修復する為、まず手近なコロニーに向かった。 その途上、アンドリューはプレロマに通信を入れていた。百式を確保したと。 だが、マーグリスは帰還命令を伝えただけで、早々に通信を切った。 そのマーグリスの下に、謎の男アルベドが現れた。彼はモモを連れ戻すと言い残し、 狂ったような笑い声を上げながら立ち去った。 「……モモ…か……。可愛いペシェめ……」 マーグリスの副官ペレグリーは、アルベドに任せることの危惧を口にしたが、 利用価値はあると、マーグリスは言う。目的は違うが、必要な物は同じなのだと。 惑星アリアドネのあった座標に、クーカイ・ファウンデーションの武装艦デュランダルが 停泊している。この宙域の調査をするためだ。 クーカイ・ファウンデーション。14年前のミルチア紛争の事後処理の為に設立された、 財団法人である。紛争後の武力衝突に対抗するために備えた武装は、連邦艦隊にも 匹敵するとまで言われているが、現在は副業として始めた事業展開を中心としている。 しかしながら、ゾハル・エミュレーターの回収もその役割としている為、ゾハルの影響と 思われるアリアドネ消失事件の調査に赴いたのだった。 ファウンデーション理事ガイナン・クーカイの養子であり、副理事でもあるJr.は、 現場を見て唖然とした。そこに惑星があったと言うあらゆる痕跡がなくなっていたのだ。 さらに調査を進めるため、次に彼らは、ヴォークリンデの遭難現場に向かった。 そこでようやく、ゾハルの残滓を発見する事が出来た彼らだったが、現場に潜伏していた U-TICの戦艦から攻撃を受けてしまう。 反撃に転じ、戦艦内部を制圧。U-TICの情報を得るために艦のマザーフレームに アクセスしたJr.だったが、敵残存勢力に阻まれ、結局徒労に終わった。 一方その頃、シオンたちを乗せたエルザは、ドックコロニーに入渠していた。 修理が終わるまで、船外へ出て休息を取る一行。しかし、このドックコロニーは、 ミルチア紛争の頃から軍関係者への反感が根強く残っている場所だった。 住民の話から、地元の青年達にアンドリュー中佐が連れて行かれたと知り、後を追った シオン達は、人間業とは思えぬほど無残に惨殺されている青年達を発見した。 一方の中佐は既にエルザに戻り、傷の手当てを受けていた。 結局、事件はうやむやのまま、エルザはコロニーを離れた。 この一件以来、中佐に変調が表われ始めた。人知れず体を苦痛に悶えさせ、その度に 薬剤を注射して抑える。彼の脳裏に、エルザでグノーシスに襲われた時の記憶が フラッシュバックする。彼の発作は時間を追うごとに悪化しているようだった。 シオンは夢を見ていた。ヴォークリンデで見た幻影の少女が、彼女に語りかける。 「彼の最後の気持ちを理解できるのは貴方だけ。それが彼の安らぎ……」 37 ゼノサーガep1 sage 2005/03/24(木) 01 29 41 ID 9P5lIrk+ 不可解な夢から目覚めたシオンは、突然の振動に襲われた。 エルザが、ハイパースペース外から干渉を受け、引き寄せられていたのだ。 通常空間に引きずりだされたエルザは、周囲を莫大な数のグノーシスに囲まれていた。 さらに引き寄せられたエルザは、巨大なグノーシスに飲み込まれていった。 この異変は、デュランダルも察知していた。艦内に保管されている11機のゾハル・ エミュレーターが共鳴を始めたのだ。デュランダルは、波動の発生元へと急行した。 気がつくと、シオン達は生身でグノーシス内部に放り出されていた。 はぐれてしまったエルザと中佐を探すために移動を始めた彼女達は、その途上、明らかに 人工的な看板や、自動車の残骸を発見した。 シオン達とはぐれ、一人さまよっていた中佐は、それらに見覚えがあった。 そこは、彼らがゾハルの実験をしたアリアドネの市街そのままだった。 悪夢を見ているような気持ちで彼はさまよい続けた。 グノーシスの中心部まで到達したシオン達は、そこでゾハルと、前後不覚になった中佐を 発見した。中佐は、ゾハルを背にするとグノーシスと化した。 「同じだ……あの時と……」ジギーが呟いた。 襲い掛かる中佐を、やむを得ず撃退したシオン達。 中佐が断末魔の叫びを上げる中、シオンは彼の心に触れていた。 戦争の道具としてこの世に生を受けた彼は、戦後の社会に適応できなかった。 社会に受け入れられない孤独から、彼は凶悪犯罪を重ね、その度に人格矯正処置を受けた。 そして最後には収容所の職員と連邦軍三個小隊を一人で壊滅させてしまった。 そこでマーグリスに拾われた彼は、マーグリスの信頼を受け心酔し、忠実な部下となった。 今、彼は虚無の浜辺に佇み、安らいだ顔をしていた。 「ここは良い…、怒りも悲しみも、喜びも未来も…俺以外のものは何も存在しない……。 その俺自身もやがて消える…。……シオン、遠からずお前もここに来る……きっと……」 そう言って、彼は消えていった。 アンドリュー中佐を殺してしまった事にショックを受けるシオン。 だが、感傷に浸る間もなく、その場所が崩壊を始めた。 逃げ出したシオン達は、エルザに救出され、その場を離脱した。 グノーシスの包囲網を抜けようと全力で航行するエルザ。それを、駆けつけた デュランダルが援護する。しかし、そのデュランダルも包囲されつつあった。 その時、コスモスがたった一人で船外へ出ようとしていた。 無謀だと止めようとするシオン。だが、コスモスはそれを聞き入れなかった。 「シオン、痛みは……私を満たしてくれますか……?」 今まさに迫らんとしているグノーシス群の前に立ちはだかったコスモス。 腹部から拡散ビームを発射し、一瞬のうちにグノーシスを吸収してしまった。 自分の知らない兵装が搭載されている事に呆然とするシオン。 「ケヴィン先輩……これが貴方の望んだ、本当のコスモスの姿なんですか……?」 彼女の戸惑いをよそに、エルザとゾハル・エミュレーターはデュランダルに収容された。 そして、エルザの補修の為、一行はクーカイ・ファウンデーションに帰港する事になった。 ワープするデュランダル。その後姿を、シメオンに乗ったアルベドが見ていた。 38 ゼノサーガep1 sage 2005/03/24(木) 01 30 23 ID 9P5lIrk+ デュランダル内の隔離格納庫。そこに、シオン達は案内された。そこには、ゾハル・ エミュレーターが保管されていた。さらには、グノーシス変容体となり生命活動を 停止した人達も。グノーシスに接触された人間は、ほぼ例外なく変容体となる。 シオンはヴォークリンデでの出来事とアンドリューの最期を思い出し、背筋を凍らせた。 一方モモは、そのグノーシスをこの世界に呼び寄せた元凶が、当時U-TICに所属し、 ゾハル研究の途上で暴走したヨアキム・ミズラヒである事を知り、ショックを受けた。 彼女にとってヨアキムは、自分の誕生を心待ちにしてくれていた優しい「パパ」であり、 世間一般が評価する「狂人」とは程遠いものだったからだ。 暗く俯くモモ。しかしシオンは、ヨアキムの全てが否定される訳ではないとモモを慰めた。 ファウンデーションに入港するデュランダル。Jr.と良く似た理事がシオン達を迎える。 彼、ガイナンは、シオンに奇妙な感覚を覚え、執務室に戻った後、Jr.にそう告げた。 プロジェクト・ゾハル。その最重要機密であるコスモスの開発に携わるシオンが、 何らかの特殊な素質を持っているのではないか。ガイナンはそう考えたのだ。 プレロマ。マーグリスが、セラーズと言う男と通信している。 U.M.N.。その非局所性を利用して、全宇宙を時間的空間的束縛に囚われず結ぶ ネットワークシステム。その特性により、現在のワープ航法が可能となっている。 オリジナル・ゾハルの眠る旧ミルチアは、14年前の紛争時にU.M.Nの転移コードが 消失しており、Y資料にはそのコードが記録されている。 「いずれにせよ 総帥 をお待たせする訳にはいかん。プラン401を発動する」 マーグリスは、強攻策をとる決断をした。 その事は、アルベドにも伝えられた。 「場合によっては、ネピリムの歌声……使うやも知れん」 その言葉に、アルベドは笑い声で答えた。 デュランダル。先ほどイヤな話を聞かせたお詫びにと、Jr.がモモにペンダントを贈る。 二人の間に、気恥ずかしい空気が漂ったその時、衝撃が彼らを襲った。 ファウンデーションが、連邦艦隊に包囲されていたのだ。 連邦政府議会では、先のヴォークリンデ遭難が、デュランダルの攻撃によるものだとして、 ファウンデーションの強制捜査、及び既得権益の剥奪が議論されていた。 政府内に入り込んだU-TICの工作であった。証拠として、デュランダルがヴォーク リンデを攻撃する映像が映されたが、それは、U-TIC戦艦と戦った時の映像を たくみに合成したものであった。 デュランダル内に入り込んできた連邦兵士に拘束されるシオン達。だが、その兵士達は、 ファウンデーションと繋がりのある政府関係者が送り込んだ者達だった。 彼らの手引きを受け、シオン達は、嫌疑を晴らすために行動を始めた。 ヴォークリンデでの戦闘を記録しているコスモスのメモリーを回収し、反論の材料とする。 そのために彼女達は、コスモスのメモリー内にエンセフェロンダイブした。 39 ゼノサーガep1 sage 2005/03/24(木) 01 31 06 ID 9P5lIrk+ 気がつくと、Jr.は銃弾の飛び交う戦場に立っていた。彼は、そこがどこか知っていた。 14年前のミルチア。彼と同じ顔をした少年達が、銃を乱射し虐殺を行っている。 彼は、悪夢を見ている気分になりながら、そばにいたモモに話し始めた。 Jr.やガイナン、アルベドは、U.R.T.V.と呼ばれる生体兵器だった。 彼らは、U.M.N.のオペレーションシステムであり、局所事象変異の源である ウ・ドゥに対する反存在として生み出された。 14年前、彼らは暴走したウ・ドゥを抑える作戦に就いていたが、U.R.T.V.達の 精神リンクの中心であったJr.は、ウ・ドゥに恐怖し、リンクを拒絶してしまった。 結果、Jr.とガイナンを除いた者たちはウ・ドゥに汚染され、暴走を始めたのだ。 この時の事を、彼は今でもトラウマとして心の裡に持っていたのだ。 気がつくと、シオンは14年前のミルチアの公園に居た。幼いシオンが、父に連れられて 行く。彼女が、父と過ごした最後の日の記憶だった。 重篤神経症治療施設。そこにシオンの母は入院していた。そして、そこで悲劇が起こった。 しかし、それはシオンとって心の奥にしまい込んだ、思い出したくない記憶だった。 気がつくと、シオン達は古びた教会に居た。祭壇の前に立つレアリエンを見て、シオンは、 再びトラウマを思い出した。フェブロニア。彼女が無残に食い殺される様を、シオンは 目の前で見ていた。 フェブロニアに促され、奥へ進んだシオン達は、幻影の少女ネピリムと出会った。 虚数世界と現実世界の狭間に住み、現実世界には僅かな時間しか干渉できない彼女達は、 その僅かな時間を使い、シオン達を導き、この仮想空間で会える時を待っていたのだ。 シオン達は、未来のビジョンを見せられた。くびきを離れ、暴走するウ・ドゥ。そして、 それに対抗する、本来の姿となったコスモス。二者の激突は銀河をも消滅させる。 しかし、未来は変えられる、シオン達に変えてほしい。ネピリムはそう言う。 グノーシスに触れられながら、グノーシス化しないシオンにはその力がある。 だが、心に弱さを持つ彼女達に、過去のトラウマを乗り越える強さを持って貰いたかった。 ネピリムが、シオンとJr.に過去を追体験させたのは、その為だったのだ。 別れ際、フェブロニアがもう一つ、彼女達に願いを託した。 フェブロニアの二人の妹、セシリーとキャス。ゾハル制御の媒体として、旧ミルチアで 今も呪縛に囚われている彼女達を開放して欲しい。フェブロニアはそう訴えた。 「ミルチアへ行けば全て分かるわ……」 ネピリムが最後にそう言って、彼女達は消えた。 エンセフェロン最奥部でコスモスの記録を回収したシオン達は、現実世界へ戻って行った。 その中で、ネピリムがケイオスに語りかけた。 「本当にこれで良かったの……? もう後戻りはできないのよ……?」 「分かってる……でも、 彼女 にはシオンが必要なんだ……」 シオン達の持ち帰った記録は議会で審議にかけられ、デュランダルの嫌疑は晴れた。 その事をマーグリスはアルベドに伝えた。ネピリムの歌声を使う時が来た、と。 40 ゼノサーガep1 sage 2005/03/24(木) 01 31 56 ID 9P5lIrk+ ファウンデーションが艦隊と共に第二ミルチア上空まで達したとき、ケイオスが、 狼狽えて叫んだ。歌声が聞こえたのだ。その歌声は、グノーシスを引き寄せ、聞く者を 狂わせる。14年前のミルチア紛争でも、この歌声が人々を狂気へと駆り立てた。 歌声は、ヴェクターCEOのヴィルヘルムの元にも届いていた。 「……始まったね……」彼はそう呟いた。 そして、ファウンデーションがグノーシスに包囲され、市街地が襲撃を受けた。 迎撃態勢を取った連邦艦隊も、アルベドのシメオンによって壊滅させられていく。 混乱を極める市街地に飛び出し、住民の避難と敵の掃討にシオン達が奔走する中、 モモがアルベドに連れ去られ、その居城であるネピリムの歌声に囚われた。 ネピリムの歌声。元はヨアキムの研究施設であり、14年前はミルチアにあった物だ。 シオンも、当時母親の病室から見たことがあった。 それが、アルベドの手によってこの宙域まで持ち込まれていた。 モモの助けを求める声を感じ取ったJr.は、すぐさまシオン達と共に歌声へ向かった。 哄笑をもって彼らを出迎えるアルベド。14年の時を経て自らの分身と対峙したとき、 Jr.は冷静ではいられなかった。 激昂するJr.を挑発しながら、アルベドはモモの意識を侵食して行った。 最後のプロテクトに到達した時、彼にヨアキムのイメージが流れ込んできた。 「もう私には、これから起こる事を止められない。だからせめて、お前に託そう……。 時は交差する……。いずれお前は、彼女達と出会う……その時の為に……」 それは、モモが誕生する直前、ヨアキムが彼女に語ったメッセージだった。 Jr.の放った衝撃波と、Y資料のプロテクトがアルベドを弾き飛ばした。 アルベドはさも愉快そうに笑った。彼がプロテクトに触れた時、そこにコスモスと シオンのイメージがあった。ヨアキムが最後に残したY資料のプロテクトに、彼女達が 現れる意味。それを知って彼は笑っていたのだ。 アルベドの笑い声に激昂し、ポテンシャルを開放して挑みかかるJr.。彼の本質を 知っているケイオスが、顔色を無して止めようとする程のエネルギーが弾けようとした時、 突然の乱入者が二人の間に割って入った。 青の外套者。この時は正体を隠していたが、彼はヴォークリンデでコスモスに殺された 筈のバージル中尉だった。 彼は、アルベドにその役割を指摘して退去させると、後を追おうとするJr.を攻撃した。 その物理法則を無視した力に、なす術もなく膝を付くJr.達。 「無駄だな。貴様らと俺とは、この世界に存在する法則が違う。そうだろ、 大将 ?」 ケイオスに向かってそう言い残し、彼は消えた。 歌声の機能が完全に停止している事を確認し、シオン達はデュランダルへ戻った。 歌声を破壊するため、デュランダルの主砲が向けられたとき、異変が起こった。 残存していたグノーシスが、歌声に集まっていく。その中心には、アルベドのシメオン。 「なんだか遊び足りなくてな……戻ってきたぜ」 シメオンから莫大なエネルギーが発せられ、歌声の下に遥かに大きな建造物が出現した。 天の車。元々は宇宙の真理の解明の為に作り出された施設だったが、ヨアキムによって モモを生み出すためのプラントとして使われていた。この施設と歌声、そしてゾハルが 一体となった時、ミルチア紛争以上の悲劇が起こる。そのため、この施設は旧ミルチアが 封じられている二重ブラックホールへと廃棄されたはずだった。 アルベドは、先にY資料に接触した時、この天の車の存在と使い方を知ったのだ。 その天の車が青い光を放ち、グノーシスを吸収し始めた。それは、以前コスモスが 腹部から発射したビームと同質のものだった。 グノーシスをエネルギーとした天の車は、主砲の発射準備に入った。目標は第二ミルチア。 それを阻止するため、シオン達はエルザと共に天の車へと向かった。 41 ゼノサーガep1 sage 2005/03/24(木) 01 33 11 ID 9P5lIrk+ 「遅ぉい! 待ちくたびれたぞ」 天の車の動力炉で、アルベドは彼女達を出迎えた。 なぜこんな事を。Jr.のその問いに、アルベドは憎憎しげに答えた。 14年前の作戦の時、Jr.が心を閉ざした事で、歌声の浸食に身を任せるしかなかった U.R.T.V。消えていった仲間達の為にも、貴様を断罪してやる。そう言いながら、 彼はこうも言った。 「だが、俺は感謝してるんだ。おかげで俺だけは新たなる世界への道を見つけられた」 コスモスとシオンに目をやり、彼は笑い声を上げた。 「ついさっき、それを確信した。これはそれを確かめる為の余興さ。精々楽しんでくれ」 アルベドが姿を消した直後、動力炉と直結した巨大なグノーシスが姿を現した。 死力を尽くして動力炉とグノーシスを破壊したシオン達。 爆発が始まり、彼女達が脱出を始めたその時、天の車がミルチアに向けて降下を始めた。 地上への被害を最小限に食い止める。その為に、天の車を最小ブロックにまで分解する 方法を探し出した彼女達だったが、システムを起動してから脱出までの猶予が、わずか 1分しかない事が分かった。 これでは脱出できない。一同に絶望感が漂ったとき、コスモスが残ると言い出した。 コスモスの能力ならば1分で脱出できる。そう信じて、シオン達はその場を彼女に任せた。 天の車が崩壊を始めた。ギリギリまで内部で待ち続けるエルザ。しかし、崩壊はエルザの 直上まで及び、苦渋の決断をするJr.。エルザは離岸した。 ハッチ上で待っていたシオンは取り乱し、戻るように懇願した。 その時彼女にネピリムの声が届き、走るコスモスのイメージが流れ込んできた。 左舷前方400メートル。シオンがエルザを誘導した先に、コスモスが飛び出してきた。 コスモスを収容し、最高速で離脱を図るエルザ。そのままミルチアの大気圏へ突入する。 しかし、先の脱出でダメージを受けていたエルザは姿勢制御にトラブルが発生。 大気との摩擦で船が炎に包まれた。このままでは、エルザは消し炭になってしまう。 そんな状況の中、ケイオスは一人、悩んでいた。 「あなたは、どうするの……?」ネピリムの声が、彼の脳裏に響いた。 その時、コスモスが彼の前を通り過ぎた。 「 君 が……? 待って!」慌てて止めようとするケイオス。しかし、 「あなたの痛みを、私に下さい」そう言って、コスモスはハッチに向かった。 コスモスが、エルザを守るように船首に立った。彼女の瞳が青く輝いた時、ケイオスの 腕が光を放ち、ネピリムが空を仰ぎ、アベルが振り返り、秩序の羅針盤が共鳴した。 そしてエルザの船体を6枚の光り輝く翼が包み込み、船は大気圏を突破した。 「いい見物だった。あとは、ペシェとU.M.Nがリンクすれば……」 そう言って、狂った笑い声を上げながら、アルベドは去った。 その情報は、ヴィルヘルムにも伝えられた。外套者は、彼を自由にする事を危惧した。 「アベルの方舟へと至る扉を開けるのは、彼だけだからね。しばらくは……」 「ウ・ドゥと再びリンクする可能性が残りますが」 「彼にそこまでの力はないよ。あとは鍵の役割だけ……。まぁ、局所事象変異ぐらいは 覚悟しないといけないけど、その為に 君達 がいるわけだし……ね。……でも、彼を このまま端役にしておくのは惜しい……。彼の意思は素晴らしい輝きを持っている……」 ミルチアの海に、日が沈もうとしている。その夕日を傷ついた船体に浴びながら飛行する エルザのブリッヂで待つシオン。彼女の下に、コスモスが戻ってきた。 「任務完了しました、シオン」 「…………お帰りなさい」 Xenosaga Episode1 END
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【ゼノサーガシリーズ】からの出典 エスケープボール 初音ミクに支給。 M.W.S. ナタクに支給。 箱のような本体内に格闘用ナックル、帯電ロッド、スペルソード、ボム、ビームランチャー といった様々な武器が内蔵されている。 遠距離、近距離両方の攻撃に優れ、非力な人間でも高い攻撃力が期待できる優れモノ。 本来の使用者はシオン・ウヅキ。 タブバイク コロンビーヌに支給。 KOS-MOSの調整用のタブが変形して航宙バイクになったもの。 航宙機と合体すればコックピットになる。 ただし現在は飛行できず、様々な制限が掛けられているらしい。
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今日 - 合計 - ゼノサーガ エピソードI[力への意志]の攻略ページ 目次 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 名前 コメント 選択肢 投票 役に立った (0) 2012年10月12日 (金) 11時26分08秒 [部分編集] ページごとのメニューの編集はこちらの部分編集から行ってください [部分編集] 編集に関して
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ゼノサーガ エピソードI 力への意志 ・要約版(ゼノサーガシリーズ全体の要約):要約スレpart3-23,112,114~118 ・詳細版:part12-594~610, 14-32~41 23 :ゲーム好き名無しさん:2008/12/26(金) 19 41 05 ID j1iAV0OwO ゼノサーガシリーズ 人々の拒絶し合う精神や、ウ・ドゥと呼ばれる高次元の波動とかの影響で 宇宙は一般人の知らないところで徐々に崩壊しており そのうち滅亡を迎えるのがほぼ確実になっていた。 有史以前から生きてる超人ヴィルヘルムは、宇宙の滅亡は不可避だと結論し アンドロイドKOS-MOSを造って古代に居た「マリア」という能力者を復活再現しようとする マリアの能力を利用すれば滅びかけた宇宙を原初までリセットすることができるのだ。 リセットしても記憶を失った人類は同じ歴史を辿ってまた滅亡に向かうのだが 滅びそうになるたびに再びリセットする「永劫回帰」という無限ループにすることで 未来が無いかわりに宇宙を延命できるのだという。 あるいは既にこの宇宙も、 何回も、ひょっとすると何千回以上もループした後の宇宙なのかも知れなかった。 冒険の中でKOS-MOSは覚醒を果たすが、今までのループとわずかに違い、 単なるマリアのよりしろでもプログラムに縛られた機械でもなく、 自分の意思を持ったKOS-MOSという一存在として成長する。 KOS-MOSはヴィルヘルムの意図に反し、閉じたループではなく、 仲間達と共に未来に進み崩壊を避ける道を模索することを選ぶ。 KOS-MOSが離反したことで暴走した強制リセット装置(ラスボス)を叩いて止めて 崩壊の中心を宇宙の僻地に隔離封印する事で滅亡までの時間を引き延ばすことに。 ワープ封印には成功するがKOS-MOSは大破し、いつか仲間と再開することを信じて ワープ先で長い長いスリープモードに…。 生還した仲間達はそれぞれのやり方で崩壊を阻止するために行動を開始。 幾人かはKOS-MOSのワープ先の星… かつて「地球」と呼ばれた星を探す果てしない航海に旅立つのだった。 …KOS-MOS関係とラストバトル周り「だけ」でこれだよ 各キャラ各勢力各設定とかちゃんと説明したらどうなるんだ… 112 :ゲーム好き名無しさん:2009/02/24(火) 17 15 47 ID j2QXEqlJ0 23のゼノサーガを書いた者なんだが、これ一応、事の真相ではあるんだけど これが明らかになるのがEP3の終盤なんで「あらすじ」っていうのとは違う気がしてきた。 EP1の前半だけ見てからこれを読むと 「この展開からどうやってこんなのに繋がるんだ・・・」って気分になるかもしれないと思った。 一応ゲーム展開のあらすじという方向でも纏めてみたんだが、要ります? できるかぎり要約した割にかなり長くなってしまったんだけど 114 :ゲーム好き名無しさん:2009/02/24(火) 21 55 07 ID j2QXEqlJ0 んじゃ行きます ゼノサーガ パイドパイパー (携帯アプリ) 人類が、とある災厄に見舞われて地球を脱出して数千年(本編の約百年前) 情報送信だけでなく物質の転送や仮想空間の構築、超光速航法も可能にした超空間ネット 「ウーヌス・ムンドゥス・ネットワーク(略称U.M.N.)」の恩恵を受け人類は暮らしていた。 だがアブラクサスという惑星で、U.M.N.仮想空間内で人が連続して殺される怪事件が発生。 星団連邦警察の対テロ隊長ジャンは「ヴォイジャー」を名乗るテロリストの犯行と見て調査を進める。 ついにヴォイジャーの正体を突き止めるがそれはジャンの身近な人物だった。 ヴォイジャーは様々な超常現象を起こす無限エネルギー物体「ゾハル」を使うために ゾハルにアクセスできる因子を持った人間の脳内情報を集めていたのだ。 目論見それ自体は失敗するが、ヴィルヘルムに資質を見出され 物理的に死なない不滅の存在テスタメントの一体に変貌するヴォイジャー。 逃げ場も勝ち目も失い家族も殺されたジャンに、ヴォイジャーは自分の仲間になるか、 それとも戦って死んで今までの被害者のように精神をコレクションされるか、という選択を迫る。 だがジャンは第3の選択として、自棄でも逃避でもなく、 自分の意思と人間としての尊厳を守るために自らの命を絶つのだった。 しかし後に、優秀な能力を持つジャンの遺体は サイボーグ体「ジグラット8(通称ジギー)」として意に沿わぬ形で目覚める・・・ 本編に続く。 本編中でのジギーは、大切なものを守れぬまま死も許されず存在し続ける苦痛に、意識をも機械化することを望むが 新たな仲間達との触れ合いにより人としての意思の在り様を再び見つけ出す。 そして犠牲を払いながらもついにヴォイジャーとの決着をつけ、 今度こそ大切なものを守り続けて生きていく事を誓うのだった。 115 :ゲーム好き名無しさん:2009/02/24(火) 21 56 13 ID j2QXEqlJ0 ゼノサーガ EP1 ヴィルヘルムがCEOを務める大企業ヴェクター、化粧品から戦艦まで扱う世界規模の一大コングロマリット・・・ そこに所属する若き女技術者シオンは、今は亡き恋人の天才科学者ケビンの研究を引き継ぎ、 人類を襲う謎の敵「グノーシス」に対抗するアンドロイドKOS-MOSを開発していた。 しかし乗っていた宇宙船が襲われ、グノーシスに接触され死にかけるシオン。 だが起動命令も出していないのに何故かひとりでに目覚めたKOS-MOSによって助けられる。 船を脱出したシオン達は、成り行きで(・・・に見えるが実は運命に仕組まれて) モモというレアリエン(労働用人造人間、アンドロイドと違いナマの生物で、明確な感情がある)達と出会い、 そのモモの脳内に封印された、ゾハルや超技術について記された「Y資料」というデータを狙う宗教結社オルムス (の一部であるU-TIC機関)や狂気の不死人アルベドとの戦いに巻き込まれていく。 感情を見せず、時に残酷な振る舞いをしたり、稀に仕様書には無い奇跡のような謎の力を発揮するKOS-MOS。 それらの行動や、KOS-MOSデータ内面世界に不可思議な領域があるのを垣間見て、KOS-MOSへの不安を抱くシオン。 だがKOS-MOSに幾度と無く助けられたこと、創り手としての愛情、亡きケビンとの絆を確認したい、との思いなどから、 シオンはKOS-MOSのことをもっと知りたい、共に生きたいという思いを強くするのだった。 116 :ゲーム好き名無しさん:2009/02/24(火) 21 57 00 ID j2QXEqlJ0 ゼノサーガ EP2 グノーシスを打破するため、U-TIC機関にゾハルを渡さず確保するためにも、モモ内部のY資料を解析しようとする。 だがアルベドによって仕掛けられた論理トラップによってY資料は流出してしまう。 ゾハルが封印された惑星ミルチアへのルートが明らかになり、各陣営は一斉に動き、 ミルチア宙域では熾烈な戦闘が展開されるが、 最終的にゾハルはオルムスの教皇セルギウスの手に落ちる。 神の遺物と呼ばれる超技術で造られた、破壊兵器プロトオメガをゾハルの力で起動させ、 圧倒的な力を振るうセルギウス。だがセルギウスには高邁な理想は無く、矮小な我欲しかなかった。 その意思の小ささに、ヴィルヘルムはテスタメント達を遣わしセルギウスを処分する。 そこを横からかっさらうようにアルベドがゾハルを手に入れる。 シオン達の仲間の一人、ルベド(通称Jr.)はかつて、 特殊能力を持った兵器という役割で遺伝子操作されアルベドと共に産まれた。 兵器として死ぬことから逃れようとしたJr.は結果的に兄弟達を見捨てることになってしまったことを悔やみ続け、 アルベドとJr.は互いに愛憎入り混じる複雑な感情を抱いていた。 Jr.はゾハルの力で変容したアルベドの元に単身乗り込み、因縁の戦いに終止符を打つ。 実はアルベドの望みはJr.の手で死ぬことだった。今際の際に和解する二人。 だがゾハルは何処かへと消えた。ヴィルヘルムが笑みを漏らす・・・ 117 :ゲーム好き名無しさん:2009/02/24(火) 21 58 01 ID j2QXEqlJ0 ゼノサーガ ミッシングイヤー 今までとは違うパターンのグノーシス被害が出始める。 本来なら群れても統率はされていないはずのグノーシスが秩序だった動きを見せ、 都市部に被害が集中し、そして短時間急襲した後にはすぐ消えてしまうのだ。 グノーシス・テロと呼ばれる一連の現象の裏にはグリモアという数千年前に死んだはずの男の存在があった。 グリモアはまだ人類がロスト・エルサレム(地球)に居た頃に人間を使ってゾハルを操る実験をしていた研究者であり、 その実験で娘を消滅させてしまっていた。 実験で使われたゾハル制御プログラム「レメゲトン」を復元すれば娘を復活させられると信じたグリモアは、 精神データとなってヴェクターの最重要データ区画に潜み、数千年の時を経て行動を開始したのだ。 レメゲトンが発する波動「ネピリムの歌声」に引き寄せられるグノーシス達を誘導し、 断片化してU.M.N.内に四散してしまったレメゲトンを集めていたグリモア。 だが世界をグノーシスの危機に陥れかねないその暴挙はシオン達によって止められる。 しかしシオンは自分の所属するヴェクターの上層部がグリモアを援助していたこと、 この事件の一因となった14年前の非道な人体実験に自分の父が関っていたこと等を知ってしまい、 やがて不信と苦悩からヴェクターを退社して独自の調査を始める事になる。 118 :ゲーム好き名無しさん:2009/02/24(火) 21 58 49 ID j2QXEqlJ0 ゼノサーガ EP3 自覚はなかったが、シオンは無意識の内にゾハルにアクセスする強い能力を持っていた。 テスタメント達は過去の惨劇を目の前で再現する精神攻撃を仕掛け、無理矢理シオンの能力を引き出す。 シオンの悲鳴に誘われ、ゾハルが姿を現す。 グノーシス、オルムス、Jr.達の親のユーリエフ・・・ゾハルを求める各勢力が集結し終末的な争いを繰り広げる。 戦いの中で一人ひとり過去を清算し、因縁に決着をつける仲間達。 だがそれらは全てヴィルヘルムの手の上の出来事だった。 ゾハルの稼動で加速度的に被害を増すグノーシス現象。 グノーシスの正体はゾハルの波動を受け、恐怖から他者や世界を拒絶した生命の成れの果てだという。 拒絶し合う意識はグノーシスとなって人類を殺すだけではなく、やがて宇宙の構造そのものを散逸・崩壊させる。 そうなる前に全てを始まりに戻す「永劫回帰」に必要な因子を、ヴィルヘルムは漁夫の利で集めていた。 シオンの能力は「マリアの巫女」と呼ばれた女性の再来であり、マリアの力を引き出す触媒だった。 シオンがKOS-MOSの開発を引き継いだのは、KOS-MOSをマリアとして目覚めさせるために全て仕組まれたことだったのだ。 目の前で両親や親友が惨殺される光景を再び見せられたり、能力の副作用で死ぬと宣告されたり 宇宙の崩壊の一因は自分にあると突きつけられたり、死んだはずの元恋人ケビンがテスタメントになって敵側に居たり、と 精神的にボロボロになったシオンは誘導されるがままKOS-MOSを目覚めさせ、ヴィルヘルムやケビンに操られかける。 果たして宇宙はどうなるのか。人々の魂すら失われる完全な崩壊を迎えるのか、 それとも同じ歴史・同じ日々を延々と繰り返す世界になるのか・・・ あとは 23に続く 594 名無しさん@お腹いっぱい。 sage05/02/2802 46 14ID cMIoi3AX すいません、いっぺんにのせてくれるとありがたい。 と意見がありましたが、凶悪的なほど長文になる恐れになってきまして、 分けて載せていくことにします。ご期待に沿えず申し訳ございません。 できるだけ短くしよう、短くしようと頑張っているのですが、 ゼノサーガは物語の伏線が多すぎて、最初を詳しくしないとさっぱり意味がわからないのです。 ですので、最初は詳しく、後半は簡潔に行こうと思います。 ゼノサーガ特有の意味がわからない用語は出来るだけ省き、わかりやすい用語に差し替えました。 何度も出てくる難しい用語はそのままにしてあります。長文になることをご了承ください。 595 Xenosaga Episode1 sage 05/02/28 02 47 35 ID cMIoi3AX Xenosaga Episode 1 ~Der Wille Zur Macht~ 時にAD20××年。 ケニア北部、トゥカルナ湖で古代遺跡の発掘が行われていた。 発掘員隊長、マスダは、現代の全ての事象の根源であるゾハルを発掘した。 ゾハルは光を放ち、その光は雲を貫き、空へと向かっていった。 全てはここから始まる。 596 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 02 48 57 ID cMIoi3AX 1 ~4000年後~ ゾハルの発掘のあと、大規模な人の消失事件が発生した。 生き残った人々は移民船に乗り、宇宙へ旅に出た。 移民先を見出す数百年かかり、最初の移民惑星を「セカンド・イェルサレム」と名付けた。 だがしかし、人はそこで戦争を繰り広げ、過ちを犯し続け、いくつかの主星を失い続けた。 現在の主星はフィフス・イェルサレム。この星に、ようやくひとつの国家的統合を達成する。 星団連邦政府所属、巡洋艦ヴォークリンデ。館内のKOS-MOS研究室では、研究員たちが慌しく働いていた。 KOS-MOS(以下、コスモスと呼ぶ)・・対グノーシスヒト型掃討兵器である彼女・・・。 その彼女を開発している部署の主任であるシオン=ウヅキは起動実験を始めた。 シオンは技術開発者としてのプライドと、主任としての立場。 そして、コスモスが兵器として使われることへ悲しさを持っていた。 「これより起動実験を開始します。インターコネクション、始めてください」 シオンは起動実験をするための装置に座った。 その起動実験とは、仮想空間にシオンを送りこみ、そこでコスモスのデータを取るというものだった。 「ゲージパーテイションを解放します。解放まであと60秒。59,58,57・・・。」 「各モニタリング正常。」 「パーテイション解放。コスモス、素体形態に入ります。」 597 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 02 50 24 ID cMIoi3AX シオンが仮想世界に入った。ただ少々視界が悪い。 「アレン君、視覚の接続状態が悪いみたいなんだけど・・・。」 「あぁ、すいません。ちょっと待ってください。今、補正します。どうです?主任。」 コスモス開発局副主任であるアレンが答えた。 アレンはシオンに淡い恋心を抱いていて、毎回のこの実験ではソワソワしている。 なぜかというと、この実験中に事故がおこると、シオンが仮想世界から帰ってこれなくなってしまうからだ。 世界が一瞬光に包まれ、コスモスが仮想世界に降り立った。 「おはよう、コスモス。調子はどう?」 「おはようございます、シオン。すべて非常に順調です。」 機械的な、無感情な返事が響く。 「せっかく起きてもらって悪いんだけど、今回も起動実験なの。一連のチェックを終了したら、 あなたにはまた眠ってもらうことになるわ。」 「そうですか」 「悲しいとか・・・感じる?」 その機械的な対応に少し寂しさを感じたのか、シオンは親しみを込めて話しかけた。 「私の寛恕言うプログラムは、創造主である人間が使いやすいように作られています。 今回の場合は、あなた・・・。すなわち、ヴェクター第一開発局、コスモス開発計画担当主幹技師、シオン=ウヅキとの 関係を円滑に保つために、「悲しい」という感情を表現する必要がある。と私のプログラムが判断した場合に限り、 そのように振舞います。ですが、現在、その必要はない。と判断します。」 「ははは・・・そうよね、それは私が一番知っていることなのよね。」 複雑な表情を浮かべた。 「ご理解いただけて幸いです。」 コスモスの機械的な言葉が仮想空間に響く。 シオンは、再度複雑な表情を浮かべた。 598 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 02 52 42 ID cMIoi3AX 今回の実験は、仮想世界におかれた仮想の敵を倒し、コスモスの戦闘データを取るというものだった。 「ねぇ、アレン君。今回は手順400を初めてみないかしら?」 「よ、400って、主任、先月のことを忘れたわけではないでしょう? あと10秒対応が遅れてたらそこから戻ってこれないような状態じゃなかったですか。」 シオンのことを心配するアレンは、声を荒げた。 「大丈夫、いざとなったら自力で脱出するから、それに、あなただって試したいでしょう? この実験のために、徹夜でいろいろ取り組んでたじゃない。」 「それはそうですが・・。」 「じゃ、決まり。始めて。」 シオンに興奮の色が隠せない。これから起こることに何かを期待しているかのように。 「知りませんよ?万が一の時にはこっちで強制的に切りますからね。」 「了解、了解。」 「あと、メニューにないことするのなしですよ?」 「わかってるってば。」 「んったく、気軽にいってくれちゃて。そのたびに寿命をちじめられるこっちの身にもなってほしいよ」 アレンは頭をかきむしりながら、シオンに聞こえないように、ぼやいた。 「副主任、ウヅキ主任のことになると、特に気を使われますからね。もう余命幾ばくもないんじゃないですか?」 研究員がアレンをからかった。皆、アレンの恋心に気づいているようだ。 「う、うるさい、余計なこといってないで、用意できてるのか?少しでも異常があったら、即刻強制終了するからな。」 手順400が始まった。状況は順調で、研究員たちも安堵の表情をうかべた。 「特に変わったことは見わたりません。状況、安定しています。こりゃあ行けますよ。先月の汚名、返上だ」 「だといいがな・・。」 不安げに、アレンがつぶやいた。 「コスモス、クリアポイントに到着。ターゲットモンスター、G型へ変換。表示、始めます。」 コスモスの前に、巨大なモンスターが現れた。コスモスが戦闘態勢に入る。 599 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 02 54 30 ID cMIoi3AX そのとき、プログラムに異常が発生した。コスモスの戦闘能力が過剰に上昇し、暴走しかけているのだ。 だが、シオンはそのような状況をものともしなかった。 「アレン君、これからターゲットとの戦闘態勢に入ります。データ取りよろしく。」 「そんな!?主任、こんな不安定な状況で戦闘なんて危険すぎます!」 アレンは声を荒げた。 「大丈夫、まだいけるわ。ヒルベルトを試します。」 「しゅ、主任、メニューに無い行為はしないって・・・!!」 シオンはその言葉を無視するかのように、コスモスに話しかけた。 「コスモス、ヒルベルト発動。」 「了解しました。ヒルベルトエフェクト発動します。」 プログラムが暴走し、シオンの脳が危険な状態になってきた。 アレンはプログラムを強制停止させ、シオンを引き戻そうとした。 だがしかし、シオンがそれを拒絶し、プログラムが作動しなかった。 「限界です!崩壊まであと10秒・・・。」 「クソったれ!」 アレンは悲痛ともとれる叫び声をあげた。 「主任・・・。・・・そうだ・・・。」 仮想空間にいるシオン。 彼女の前に、光が集まってきた。その光はやがて少女のような人影へと変わっていった。 少女はゆっくりと顔をあげ、シオンと視線を交わした。 そのとき、仮想空間へダイブしたアレンがシオンの手を掴み、仮想世界から引き戻した。 仮想空間は光に包まれていく・・・。 600 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 02 56 17 ID cMIoi3AX 「主任はっ!?」 目覚めたアレンは、シオンの元へ急いで駆けつけた。 「えぇ、ありがとう、少し、粘り過ぎちゃった・・かな?」 あの仮想空間で見た少女は何だったのか。シオンは夢見心地だった。 ・・・あの少女とは・・どこかで・・。 「??何かあったんですか?」 「ううん・・・何でもないの。さぁ、急いでデータ解析を始めましょう。そろそろ上から催促がくる頃だわ。」 「本艦は3分後にゲートアウトします。非常時に備えてください。」 突然、艦内アナウンスが鳴り響いた。 601 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 02 58 04 ID cMIoi3AX 2 「全艦、ゲートアウト完了。」 「次のゲートジャンプができるまで7時間36分。それまでジャンプは不可能になります。」 「次で最後か・・・。」 艦長と思える人物が虚空を目上げた。目に落ち着きが無い。 「はい。次のゲートジャンプとなります。あと少しの辛抱です。」 艦長の横に立っている男が言った。 見た目は普通のマジメそうな30後半の男だ。その鋭い眼光を除いて。 「大丈夫ですよ。ここまでくれば接触率低いですし。それに小惑星も多いですから、”ヤツラ”から 身を隠すには都合が良いものです。」 「ふん、気楽なものだな。小惑星なぞ、気休め程度にしかならんぞ。」 男は、声を沈めオペレーターを睨んだ。 「厳しいな、アンドリュー中佐。何かあったのか?」 「いえ・・・別に・・・。」 アンドリューという名の男は下にうつむきいた。 「例の物体を回収してから緊張の連続でしたからね。中佐のお気持ち、わかります。」 その”例の物体”に疑問点を持っていたのか、一人のオペレーターが質問した。 「艦長、差し支えない範囲で結構なので教えていただけないでしょうか? 当初の作戦の目的は、惑星消滅事件の調和および調査隊の護衛であったはずです。 それが、”あの物体”を回収してから様相がいっぺんしたように感じられます。 いったいなんなのですか?あれは。」 「さて、調査隊からは何の報告は受け取らんよ。ただ、先日伝えた”ヤツら”もあの物体を狙っているらしい。 という情報だけはえている。もちろん非公式だがね。」 艦長は、私もよくわかっていない。という表情をしている。 「回収のさい、何名かの犠牲者が出たという噂がありますが。」 「それが事実だとしても、われわれに知る権利がない。もともと調査隊も我々とは別の命令系統で動いているし、 我々に与えられた命令書にも『当該宙域にて何らかの”回収物”が存在した場合、全ての事象よりもその確保を最優先す』 と書かれているだけだ。」 「全ての事象・・・といいますと?」 「我々の命よりも。というわけだ。」 アンドリューが言い捨てた。 「そう脅すな。まぁ、星団連邦政府にしても今回の任務はそれだけ重要な作戦ということだろう。 気を引き締めて頼むぞ。」 艦長が微笑みながら皆に言った。 「そうですね。本艦には”有事の際の切り札”も配備されていることですし。」 「おぉ、そうだ。切り札のことなんだが、すまんが中尉、ウヅキ主任に報告データが整い次第、 ブリッジに来るように伝えてくれ。それと、これまでのデータも提出するように・・と。」 「了解しました。」 602 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 03 00 04 ID cMIoi3AX 3 コスモス研究室に電話がかかってきた。 「・・・・了解しました。30分後にそちらに出頭します。」 「早速きましたね。出頭命令」 「でしょ?私の勘って、結構当たるんだから。」 シオンが得意気に答える。 「では、これは提出するデータです。」 「ありがとう。これだけでいいわ。」 最近入ったばかりの新人研究員がシオンに声をかけた。 「主任・・あの・・・よろしいですか?」 「なに?」 「軍はコスモスの実働データを求めています。いいのですか?いつまでもシミュレートデータだけで。」 「うーん、、それ言われると痛いんだけどね、、。でも、出来ることならコスモスには いつまでも素敵な夢を見ていてほしいんだ。」 シオンは困ったような表情をしている。目も下にうつむいている。 「シミュレートではあれほど無茶をされるのに、なぜ実働となるとあれほど慎重になるのですか? 自分はコスモスが稼動している姿が見たいのです。現状で十分いけるはずです。」 シオンの困った表情を見て、アレンが口を挟んだ。 シオンは、2年前の事故があってから、実働には慎重になっているのだ。 アレンはそのことを知っているし、何より、彼女の困った顔を見たくなかった。 「現状でわざわざお姫様を起こさす必要はないよ。はいこれ、コスモスの装備要項。 連中を納得させる一助にはなるでしょ? 「サンキュー。気が利くね。」 アレンの助け舟にありがたく思ったのか、シオンはアレンに微笑んだ。 「じゃ、いってきまーす。」 笑顔で研究室を出て行くシオン、それを見るアレンの顔は、どこから見てもほころんでいる。 「世話女房ぶりも板についてきたんじゃないですか?副主任。」 同僚のトガシがにやつきながら研究所の後片付けをしている。 「な、何にやついてるんだよ、トガシ。」 顔を赤らめながら、アレンはシオンのデスクの片付けを始めた。 そこには肝心のデータフォルダが忘れられておいてあった。 「はぁ、、またか・・しかたないな・・。」 だが、アレンは少し喜んだ。二人きりになる口実が出来たからだ。 その感情が顔に出たのか、トガシがからかう。 「よかったですね。二人きりになれる口実ができて。ついでに食事でも誘って見ちゃどうです? こっちは僕らでやっときますから。」 「行くとき行かなきゃ、ダメですよ、副主任。」 「そ、そんなつもりじゃないって言ってるだろう!じ、じゃ、ちょっと渡してくるよ。」 舌をかみながら、アレンは言った。 「がんばってー。」 同僚たち一同の声が聞こえる。アレンはその声を聞きながら研究室を出た。 彼は奥手だ。シオンのことは愛しているはずなのに、言うことができない。 そんな彼はぼやく。 「僕だって・・行けるもんなら、行きたいさ・・。」と。 603 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 03 01 52 ID cMIoi3AX 4 シオンはブリッジへの道を歩いていた。その途中にある格納庫。そこにはゾハルがあった。 彼女は格納庫を通りながら、考えていた。やはり、みんな稼動してるコスモスを見たいのか。 2年前の、彼もそういっていた・・・。 2年前のコスモス開発局 シオンは残って残業をしていた。あしたまでにまとめておくデータがあったからだ。 パソコンに向かう彼女の後ろに、男性の姿があった。 「まだ残っていたのかい?無理して体壊しちゃ、何にもならないぞ?」 微笑みながらシオンに話しかけた。手には手包みをぶらさげている。 「あ、お疲れ様です。明日までにどうしてもまとめておくデータがあったものですから。 ゲビン先輩こそ、こんな時間までどうなされたんですか?」 「はい、差し入れ。」 ケビンは彼女の横に手包みを置いた。そして、コスモスの眠っている特殊な装置のほうへ歩いていった。 シオンもその後に続く。何も警戒しないということは、彼女は彼に心を許しているということだろう。 ケビンはその装置を見ながら、つぶやいた。 「実は、ある悩み事があってね、寝付けないんだ。」 「悩み事?」 「明日、いよいよ彼女は目覚める。その姿を見るのはとても楽しみなんだけど。目覚めた彼女になんと声をかけたらいいのか それで悩んでいたんだ。おかしいだろう?」 「おはよう・・・でいいんじゃないですか?」 シオンは微笑んだ。そしてコスモスの眠っている装置を触った。 「おはようかい?」 「朝起きたら、やっぱりおはよう、ですよ。」 「そうか・・・これでぐっする眠れそうだよ。ありがとう。」 ケビンは彼女の肩に手を乗せ、微笑んだ。 ・・・・そうだよね。みんなも早く見たいよね・・・。 シオンは彼との会話を思い出ながら、ゾハルを見上げた。 その瞬間、鈴のような音が鳴り響くと同時に、シオン以外の周りすべてが動きを止めた。 静寂・・・その静寂の中に、再び鈴の音のような金属音が響く。 その音が鳴り響いている源に、彼女は仮想空間で見た少女を見つけ出した。 少女はシオンに何かを伝えようとしているようだが、彼女にはその言葉は届かない。 少女は話し終えると、ゾハルの中に吸い込まれていく。シオンはその後を追い、ゾハルに触れた。 するとゾハルの表面に、水面のように波紋が広がった。 シオンは気がついたら、ゾハルの前に倒れこんでいた。 シオンは手を眺める。ゾハルに触れたことは、幻だったのだろうか・・。 604 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 03 03 24 ID cMIoi3AX 5 さっきのことは何だったのだろうか?彼女は考え込んでいた。 後ろから声が聞こえる。聞いたような声だ。誰だろう。彼女は振り向いた。 「アレン君!?」 「アレン君、じゃないですよ主任。肝心のデータ忘れていったでしょ? 危ないですよ、ぼーっとしながら歩いてると。」 「うん、ごめんね、ちょっと考え事してたから。」 そのとき、再び鈴の音がした。彼女はあたりを見渡す。だが、少女の姿はない。 「どうかしましたか?主任。」 「ん?うん・・気のせいよね。きっと。」 シオンは気に留めず格納庫を後にした。 しかし、彼女の後ろには二人を見つめる少女の姿があった。 アレンに先ほどのコスモスの件について感謝を言っていると、彼女に突然呼び出しがなった。 レアリエンの調整の呼び出しだ。 レアリエン・・合成人間といわれる彼らは、人間が過酷な環境を克服し、人間のリスクを削減するために 人によって作られた亜人間。彼らは使い捨て可能な労働力として社会に浸透し、 人間によって消費されていた。すなわち、奴隷である。 奴隷としての立場は14年前のミルチア戦争まで続き、その後社会的な権利を有する存在となった。 だが、レアリエンは工業製品であるというのには変わりが無い。彼らは生産されるのである。消費されるために。 そのレアリエンも調整(ケア)される必要がある。自身の自意識が芽生えたり、精神が不安定になることがある。 それをケアするのが、シオンは好きだった。なぜかというと、不安定なままのレアリエンは、廃棄されるからだ。 605 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 03 05 15 ID cMIoi3AX 6 シオンはレアリエン調整室へと向かった。 「どうも、シオンです。」 「あぁ、どうもウヅキさん、すみません、いつもいつも。」 人のよさそうで、髪をオールバックにしたカスパーゼが話しかけてきた。 目には疲れの色が浮かんでいる。人員不足だろう。 「いいんですよ、カスパーゼ大尉。みんな(レアリエン)にはいつも元気でいてほしいから・・。」 カスパーゼはシオンに今回のトラブルを話した。シオンは着々とトラブルを解決していく。 「一応調整しておきましたけど、また何かありましたらヴェクター本社までご連絡ください。 そちらで本格的なケアをされたほうが良いと思いますから」 「わかりました。ありがとうございます。 しかし、すごいですね。コスモスの開発だけでなく、レアリエンたちのメンタルケアまでこなすとは・・・。」 「そんな、全部上司の受け売りです。それに、私は最初、この部署が志望だったんです。 実は、今の仕事が終わったらこっちに転属願いを出そうかと思っているんですよ。」 シオンは眠っているレアリエンを見つめた。その表情は、眠っている我が子を見る表情に似ている。 「第一開発局は、エリート中のエリートが配属されるところでしょう?それなのに転属願いなのですか?」 「ええ、家族からもよく言われるんですよ。何かの書類ミスに違いない。ってよく言われますし。 私もそう思います。それに、、彼らのこと、もっと知りたいんですよ。」 「そんな連中のことを知る必要もなかろう!?」 声の方向に振り返ると、眼光の鋭い金髪の男がいた。 背が高く、物腰が明らかに軍人と思わせる。彼の顔右頬の皮膚は、色が変わり、硬くなっている。やけどのように・・。 「バージル中尉!?」 カスパーゼが、この突然の来訪客に驚いたようだ。声の調子からも、あまり好ましい客ではないらしい。 「匂いだ・・この匂い。なぁ、あんたも感じないか、この匂い。吐き気を催す匂いだ・・。」 バージルはまるで汚い物を見るかのように、あたりを見回した。 シオンは絶句している。言葉も出ない。 606 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 03 06 21 ID cMIoi3AX バージルは毎回来ては、何かとレアリエンを罵っているのだろう。 カスパーゼは、声を荒げ、バージルに食って掛かった。 「いい加減にしないか!少佐から事前に指示はあったろう?今回の作戦はA.G.W.Sと 新型レアリエンとの相互支援も目的としているんじゃなかったのか?それをお前は・・・。」 「相互支援だ!?はん!ヤツら相手に、実戦で使える保障なんてない、 ”戦闘用レアリエン”との相互支援なんざ、俺は願い下げだぜ!」 「お言葉ですけど・・・彼ら戦闘用レアリエンは優秀な兵士・・・。」 正気を取り戻したシオンも、バージルへ反論した。 「彼らぁ?たかが備品を人間扱いかい。」 シオンの抗議も、バージルは聞く耳をもたない。 「あ、それ問題発言ですよ。彼らは私たちと同様、知性も感情も備わっているし、 それにレアリエンの基本的人権は4763年に制定されたミルチア懸賞で謳われているはずです。」 「お為ごかしか。反吐が出るぜ。表面上いくら人道主義とっても、お前たちヴェクターの人間にとっちゃ 備品は備品だろうに。否、”商品”か」 バージルは小バカにするようにシオンを見つめた。 「私たちは彼らを備品扱いも、商品扱いもしてません!」 「ならなぜ、”戦闘用レアリエン”なんて、分類ワケがされているんだ? それこそ商品扱いしてる証だろう?何をいったところで所詮は戦の道具。それに知っているぜ。 お前たちヴェクターの人間たちは、”商品管理用の緊急制御コード”があるってな。」 シオンは絶句した。確かに・・ある・・。だが、それは・・・。 そのとき、レアリエンの一人が立ち上がり、バージルを見つめた。 「な、何だよ?」 バージルも突然のレアリエンの行動に驚いたのか、たじろいだ。 「中尉のおっしゃるとおり、確かに我々は”商品”として製造され、そのための教育を施されました。 ですが、私は今のこの”仕事に”誇りを持っています。 それは誰にも強制されない”私自信の意志”なのです」 607 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 03 09 20 ID cMIoi3AX 以下、余談 すいません、余談です、読み飛ばしていただいても結構です。 このゲームの副題が、力への意思。知ってる人は知ってると思いますが、これはニーチェの本です。 ドイツの哲学者である、フリードリヒ・ニーチェ。 彼は自分自身でたっている人間こそがもっとも美しく、すばらしい人間と考え、 キリスト教を弱者の宗教と言い、「神は死んだ。」という、有名な言葉も残っています。 たぶんこのゲームの作者はレアリエンという人ではない生物をポイントとして、ニーチェ哲学を語ってみたかったのではないでしょうか。 このレアリエンのセリフでもある”私自身の意思”という言葉。人間は弱い存在で、その弱い存在を認めた上で、 自分は過去にも、未来にも存在してはいない。現在にも自分と同じ人は一人もいないし、これからもいない。 「何か。」を成すためにこの世に連れてこられたと、考えた・・はずです。 だからニーチェは、自分の意思で、その目標への苦難の旅へと向かっている人の、なんて美しいことか!とも言っています。 これが俺自身へのニーチェの全体的な感想です。といっても、ニーチェの著者では、私は若き人々への言葉、力への意思しか読んでませんし、 まったくのど素人の解釈ですから、鵜呑みにすると困ります。たぶん解釈も間違ってる気もしますし・・・。 余談が長引きました。本編の続きを書きます。失礼しました。 608 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 03 14 52 ID cMIoi3AX 「ふん、自由意志ってわけか・・。まあいい、今のうちに享受しておけ。 そのうちわかるときがくるさ。この俺のようにな・・・。」 そう言い捨て、バージルは調整室を出て行った。 「すみませんでした、ウヅキさん。昔はあんな奴じゃなかったのですが、あることがきっかけで・・・ね。」 カスパーゼは申し訳なさそうな顔をして、頭を下げた。 「いえ・・彼とは、お知り合い・・何ですか?」 「あいつとは士官学校の同期でね。腐れ縁ってやつです。・・・ミルチアです。」 「そうですか、それで・・・。あ、いけない。ブリッジに出頭しなければならないのです。 それでは失礼します。レアリエンたちはまた後で見ますから。」 「いや、どうもありがとうございます。すいません、嫌な思いを・・。」 そう言い、再びカスパーゼは頭を下げた。 7 「すいません、遅れてしまって。」 「10分の遅刻ですね。通りで開発も遅れるわけだ。」 アンドリューが、シオンをにらみながら言った。そして、それからアンドリューのシオンに対しての説教が始まった。 コスモスの稼動データがないこと、ここが軍艦であるということに自覚がないシオンに苛立ったのであろう。 途中で、アンドリューに呼び出しがあった。顔が緊張した表情に変わり、そそくさと退室していった。 「ご期待にそえなくて申し訳ありません。」 シオンは艦長に謝った。 「なに、謝ることはないよ。今日は自室に戻って休みなさい。」 609 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 03 17 49 ID cMIoi3AX 8 アンドリューは、焦っていた。まさか、いきなり呼び出しがあるとは思ってもいなかったからだ。 急ぎ足で通信室に行き、通信をつなげた。画面に、顔が映った。司令の顔だ。 右目の上から下にかけての切り傷、冷たい目。 「失態だな・・・。アンドリュー。回収には細心の注意を払えと前もって忠告してあった筈だ。」 「はい、”機関員”に犠牲者が出たことは弁解の余地がありません。ですが、我々も・・・。」 アンドリューは苦い顔をした。機関員に犠牲者が出たのは明らかな失態で、弁解の余地がないからだ。 このことを攻められると思い、下をうつむいた。 「些末な事象など、どうでもよい。問題なのはゾハルに人が接触し、人が”消えた”ということ。 そしてその後、”通常空間に晒した状態”で移送していることだ。そして・・・。 貴様の艦隊にヤツラが接触する推定予測時間は5時間と22分後だ。」 「まさか!?やつらが!?」 驚きを通り越して絶句した。奴らがきたとしたら、このような艦隊では耐えられるわけがないのだからだ。 「だから失態といった。1時間前に増設艦隊を差し向けた。それまでの間、なんとしても保たせろ。」 「ま、間に合うのですか?」 「保たせろ。といっている。幸いにして、貴様の艦には”例の兵器”が搭載されているだろう。」 「お、お言葉ですが、あれはまだ実働試験にさえ写ってないのです!危険すぎます!」 「あれの力は、”貴様が一番良く知っている”だろう?多少不安定でもかまわん。急がせろ。」 「で、ですが・・・。」 「以上だ。」 通信が切れる。 「お待ちください、司令!マーグリス司令!」 610 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 03 19 20 ID cMIoi3AX 9 自室に戻り、休んだシオンは夢を見た。 遺跡のような場所にたつシオン。あたりには霧が立ち込めている。 鈴の音が静寂を破る。音のした方を見ると、そこにはあの少女の姿が・・・。 二人は視線を交わすが、少女はふと別の方向に目を向ける。 少女の視線の先には、少年のような人影があった。 「う、、うん・・・。」 夢にうなされるシオン。そのシオンの枕元に立つ少女。 そして少女は何かに気づいたかのように、船の外に目を向ける。 32 名無しさん@お腹いっぱい。 sage2005/03/24(木)01 24 31ID 9P5lIrk+ ゼノサーガep1、行きます。 文章構成上、ストーリー展開が前後したり、 結構話に絡んでるのに文中に出てこないキャラ(アレン、キルシュバ等)が いたりしますが、ご容赦下さい。 33 ゼノサーガep1 sage 2005/03/24(木) 01 25 18 ID 9P5lIrk+ 星団連邦に所属する惑星アリアドネが、突如として謎の消失を遂げた。 その調査に赴いた巡洋艦ヴォークリンデは、本来の目的である調査もそこそこに、 当該宙域に浮遊していた謎の物体ゾハルエミュレーターを収容し、帰還することになった。 その収容作業中、ゾハルに触れた作業員が消滅すると言う事故が起こっていた。 この巡洋艦ヴォークリンデには、14年前より突如として現れ人類の脅威となった、 グノーシスと言う怪物群に対抗する為のヒト型アンドロイド、コスモスが配備されていた。 しかしながらそのコスモスは、未だ実働試験すら行われておらず、 仮想空間(エンセフェロン)におけるテストをしている段階であった。 ヴェクターインダストリー1局所属のシオン・ウヅキは、そのコスモスの開発主任だ。 彼女は、コスモスに対して、母親や姉のような感情を持っていたが、一方で恐れてもいた。 数年前の実験中、コスモスが暴走し、同僚や愛する人を殺されてしまったからだ。 そのせいか、シオンは実働試験に対して二の足を踏んでいる状態だった。 対グノーシスの切り札として配備されたコスモスが、起き上がる事すら出来ない。 調査に同行した軍関係者からは、その事を毎日のように責められていた。 この日も、試験を終えたシオンは、ブリッヂから呼び出しを受け、開発室を出た。 ブリッヂへ向かう途上、ゾハル格納庫を通った彼女は、そこで少女の幻影を見た。 少女は、何か言いたげな、哀しみを裡に秘めた表情でシオンを見つめていた。 シオンが歩み寄ると少女の幻影は消え、そこには金色に光るゾハルがあるだけだった。 不思議な感覚に囚われながらも、彼女はレアリエン調整室へ向かった。 レアリエン。それは、様々な用途に応じて造られた人造人間のことだ。 シオンは、このレアリエンとの交流を好み、エリート中のエリートが集まる1局から、 レアリエンを扱う3局に転属願いを出しているほどだった。 彼女がレアリエンの調整を手伝っていると、バージルと言う中尉が現れた。 彼はレアリエンを極度に嫌っており、この時も居丈高に見下し、罵った。 現在、レアリエンには人権が認められていると反論するシオンだったが、 それを商品としている事を指摘されると、彼女は言葉を詰まらせた。 「お為ごかしは反吐が出る」そう吐き捨て、中尉は立ち去った。 いい加減寄り道が過ぎたので、かなり遅刻してブリッヂに着いたシオン。 アンドリュー中佐は、それも含めて毎度の如くネチネチと小言を繰り返すが、 緊急呼び出しの通信が入ったため途中で切り上げ、ブリッジを出て行った。 運良く開放されたシオンは、艦長に労われ、自室で休む事にした。 アンドリュー中佐は、画面の向こうのマーグリスに叱責されていた。 U-TIC機関。ゾハル研究の為に創設された政府直属の機関であったが、14年前の ミルチア紛争を機に、反政府武装集団の色を強め、各方面に工作員を潜入させていた。 マーグリスはそのU-TIC機関の司令であり、アンドリューは工作員の一人だった。 惑星アリアドネの消失も、この組織がゾハルの起動実験をその地で行った結果であり、 調査隊が事件の調査もそこそこに帰還したのも、連邦軍に潜入していたアンドリュー達 の目的が、ゾハルの回収であったからなのだ。 ゾハル。それは、局所事象変異を引き起こし、グノーシスを呼び寄せる。 その危険性から、それを確保して封印しようとする者と、兵力として利用しようとする 者との間で激しい争奪戦が繰り広げられていた。 この非常に危険な物体の取り扱いには、細心にも細心を重ねた注意が必要だった。 しかし、アンドリューたちはその扱いを間違った。 ヴォークリンデには、すでにグノーシスが迫ろうとしていたのだ。 コスモスを使え。その命令に狼狽する中佐を無視し、マーグリスは通信を切った。 34 ゼノサーガep1 sage 2005/03/24(木) 01 26 16 ID 9P5lIrk+ ブリッヂに警報が鳴り響いた。艦隊前方にグノーシスが出現したのだ。 母船タイプのグノーシスから射出された怪物たちが、次々と艦内に侵入してくる。 対グノーシス用兵器エイグスが出撃するが、通常兵器の効果は無く、撃破されてゆく。 グノーシスに掴まれた人間は白化し、砕け散った。 有効な対抗手段も無いまま、ついにヴォークリンデのブリッヂが沈黙した。 アンドリュー中佐は、宇宙服を着込み、ゾハル格納庫へ向かっていた。 格納庫ごとパージし、ワープさせる。無謀な作戦だったが、中佐にとっては、 コスモスを起動させるよりも遥かにマシな作戦だった。 なぜならば、中佐も、コスモスの暴走事故に立ち会っており、その恐ろしさを 身をもって知っていたからだ。 そもそも、実験中のコスモスを起動させたのも、彼らだった。 コスモスの強奪を目論み、内通者から起動用ギアを受け取ってラボを襲撃した彼らは、 しかしコスモスの暴走により惨殺され、唯一アンドリューだけが生き残った。 今、中佐は死を覚悟しながら、格納庫に向かっていた。 その中佐の覚悟も、無駄となりそうだった。コスモスが自律モードで起動を始めたのだ。 開発室のメンバーが恐怖で凍りつく中、ゆっくりと身を起したコスモスは、シオンを 保護するために動き出した。 その頃シオンは、グノーシスに追われた所をエイグスに乗ったバージルに助けられていた。 しかし彼の攻撃は効果が無く、逆に反撃を受け仲間を失ってしまった。 なにか手段が無いものかと考えた彼は、シオンの携帯端末を奪い、レアリエンを 自爆させる緊急制御コードを起動させた。 爆風が晴れると、彼は歯噛みした。仕留め切れなかったのだ。 反撃を受け、倒れこむバージル。そして、グノーシスはシオンに襲い掛かった。 足元から白化してゆくシオン。彼女が死を覚悟した時、閃光がグノーシスを貫いた。 コスモスの攻撃だった。グノーシスを実数空間に固着するヒルベルトエフェクトを展開 した彼女は、その圧倒的な戦闘能力でグノーシスを掃討した。 ゾハルの格納庫では、アンドリュー中佐が必死で乱れたシステムと格闘していた。 そこへ、脱出艇に乗るためにシオンたちが駆け込んできた。 グノーシスは途切れなく襲い掛かり、抗戦を続けるシオンたち。その中で、 コスモスがバージルごと敵を撃った。バージル、「フェブ…」とうわ言を言いながら即死。 シオンは、コスモスの非道な行動に怒りを露わにしたが、コスモスのプログラムでは、 ヴェクター関係者の保護>敵勢力の殲滅>>>>>それ以外の人間の保護であったため、 コスモスはそのプログラム通り、確実な方法を選択しただけなのだ。 「私は人間ではありません。ただの兵器です」 その言葉にショックを受けるシオンは、鬱然として脱出艇に乗り込んだ。 シオンたちと中佐の乗った脱出艇を見送ったコスモスは、もう一つの目的である ゾハルの確保の為、周辺に群がるグノーシスを除去しようとした。 しかし、いかにも多勢に無勢であり、結局はゾハルを持ち去られてしまう。 彼女はゾハルが収容されたグノーシス母船にマーキングを施し、その事を本社に報告、 次の司令を受け、第二ミルチアへ向かう事とした。 ヴェクターCEOのヴィルヘルムは、赤の外套者からその報告を受けていた。 「全ての事象は、この 秩序の羅針盤 の示すとおりに動く……」 そう、彼はつぶやき、デスクの上の構造物に目をやった。 35 ゼノサーガep1 sage 2005/03/24(木) 01 27 52 ID 9P5lIrk+ クーカイ・ファウンデーション所属の不定期貨客船エルザが、ヴォークリンデの 遭難現場に向かっていた。だが、目的は救助ではない。艦の残骸を回収し、 それを売って船長の借金返済の足しにするためだ。 そんなエルザに、コスモスが襲い掛かった。キャノピーにパンチでヒビを入れられ、 第二ミルチアまで乗せてけと脅迫された船長はしぶしぶ承諾した。 ブリッヂにコスモスが入ってくると、脱出艇で漂流していたシオンから通信が入った。 エルザに収容しろと言うシオン。そのまま漂流していれば助けが来ると言うコスモス。 二人が押し問答していると、エルザの乗組員ケイオスが仲裁に入った。 彼は船長の信頼も篤く、その彼の取り成しでシオンたちもエルザに収容され、 第二ミルチアへ向かう事になった。 収容された後、ブリッヂへと挨拶に訪れたシオンたち。そこへ、グノーシスが現れた。 アンドリューが掴まれ、白化して行く。慌てふためくシオンたち。だが、ケイオスが グノーシスに手をかざすと、グノーシスは霧のように消えてしまった。 これが、ケイオスが船長に信頼されている理由だった。 騒ぎが落ち着いた頃、そのケイオスが、ヴォークリンデでの戦闘で不具合が出たため エルザの設備で調整をしていたコスモスに近づいていった。 機能を停止して眠っているコスモスに、彼はそっと呟いた。 「やっと会えたね……本当の君はどこに眠っているんだい……?」 プロジェクト・ゾハル。ゾハルの研究を進める事により、全ての事象を論理的に解明し、 また、人類の悲願であるロスト・エルサレム(地球)への帰還を目的とした研究である。 そのプロジェクトを推進する接触小委員会の会議が、連邦主星フィフス・エルサレムの 衛星軌道上のコロニーで開かれていた。 オリジナル・ゾハルが眠る、閉ざされた旧ミルチアへの道。その道を開くための鍵となる Y資料がU-TIC機関に奪われた。 U-TIC機関の責任者であり、彼以外にゾハルを解明する事は不可能とさえ言われた 天才ヨアキム・ミズラヒ。彼が遺したY資料なくしてもまた、ゾハルの研究は進まない。 その奪還の為、U-TIC機関の拠点への潜入を命令されたのは、ジグラット8と言う 型式番号のついたサイボーグだった。彼が見せられたのは一人の少女の写真。 百式観測用レアリエン。ヨアキムの最後の発明であり、対グノーシス用の索敵能力と ヒルベルトエフェクト展開能力を付与されたレアリエンだ。 百式は、彼と、その元妻であり現接触小委員会委員であるユリ・ミズラヒの亡児サクラを モデルとして創られ、そのプロトタイプであるモモには、Y資料が封印されていた。 成功の報酬として、ジグラット8は、自らの生体脳を人工部品に換装する事を望んだ。 彼は生前、ある男に妻子を殺され、それを苦に自殺を遂げていた。 サイボーグとして蘇ってからも、その記憶が彼を苦しめ続けていたのだ。 小惑星プレロマ。古代宗教の聖堂だったこの場所に、U-TIC機関は拠点を構えていた。 そこへ潜入し、モモを見つけ出したジグラット8は、モモに「ジギー」などと愛称を つけられたり、マーグリスと一戦交えたりしながら脱出。作戦を成功させた。 追っ手を撒いた後、モモは早速フィフス・エルサレムへ船を向けようとした。 だがユリの指令では移送先は第二ミルチアとなっていた。その事をジギーから告げられ ると、モモは寂しそうな顔をした。彼女は「ママ」に会うのを楽しみにしていたのだ。 その頃エルザではシオン特製のカレーが振舞われ、皆、ひと時の休息を取っていた。 そんな中、アンドリュー中佐は、未だ機能を停止したままのコスモスに見入っていた。 彼女に銃を向けるが、恐怖で手が震え撃つ事ができなかった。 36 ゼノサーガep1 sage 2005/03/24(木) 01 28 44 ID 9P5lIrk+ シオンは、本社への連絡の中で、局長に対して声を張り上げた。 第二ミルチア到着後、コスモスを2局に引き渡すと言われたのだ。 シオンは、コスモスが何の命令も無く独自に稼動しており、実戦配備は時期尚早と説明、 コスモスの監察を続ける事を局長に認めさせた。 エルザが第二ミルチアへ向けてハイパースペース内を航行していた時、同じくジギー達も その中にいた。しかも、U-TICの無人兵器に張り付かれている状態だった。 ジギー達からエルザに向けて救難信号が発せられた。 初めは日和見を決め込んでいた船長だったが、エルザが被害を受けるや一変、 ジギーたちを援護して敵勢力を掃討、彼らを船内に収容した。 落ち着いた所で話を聞くと、ジギー達も第二ミルチアに行くというので相乗りする事に。 だが、先の戦闘でダメージを受けた船を修復する為、まず手近なコロニーに向かった。 その途上、アンドリューはプレロマに通信を入れていた。百式を確保したと。 だが、マーグリスは帰還命令を伝えただけで、早々に通信を切った。 そのマーグリスの下に、謎の男アルベドが現れた。彼はモモを連れ戻すと言い残し、 狂ったような笑い声を上げながら立ち去った。 「……モモ…か……。可愛いペシェめ……」 マーグリスの副官ペレグリーは、アルベドに任せることの危惧を口にしたが、 利用価値はあると、マーグリスは言う。目的は違うが、必要な物は同じなのだと。 惑星アリアドネのあった座標に、クーカイ・ファウンデーションの武装艦デュランダルが 停泊している。この宙域の調査をするためだ。 クーカイ・ファウンデーション。14年前のミルチア紛争の事後処理の為に設立された、 財団法人である。紛争後の武力衝突に対抗するために備えた武装は、連邦艦隊にも 匹敵するとまで言われているが、現在は副業として始めた事業展開を中心としている。 しかしながら、ゾハル・エミュレーターの回収もその役割としている為、ゾハルの影響と 思われるアリアドネ消失事件の調査に赴いたのだった。 ファウンデーション理事ガイナン・クーカイの養子であり、副理事でもあるJr.は、 現場を見て唖然とした。そこに惑星があったと言うあらゆる痕跡がなくなっていたのだ。 さらに調査を進めるため、次に彼らは、ヴォークリンデの遭難現場に向かった。 そこでようやく、ゾハルの残滓を発見する事が出来た彼らだったが、現場に潜伏していた U-TICの戦艦から攻撃を受けてしまう。 反撃に転じ、戦艦内部を制圧。U-TICの情報を得るために艦のマザーフレームに アクセスしたJr.だったが、敵残存勢力に阻まれ、結局徒労に終わった。 一方その頃、シオンたちを乗せたエルザは、ドックコロニーに入渠していた。 修理が終わるまで、船外へ出て休息を取る一行。しかし、このドックコロニーは、 ミルチア紛争の頃から軍関係者への反感が根強く残っている場所だった。 住民の話から、地元の青年達にアンドリュー中佐が連れて行かれたと知り、後を追った シオン達は、人間業とは思えぬほど無残に惨殺されている青年達を発見した。 一方の中佐は既にエルザに戻り、傷の手当てを受けていた。 結局、事件はうやむやのまま、エルザはコロニーを離れた。 この一件以来、中佐に変調が表われ始めた。人知れず体を苦痛に悶えさせ、その度に 薬剤を注射して抑える。彼の脳裏に、エルザでグノーシスに襲われた時の記憶が フラッシュバックする。彼の発作は時間を追うごとに悪化しているようだった。 シオンは夢を見ていた。ヴォークリンデで見た幻影の少女が、彼女に語りかける。 「彼の最後の気持ちを理解できるのは貴方だけ。それが彼の安らぎ……」 37 ゼノサーガep1 sage 2005/03/24(木) 01 29 41 ID 9P5lIrk+ 不可解な夢から目覚めたシオンは、突然の振動に襲われた。 エルザが、ハイパースペース外から干渉を受け、引き寄せられていたのだ。 通常空間に引きずりだされたエルザは、周囲を莫大な数のグノーシスに囲まれていた。 さらに引き寄せられたエルザは、巨大なグノーシスに飲み込まれていった。 この異変は、デュランダルも察知していた。艦内に保管されている11機のゾハル・ エミュレーターが共鳴を始めたのだ。デュランダルは、波動の発生元へと急行した。 気がつくと、シオン達は生身でグノーシス内部に放り出されていた。 はぐれてしまったエルザと中佐を探すために移動を始めた彼女達は、その途上、明らかに 人工的な看板や、自動車の残骸を発見した。 シオン達とはぐれ、一人さまよっていた中佐は、それらに見覚えがあった。 そこは、彼らがゾハルの実験をしたアリアドネの市街そのままだった。 悪夢を見ているような気持ちで彼はさまよい続けた。 グノーシスの中心部まで到達したシオン達は、そこでゾハルと、前後不覚になった中佐を 発見した。中佐は、ゾハルを背にするとグノーシスと化した。 「同じだ……あの時と……」ジギーが呟いた。 襲い掛かる中佐を、やむを得ず撃退したシオン達。 中佐が断末魔の叫びを上げる中、シオンは彼の心に触れていた。 戦争の道具としてこの世に生を受けた彼は、戦後の社会に適応できなかった。 社会に受け入れられない孤独から、彼は凶悪犯罪を重ね、その度に人格矯正処置を受けた。 そして最後には収容所の職員と連邦軍三個小隊を一人で壊滅させてしまった。 そこでマーグリスに拾われた彼は、マーグリスの信頼を受け心酔し、忠実な部下となった。 今、彼は虚無の浜辺に佇み、安らいだ顔をしていた。 「ここは良い…、怒りも悲しみも、喜びも未来も…俺以外のものは何も存在しない……。 その俺自身もやがて消える…。……シオン、遠からずお前もここに来る……きっと……」 そう言って、彼は消えていった。 アンドリュー中佐を殺してしまった事にショックを受けるシオン。 だが、感傷に浸る間もなく、その場所が崩壊を始めた。 逃げ出したシオン達は、エルザに救出され、その場を離脱した。 グノーシスの包囲網を抜けようと全力で航行するエルザ。それを、駆けつけた デュランダルが援護する。しかし、そのデュランダルも包囲されつつあった。 その時、コスモスがたった一人で船外へ出ようとしていた。 無謀だと止めようとするシオン。だが、コスモスはそれを聞き入れなかった。 「シオン、痛みは……私を満たしてくれますか……?」 今まさに迫らんとしているグノーシス群の前に立ちはだかったコスモス。 腹部から拡散ビームを発射し、一瞬のうちにグノーシスを吸収してしまった。 自分の知らない兵装が搭載されている事に呆然とするシオン。 「ケヴィン先輩……これが貴方の望んだ、本当のコスモスの姿なんですか……?」 彼女の戸惑いをよそに、エルザとゾハル・エミュレーターはデュランダルに収容された。 そして、エルザの補修の為、一行はクーカイ・ファウンデーションに帰港する事になった。 ワープするデュランダル。その後姿を、シメオンに乗ったアルベドが見ていた。 38 ゼノサーガep1 sage 2005/03/24(木) 01 30 23 ID 9P5lIrk+ デュランダル内の隔離格納庫。そこに、シオン達は案内された。そこには、ゾハル・ エミュレーターが保管されていた。さらには、グノーシス変容体となり生命活動を 停止した人達も。グノーシスに接触された人間は、ほぼ例外なく変容体となる。 シオンはヴォークリンデでの出来事とアンドリューの最期を思い出し、背筋を凍らせた。 一方モモは、そのグノーシスをこの世界に呼び寄せた元凶が、当時U-TICに所属し、 ゾハル研究の途上で暴走したヨアキム・ミズラヒである事を知り、ショックを受けた。 彼女にとってヨアキムは、自分の誕生を心待ちにしてくれていた優しい「パパ」であり、 世間一般が評価する「狂人」とは程遠いものだったからだ。 暗く俯くモモ。しかしシオンは、ヨアキムの全てが否定される訳ではないとモモを慰めた。 ファウンデーションに入港するデュランダル。Jr.と良く似た理事がシオン達を迎える。 彼、ガイナンは、シオンに奇妙な感覚を覚え、執務室に戻った後、Jr.にそう告げた。 プロジェクト・ゾハル。その最重要機密であるコスモスの開発に携わるシオンが、 何らかの特殊な素質を持っているのではないか。ガイナンはそう考えたのだ。 プレロマ。マーグリスが、セラーズと言う男と通信している。 U.M.N.。その非局所性を利用して、全宇宙を時間的空間的束縛に囚われず結ぶ ネットワークシステム。その特性により、現在のワープ航法が可能となっている。 オリジナル・ゾハルの眠る旧ミルチアは、14年前の紛争時にU.M.Nの転移コードが 消失しており、Y資料にはそのコードが記録されている。 「いずれにせよ 総帥 をお待たせする訳にはいかん。プラン401を発動する」 マーグリスは、強攻策をとる決断をした。 その事は、アルベドにも伝えられた。 「場合によっては、ネピリムの歌声……使うやも知れん」 その言葉に、アルベドは笑い声で答えた。 デュランダル。先ほどイヤな話を聞かせたお詫びにと、Jr.がモモにペンダントを贈る。 二人の間に、気恥ずかしい空気が漂ったその時、衝撃が彼らを襲った。 ファウンデーションが、連邦艦隊に包囲されていたのだ。 連邦政府議会では、先のヴォークリンデ遭難が、デュランダルの攻撃によるものだとして、 ファウンデーションの強制捜査、及び既得権益の剥奪が議論されていた。 政府内に入り込んだU-TICの工作であった。証拠として、デュランダルがヴォーク リンデを攻撃する映像が映されたが、それは、U-TIC戦艦と戦った時の映像を たくみに合成したものであった。 デュランダル内に入り込んできた連邦兵士に拘束されるシオン達。だが、その兵士達は、 ファウンデーションと繋がりのある政府関係者が送り込んだ者達だった。 彼らの手引きを受け、シオン達は、嫌疑を晴らすために行動を始めた。 ヴォークリンデでの戦闘を記録しているコスモスのメモリーを回収し、反論の材料とする。 そのために彼女達は、コスモスのメモリー内にエンセフェロンダイブした。 39 ゼノサーガep1 sage 2005/03/24(木) 01 31 06 ID 9P5lIrk+ 気がつくと、Jr.は銃弾の飛び交う戦場に立っていた。彼は、そこがどこか知っていた。 14年前のミルチア。彼と同じ顔をした少年達が、銃を乱射し虐殺を行っている。 彼は、悪夢を見ている気分になりながら、そばにいたモモに話し始めた。 Jr.やガイナン、アルベドは、U.R.T.V.と呼ばれる生体兵器だった。 彼らは、U.M.N.のオペレーションシステムであり、局所事象変異の源である ウ・ドゥに対する反存在として生み出された。 14年前、彼らは暴走したウ・ドゥを抑える作戦に就いていたが、U.R.T.V.達の 精神リンクの中心であったJr.は、ウ・ドゥに恐怖し、リンクを拒絶してしまった。 結果、Jr.とガイナンを除いた者たちはウ・ドゥに汚染され、暴走を始めたのだ。 この時の事を、彼は今でもトラウマとして心の裡に持っていたのだ。 気がつくと、シオンは14年前のミルチアの公園に居た。幼いシオンが、父に連れられて 行く。彼女が、父と過ごした最後の日の記憶だった。 重篤神経症治療施設。そこにシオンの母は入院していた。そして、そこで悲劇が起こった。 しかし、それはシオンとって心の奥にしまい込んだ、思い出したくない記憶だった。 気がつくと、シオン達は古びた教会に居た。祭壇の前に立つレアリエンを見て、シオンは、 再びトラウマを思い出した。フェブロニア。彼女が無残に食い殺される様を、シオンは 目の前で見ていた。 フェブロニアに促され、奥へ進んだシオン達は、幻影の少女ネピリムと出会った。 虚数世界と現実世界の狭間に住み、現実世界には僅かな時間しか干渉できない彼女達は、 その僅かな時間を使い、シオン達を導き、この仮想空間で会える時を待っていたのだ。 シオン達は、未来のビジョンを見せられた。くびきを離れ、暴走するウ・ドゥ。そして、 それに対抗する、本来の姿となったコスモス。二者の激突は銀河をも消滅させる。 しかし、未来は変えられる、シオン達に変えてほしい。ネピリムはそう言う。 グノーシスに触れられながら、グノーシス化しないシオンにはその力がある。 だが、心に弱さを持つ彼女達に、過去のトラウマを乗り越える強さを持って貰いたかった。 ネピリムが、シオンとJr.に過去を追体験させたのは、その為だったのだ。 別れ際、フェブロニアがもう一つ、彼女達に願いを託した。 フェブロニアの二人の妹、セシリーとキャス。ゾハル制御の媒体として、旧ミルチアで 今も呪縛に囚われている彼女達を開放して欲しい。フェブロニアはそう訴えた。 「ミルチアへ行けば全て分かるわ……」 ネピリムが最後にそう言って、彼女達は消えた。 エンセフェロン最奥部でコスモスの記録を回収したシオン達は、現実世界へ戻って行った。 その中で、ネピリムがケイオスに語りかけた。 「本当にこれで良かったの……? もう後戻りはできないのよ……?」 「分かってる……でも、 彼女 にはシオンが必要なんだ……」 シオン達の持ち帰った記録は議会で審議にかけられ、デュランダルの嫌疑は晴れた。 その事をマーグリスはアルベドに伝えた。ネピリムの歌声を使う時が来た、と。 40 ゼノサーガep1 sage 2005/03/24(木) 01 31 56 ID 9P5lIrk+ ファウンデーションが艦隊と共に第二ミルチア上空まで達したとき、ケイオスが、 狼狽えて叫んだ。歌声が聞こえたのだ。その歌声は、グノーシスを引き寄せ、聞く者を 狂わせる。14年前のミルチア紛争でも、この歌声が人々を狂気へと駆り立てた。 歌声は、ヴェクターCEOのヴィルヘルムの元にも届いていた。 「……始まったね……」彼はそう呟いた。 そして、ファウンデーションがグノーシスに包囲され、市街地が襲撃を受けた。 迎撃態勢を取った連邦艦隊も、アルベドのシメオンによって壊滅させられていく。 混乱を極める市街地に飛び出し、住民の避難と敵の掃討にシオン達が奔走する中、 モモがアルベドに連れ去られ、その居城であるネピリムの歌声に囚われた。 ネピリムの歌声。元はヨアキムの研究施設であり、14年前はミルチアにあった物だ。 シオンも、当時母親の病室から見たことがあった。 それが、アルベドの手によってこの宙域まで持ち込まれていた。 モモの助けを求める声を感じ取ったJr.は、すぐさまシオン達と共に歌声へ向かった。 哄笑をもって彼らを出迎えるアルベド。14年の時を経て自らの分身と対峙したとき、 Jr.は冷静ではいられなかった。 激昂するJr.を挑発しながら、アルベドはモモの意識を侵食して行った。 最後のプロテクトに到達した時、彼にヨアキムのイメージが流れ込んできた。 「もう私には、これから起こる事を止められない。だからせめて、お前に託そう……。 時は交差する……。いずれお前は、彼女達と出会う……その時の為に……」 それは、モモが誕生する直前、ヨアキムが彼女に語ったメッセージだった。 Jr.の放った衝撃波と、Y資料のプロテクトがアルベドを弾き飛ばした。 アルベドはさも愉快そうに笑った。彼がプロテクトに触れた時、そこにコスモスと シオンのイメージがあった。ヨアキムが最後に残したY資料のプロテクトに、彼女達が 現れる意味。それを知って彼は笑っていたのだ。 アルベドの笑い声に激昂し、ポテンシャルを開放して挑みかかるJr.。彼の本質を 知っているケイオスが、顔色を無して止めようとする程のエネルギーが弾けようとした時、 突然の乱入者が二人の間に割って入った。 青の外套者。この時は正体を隠していたが、彼はヴォークリンデでコスモスに殺された 筈のバージル中尉だった。 彼は、アルベドにその役割を指摘して退去させると、後を追おうとするJr.を攻撃した。 その物理法則を無視した力に、なす術もなく膝を付くJr.達。 「無駄だな。貴様らと俺とは、この世界に存在する法則が違う。そうだろ、 大将 ?」 ケイオスに向かってそう言い残し、彼は消えた。 歌声の機能が完全に停止している事を確認し、シオン達はデュランダルへ戻った。 歌声を破壊するため、デュランダルの主砲が向けられたとき、異変が起こった。 残存していたグノーシスが、歌声に集まっていく。その中心には、アルベドのシメオン。 「なんだか遊び足りなくてな……戻ってきたぜ」 シメオンから莫大なエネルギーが発せられ、歌声の下に遥かに大きな建造物が出現した。 天の車。元々は宇宙の真理の解明の為に作り出された施設だったが、ヨアキムによって モモを生み出すためのプラントとして使われていた。この施設と歌声、そしてゾハルが 一体となった時、ミルチア紛争以上の悲劇が起こる。そのため、この施設は旧ミルチアが 封じられている二重ブラックホールへと廃棄されたはずだった。 アルベドは、先にY資料に接触した時、この天の車の存在と使い方を知ったのだ。 その天の車が青い光を放ち、グノーシスを吸収し始めた。それは、以前コスモスが 腹部から発射したビームと同質のものだった。 グノーシスをエネルギーとした天の車は、主砲の発射準備に入った。目標は第二ミルチア。 それを阻止するため、シオン達はエルザと共に天の車へと向かった。 41 ゼノサーガep1 sage 2005/03/24(木) 01 33 11 ID 9P5lIrk+ 「遅ぉい! 待ちくたびれたぞ」 天の車の動力炉で、アルベドは彼女達を出迎えた。 なぜこんな事を。Jr.のその問いに、アルベドは憎憎しげに答えた。 14年前の作戦の時、Jr.が心を閉ざした事で、歌声の浸食に身を任せるしかなかった U.R.T.V。消えていった仲間達の為にも、貴様を断罪してやる。そう言いながら、 彼はこうも言った。 「だが、俺は感謝してるんだ。おかげで俺だけは新たなる世界への道を見つけられた」 コスモスとシオンに目をやり、彼は笑い声を上げた。 「ついさっき、それを確信した。これはそれを確かめる為の余興さ。精々楽しんでくれ」 アルベドが姿を消した直後、動力炉と直結した巨大なグノーシスが姿を現した。 死力を尽くして動力炉とグノーシスを破壊したシオン達。 爆発が始まり、彼女達が脱出を始めたその時、天の車がミルチアに向けて降下を始めた。 地上への被害を最小限に食い止める。その為に、天の車を最小ブロックにまで分解する 方法を探し出した彼女達だったが、システムを起動してから脱出までの猶予が、わずか 1分しかない事が分かった。 これでは脱出できない。一同に絶望感が漂ったとき、コスモスが残ると言い出した。 コスモスの能力ならば1分で脱出できる。そう信じて、シオン達はその場を彼女に任せた。 天の車が崩壊を始めた。ギリギリまで内部で待ち続けるエルザ。しかし、崩壊はエルザの 直上まで及び、苦渋の決断をするJr.。エルザは離岸した。 ハッチ上で待っていたシオンは取り乱し、戻るように懇願した。 その時彼女にネピリムの声が届き、走るコスモスのイメージが流れ込んできた。 左舷前方400メートル。シオンがエルザを誘導した先に、コスモスが飛び出してきた。 コスモスを収容し、最高速で離脱を図るエルザ。そのままミルチアの大気圏へ突入する。 しかし、先の脱出でダメージを受けていたエルザは姿勢制御にトラブルが発生。 大気との摩擦で船が炎に包まれた。このままでは、エルザは消し炭になってしまう。 そんな状況の中、ケイオスは一人、悩んでいた。 「あなたは、どうするの……?」ネピリムの声が、彼の脳裏に響いた。 その時、コスモスが彼の前を通り過ぎた。 「 君 が……? 待って!」慌てて止めようとするケイオス。しかし、 「あなたの痛みを、私に下さい」そう言って、コスモスはハッチに向かった。 コスモスが、エルザを守るように船首に立った。彼女の瞳が青く輝いた時、ケイオスの 腕が光を放ち、ネピリムが空を仰ぎ、アベルが振り返り、秩序の羅針盤が共鳴した。 そしてエルザの船体を6枚の光り輝く翼が包み込み、船は大気圏を突破した。 「いい見物だった。あとは、ペシェとU.M.Nがリンクすれば……」 そう言って、狂った笑い声を上げながら、アルベドは去った。 その情報は、ヴィルヘルムにも伝えられた。外套者は、彼を自由にする事を危惧した。 「アベルの方舟へと至る扉を開けるのは、彼だけだからね。しばらくは……」 「ウ・ドゥと再びリンクする可能性が残りますが」 「彼にそこまでの力はないよ。あとは鍵の役割だけ……。まぁ、局所事象変異ぐらいは 覚悟しないといけないけど、その為に 君達 がいるわけだし……ね。……でも、彼を このまま端役にしておくのは惜しい……。彼の意思は素晴らしい輝きを持っている……」 ミルチアの海に、日が沈もうとしている。その夕日を傷ついた船体に浴びながら飛行する エルザのブリッヂで待つシオン。彼女の下に、コスモスが戻ってきた。 「任務完了しました、シオン」 「…………お帰りなさい」 Xenosaga Episode1 END
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今日 - 合計 - ゼノサーガ エピソードII[善悪の彼岸]の攻略ページ 目次 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 名前 コメント 選択肢 投票 役に立った (0) 2012年10月12日 (金) 12時57分44秒 [部分編集] ページごとのメニューの編集はこちらの部分編集から行ってください [部分編集] 編集に関して
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ゼノサーガ エピソードII[善悪の彼岸] 機種:PS2 作曲者:梶浦由記(ムービーパート)、細江慎治(ゲームパート) 開発元:モノリスソフト 発売元:ナムコ 発売年:2004年 概要 ゼノサーガシリーズ第2作目。 音楽が前作の光田氏から梶浦氏・細江氏へと変更になった。 ムービーパートの音楽は梶浦氏らしくボーカルを駆使した曲が多い。 また、ムービーシーン以外の音楽を細江慎治氏が作曲している。 サントラは何故かムービーパートのみの収録となっており、未収録曲がかなりある。 収録曲(サウンドトラック順) 曲名 作・編曲者 補足 順位 Disc 1 in the beginning, there was... 梶浦由記 歌:Deb Lyons first meeting 歌:Deb Lyons Xenosaga II opening theme ゲームソング369位 assault 歌:Deb Lyons strain~Jin 歌:Deb Lyons here he comes fatal fight (Jin Margulis) 歌:Deb Lyons 第5回415位ゲームソング331位第2回ゲームソング246位 R D report chase surrounded lamentation Albedo communication breakdown Sakura (theme-piano ver.) Sakura #2 (theme-simple voc.ver.) 歌:Margaret Dorn strained Jr. #2 歌:貝田由里子 strained #2~Albedo #2 in the beginning, there was... #2 歌:Deb Lyons battle of Elsal here she comes (KOS-MOS) battle of Elsa #2 gate out Disc 2 here he comes #2 梶浦由記 歌:Deb Lyons creeping fear U-DO~Febronia final crisis presentiment~Jr. #3 a field of battle~bitter #2 歌:貝田由里子 inside~Sakura #3 歌:貝田由里子 I am free Sakura #4 (theme-gentle strings ver.) Sweet Song (Xenosaga II ending theme) 歌:Margaret Dorn Jr. 歌:Margaret Dorn Jr. #4 fatal fight #2 歌:Deb Lyons bitter 歌:貝田由里子 Nephilim the image theme of Xenosaga II #piano ver. 歌:Deb Lyons the image theme of Xenosaga II 歌:Deb Lyons サウンドトラック Xenosaga II-善悪の彼岸-MOVIE SCENE SOUNDTRACK
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605: 名無しさん(ザコ) :2014/06/04(水) 05 41 34 ID 9526JdLA0 E.S.ディナ(EP2)(ゼノサーガ) アニマの器に外装を取り付けた兵器、E.S.(エイン・ソフ<神なるもの>の略)の1機。 ヴェクター・インダストリー社の所有だったはずだが、主人公シオン=ウヅキが勝手に持ち出した挙句に退職後も私物化している。 設定では普及しているロボットを大きく凌駕する能力を持っているはずだが、HP4500、装甲1200、運動性80とスペックはあまり高くない。 装甲や運動性では同フォルダ内ではばらまきザコにも劣ることも。 メインパイロットのKOS-MOSは命中回避が低い上、集中しか持っていないのでサポートパイロットによっては苦労することになるだろう。 武装面は一見数が多いように見えるが、サポートパイロットに応じて変化するだけで実際には4種類~5種類になる。 とはいえ射程4で攻撃力1600と、射程2Pで攻撃力1800があれば対ザコで困ることはないだろう。 シオン=ウヅキかジン=ウヅキを乗せると必殺技が2つになるので、基本的にはこの2人のうちどちらかをサポートに乗せるといいと思われる。 KOS-MOSに欠けている命中回避SPも、シオンは必中ひらめき、ジンは心眼で補える。 シオンを載せた場合、3PM全で攻撃力2900という壊れ性能のマップ兵器が使えるようになる。 しかも、シオンが熱血、KOS-MOSが痛撃を覚える。この火力に擬似3倍コンボが乗って、月光蝶も真っ青な威力が出る。 さらにKOS-MOSは反応165あり、覚醒まで習得。 これで幸運があれば完璧だったのだが、残念ながらそこまでは持っていなかった。 もう1つの必殺技は2400の2Pと便利ではあるが、X‐BUSTERのためにENを温存したいのであまり使う機会はないだろう。 ちなみにジンを乗せた場合の必殺技は2600の双龍斬と3400の斬鉄刃。 攻撃力だけ見ると高いが、KOS-MOS・ジンともダメージSPが痛撃止まりのため、実質的な火力はシオンを乗せた場合に比べてあまり伸びない。 ただし、習得は遅いがKOS-MOSがみがわり、ジンがド根性を覚えるのでみがわり屋として運用することもできる。 E.S.ディナ(EP3)(ゼノサーガ) EP2に比べて装甲が200上がり、空が飛べるようになった。 とはいえ適応は空Bだし、装甲も1400で鉄壁堅牢なしと頼りない数字にとどまっている。 サポートパイロットによる武装変化がなくなり、KOS-MOS&シオン固定になっている。 武装は大幅に変化している。 2P武器が1つだけで火力も1400と下がったが、無消費は1600にあがった。 また、1-4射程で1900と2200、1Pで2500の中間武装が追加されている。 ただし燃費が悪いユニットなので、必殺技のENを残すことを考えると1900以上の武装は使いにくい。 マップ兵器X‐BUSTERは健在だが、火力は2800に下がっている。 Pもなくなり、範囲はM扇L3とだいぶおとなしい性能になった。擬似3倍コンボを考えればこれでも十分以上の性能だろうが。 さらに、EP2ではマップと2択だった3400の必殺技が普通に使えるようになっている。 熱血+痛撃をかければ、スーパー系の頂点クラスには遠く及ばないまでも、かなりの火力が出せる。 ただ、武装がすべてEN式なこともあり、アイテムで補わなければマップか必殺技のどちらかしか使えないのが残念なところか。